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銚子丸、純利益は336.9%増。V字回復が鮮明、株価は上場来高値

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(画像= La Caprese)

2023年9月29日、東京証券取引所で銚子丸の株価が一時1,677円まで買われ、上場来高値を更新した。今年1月6日の安値1,116円から9カ月足らずで50.3%の上昇である。

銚子丸は、関東1都3県(東京、千葉、埼玉、神奈川)で回転寿司店をチェーン展開している企業である。銚子丸は、外食産業で広く採用されているセントラルキッチン方式の調理や店舗のオペレーションとは逆のやり方を採用しているのが大きな特徴である。新鮮な旬の食材や生の魚をまるごと仕入れ、自社配送網で迅速に輸送し、寿司職人が客の目の前でさばき、寿司として提供する「グルメ回転寿司店」であることが強みの一つとなっている。

後段で述べる通り、銚子丸が9月28日に発表した❶2024年5月期・第1四半期(2023年5月16日~2023年8月15日)の業績が大幅な増収増益となりV字回復を鮮明にしたことに加え、❷2024年5月期・通期(2023年5月16日~2024年5月15日)の業績予想を上方修正したこと……が株価にも刺激材料となった。

今回は銚子丸の話題をお届けしよう。

銚子丸、純利益は336.9%増。V字回復が鮮明

9月28日、銚子丸は2024年5月期・第1四半期(2023年5月16日~2023年8月15日)の業績を発表した。同期の売上高は前年同期比19.4%増の51億6,700万円、本業の利益を示す営業利益は同4,623.4%増の5億8,500万円、経常利益は同303.4%増の5億8,700万円、純利益は同336.9%増の3億6,700万円と大幅な増収増益となり、V字回復を鮮明にした。

同期は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、日常生活の制約が緩和され、経済活動の正常化が進む一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、円安の進行による原料・資源コストの高騰、エネルギー価格の高止まり、さらには慢性的な労働力不足等の影響等により、不透明な状況が継続した。外食産業では、行動制限の緩和に伴いイートイン客数が急回復する中で、業界全体の営業活動が活発化した。しかし、その一方で、昨年から続く原材料・エネルギー価格および物流費の上昇を背景に、業界全体で価格改定の動きが継続した。さらなる物価上昇の懸念から消費者の生活防衛意識が高まっているものの、経営環境はコロナ前に向けて回復基調に転じている。

「銚子丸の夏まつり」を開催、持ち帰りメニューの充実等にも注力

こうした中、銚子丸では5月16日のグランドメニュー刷新を機に「銚子丸ブランドを満たす品質にこだわった商品の提供」を堅持するための価格改定を実施した。その一方で、7月の新イベント「銚子丸の夏まつり」の開催や、持ち帰りメニューの充実等に努め、消費者の来店動機の高揚に注力した。

会員数の拡大およびリピート客数の増大を見据えた施策

また、消費者のスマートフォンから注文できる「テーブルモバイルオーダー」システムの全店導入など、顧客利便性の向上にも取り組んだ。あわせて、「銚子丸LINE会員証(ミニアプリ)」登録者を対象に「夏のスペシャルキャンペーン」を開催し、会員数の拡大およびリピート客数の増大を図った。

限られた人的資源の有効活用・経営効率化を推進

なお、店舗開発については、6月に「すし銚子丸横浜六ツ川店」(横浜市南区)を新規に出店した。一方で、限られた人的資源の有効活用をはじめ、経営効率化の観点から「すし銚子丸南浦和店」(6月)、「同 三鷹店」(7月)、「同 浦和木崎店」(7月)を閉店した。同時に、コロナ収束に伴うテイクアウト需要の急減を受けて、店舗採算の確保が難しくなった「すし銚子丸テイクアウト専門店荻窪店」(6月)、「同 初台店」(7月)、「同 落合店」(7月)を順次閉店した。この結果、同期末の店舗数は88店舗となった。

通期の業績予想で各利益を大幅に上方修正

9月28日、銚子丸は2024年5月期・通期(2023年5月16日~2024年5月15日)の業績予想について、売上高で前期比9.3%増の211億1,500万円、本業の利益を示す営業利益で同69.0%増の11億3,100万円、経常利益で同44.0%増の11億4,300万円、純利益で同24.7%増の6億9,600万円となる見通しを示した。これは従来予想(6月29日公表)に比べて売上高でプラス1.0%、営業利益でプラス61.8%、経常利益でプラス60.4%、純利益でプラス65.2%の上方修正である。

銚子丸は上方修正の理由について、①従来予想を上回るイートイン客数の回復による売上高の増加に加えて、②コロナ禍で推進してきた機械化・省力化等による利益体質の改善努力も奏功し、利益面も大きく想定を上回ったことを挙げている。

ちなみに、日本フードサービス協会が9月25日に発表した8月の外食産業売上高(新店を含む全店ベース)は、前年同月比で16.6%増加した。業種別では、「パブ・居酒屋」が同50.3%増と高い伸びを示したほか、「ディナーレストラン」も同29.9%増となるなど、出遅れていた夜間消費の回復が顕著となってきた。引き続き、外食関連銘柄の業績や株価から目が離せない情勢が続きそうだ。■

(La Caprese 編集部)

特集:外食産業「復活」への期待
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