記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

キッコーマン、株価は上場来高値。今期は最終利益で11期連続の最高益へ

キッコーマン,株価,上昇,理由
(画像= La Caprese)

2024年3月5日、東京証券取引所でキッコーマンの株価が一時1万0,255円まで買われ上場来高値を更新した。2023年2月24日の安値6,170円から約1年で66.2%の上昇である。

キッコーマンは、しょうゆをはじめとする調味料や加工食品を製造・販売する企業である。同社が本社を置く千葉県野田市とその周辺は、古くからしょうゆ造りが盛んな地域であった。野田市の公式ホームページでは、1661年(寛文元年)に、上花輪村名主の高梨兵左衛門が野田でしょうゆ醸造を開始しており、これが野田におけるしょうゆの商品化の始まりとされている。1917年にはキッコーマンの源流となる野田しょうゆと万上味淋が創業。その後、合併を経て1927年に商標をキッコーマンに変更している。

後段で述べる通り、キッコーマンが公表した2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績で、最終利益が前年同期比25.1%増と大幅な増益を記録するなど、好調な業績が株価にも追い風となっているようだ。今回はキッコーマンの話題をお届けしたい。

スポンサーリンク

キッコーマン、最終利益は25.1%増

2月5日、キッコーマンは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上収益が前年同期比6.1%増の4,948億7,500万円、事業利益は同23.1%増の593億6,200万円、営業利益は同15.2%増の533億4,500万円、税引前四半期利益は同19.8%増の606億5,400万円、最終利益は同25.1%増の455億2,100万円と各利益で大幅な増益となった。

同期の世界経済は、弱さがみられる地域があったものの、全体的には持ち直しの傾向を示した。そのような経営環境下、キッコーマンは国内の売上高において、その他事業が前年同期を下回る一方で、食料品製造・販売事業が堅調に推移し、国内全体としても前年同期を上回った。また、利益面では食料品製造・販売事業で価格改定を実施した効果もあって前年同期比で2ケタの増益となった。一方、海外も食料品製造・販売および食料品卸売事業ともに、前年同期の売上を上回るなど堅調に推移した。

セグメント別の概況は以下の通りである。

スポンサーリンク

国内 食料品製造・販売事業:各部門で価格改定を実施

国内 食料品製造・販売事業の売上収益は前年同期比1.9%増の1,143億6,500万円、事業利益は同17.8%増の95億4,600万円と増収増益となった。各部門の状況は以下の通りである。

しょうゆ部門

しょうゆ部門は、家庭用分野で「いつでも新鮮」シリーズが前年同期を上回ったが、「特選 丸大豆しょうゆ」などのペットボトル品が前年同期を下回り、家庭用分野全体としても前年同期を下回った。一方、加工・業務用分野は、外食店を中心に需要が回復し、前年同期を上回った。なお、家庭用しょうゆは2023年4月に、加工・業務用しょうゆは2023年8月に原材料価格高騰等を背景とした価格改定を行った。この結果、部門全体としては前年同期の売上を上回った。

食品部門

つゆ類は「濃いだし本つゆ」などが前年同期を下回り、全体としても前年同期を下回った。一方、たれ類は「超焼肉のたれ」が順調に伸長し、前年同期を上回った。「うちのごはん」は前年同期を下回った。デルモンテ調味料は、前年同期を上回った。なお、ぽんず類は2023年4月、つゆ類は2023年4月および2023年8月、たれ類および「うちのごはん」は2023年8月に原材料価格高騰等を背景とした価格改定を実施した。この結果、部門全体としては前年同期の売上を上回った。

飲料部門

豆乳飲料は1L容器の売上が前年同期を下回り、全体としても前年同期を下回った。デルモンテ飲料はトマトジュースが堅調に推移し、全体として前年同期を上回った。なお、豆乳飲料は2023年4月に原材料価格高騰等を背景とした価格改定を実施した。この結果、部門全体としては前年同期の売上を下回った。

酒類部門

本みりんは、家庭用分野において「濃厚熟成本みりん」「米麹こだわり仕込み本みりん」などが売上を伸ばした。加工・業務用分野も外食店を中心に需要が回復し、前年同期を上回った。一方で、ワインは前年同期を下回った。なお、本みりんは2023年8月に原材料価格高騰等を背景とした価格改定を行ったほか、ワインは2023年10月に酒税の税率改正と原材料価格高騰等を背景とした価格改定を実施した。この結果、部門全体としては前年同期の売上を上回った。

国内 その他事業:臨床診断用酵素、ヒアルロン酸の減収等が響く

国内 その他事業の売上収益は前年同期比2.7%減の161億2,500万円、事業利益は同46.8%減の8億1,400万円と減収減益となった。同期は、臨床診断用酵素、ヒアルロン酸が前年同期の売上を下回ったことなどが響き、部門全体としても伸び悩むこととなった。

スポンサーリンク

海外 食料品製造・販売事業:しょうゆ部門とデルモンテ部門が堅調

海外 食料品製造・販売事業の売上収益は前年同期比7.2%増の1,149億5,000万円、事業利益は同30.4%増の281億6,600万円と増収増益となった。各部門の状況は以下の通りである。

しょうゆ部門

北米市場は、家庭用分野の主力商品であるしょうゆに加え、しょうゆをベースとした調味料などの拡充に注力し、キッコーマンのブランド力を活かした事業展開を推進した。加工・業務用分野では顧客のニーズに合わせたきめ細かな対応をし、事業の拡大を図った。この結果、北米市場の売上高は前年同期を上回った。

欧州市場は、主要市場であるドイツやオランダなどが伸長し、全体としても前年同期の売上高を上回った。アジア・オセアニア市場は、インドネシア、フィリピンなどで売上を伸ばし、全体としても前年同期の売上を上回った。

この結果、部門全体でも前年同期の売上を上回った。

デルモンテ部門

デルモンテ部門は、アジア・オセアニア地域で、フルーツ缶詰・コーン製品、トマトケチャップ等を製造・販売している。同期は部門全体で前年同期の売上を上回った。

その他食料品部門

その他食料品部門は2023年6月30日にAllergy Research Group, LLCの出資持分の全部を譲渡したほか、2023年7月31日にはCountry Life, LLCの出資持分の全部を譲渡した。これらの影響もあり、部門全体で前年同期の売上を下回った。

海外 食料品卸売事業:各地域で順調に売上を伸ばす

海外 食料品卸売事業の売上収益は前年同期比8.0%増の2,776億7,000万円、事業利益は同23.3%増の220億円と増収増益となった。同期は北米、欧州、アジア・オセアニアの各地域で順調に売上を伸ばし、事業全体の業績に寄与した。

スポンサーリンク

今期は最終利益で11期連続の過去最高益へ

2月5日、キッコーマンは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比7.9%増の6,677億円、事業利益で同18.4%増の696億円、営業利益で同10.9%増の614億円、税引前利益で同12.8%増の686億円、最終利益で同15.7%増の506億円と従来予想(2023年11月2日発表)を据え置いた。見立て通りとなれば、最終利益で11期連続で過去最高益を更新することとなる。

引き続き、キッコーマンの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

タイトルとURLをコピーしました