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アルバイトタイムスの成長戦略。株価は年初来高値、自社株買いも刺激材料に

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(画像= acworks / 写真AC、La Caprese)

2023年4月24日、東京証券取引所でアルバイトタイムスの株価が一時158円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月17日の安値120円から3カ月で31.7%の上昇である。

アルバイトタイムスは、無料求人情報誌『DOMO(ドーモ)』の編集・発行のほか、求人情報サイトの『DOMO NET(ドーモネット)』および『JOB(ジョブ)』、採用管理システムの『ワガシャ de DOMO』等の運営を行っている企業である。同社は1973年に静岡県静岡市で求人情報誌の発行を主業務として創業し、『週刊アルバイトタイムス』を創刊した。1983年には『週刊アルバイトタイムス』の誌名を『DOMO』に変更。そして、2002年12月に当時のジャスダック市場に株式を上場している。創業が静岡県(現在の本社は東京都千代田区)ということもあり、静岡県を戦略地域と位置付けているのも大きな特徴である。

後段で述べる通り、①4月13日にアルバイトタイムスが公表した2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の連結業績が増収増益となったことに加え、②2024年 2月期(2023年 3月 1日~2024年 2月29日)についても増収増益の見通しが示されたこと、③さらに自社株買いの実施を発表したことも株価に刺激材料となったようだ。

今回はアルバイトタイムスの話題をお届けしよう。

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アルバイトタイムス、純利益は10.5%増

4月13日、アルバイトタイムスは2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比11.6%増の40億4,400万円、本業の利益を示す営業利益は5,400万円(前期の営業利益は0百万円)、経常利益は同444.8%増の6,700万円、純利益は同10.5%増の4,400万円となった。

同期は新型コロナウイルス禍の行動制限緩和などもあり、緩やかながらも景気回復の動きが見られた。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や為替の円安進行を背景とした仕入価格の上昇により物価が高騰するなど先行き不透明な状態が続いた。アルバイトタイムスが戦略地域と位置付けている静岡県では卸小売業や飲食業、宿泊業等の新規求人に回復の動きが見られたものの、製造業や運輸業等は前期比で減少した。ちなみに、2023年2月の静岡県の有効求人倍率は前年同月比0.05ポイント上昇の1.27倍であり、雇用環境は横ばいの状況が継続している。

このような状況下、アルバイトタイムスでは、採用管理システムを顧客に提供する『ワガシャ de DOMO』の拡販施策やオプション商品の開発を継続した。また、静岡県内東部地域、中部地域、西部地域の各所において新型コロナウイルス対策を施し、リアルイベントである合同企業面談会『シゴトフェア』を2022年5月、6月、11月に継続開催した。他方、コスト管理については、求人紙媒体に係る直接コストとなる印刷費(前年比3.3%減)や流通費(同1.1%減)の最適化を図る一方で、販売拡大、商品価値向上のための成長コストとして人件費(同11.6%増)、広告販促費(同21.7%増)を投入した。

なお、セグメント別の状況は以下の通りである。

情報提供事業:『ワガシャ de DOMO』の販売網が拡大

情報提供事業のセグメントは、売上高が前期比12.7%増の34億4,300万円、セグメント利益は同14.3%増の6億9,000万円となった。

同期の情報提供事業では、求人広告メディアの売上が下げ止まりとなる一方で、採用管理システムを顧客に提供する『ワガシャ de DOMO』(サブスクリプション型課金モデル)の販売は販売網の拡大等により着実に増加した。その結果、上記の通り、前期比で2ケタを超える増収増益となった。

販促支援事業:取次量の減少傾向は下げ止まりの状況

販促支援事業のセグメントは、売上高が前期比5.9%増の6億2,100万円、セグメント利益は同30.6%減の5,300万円となった。

同期の販促支援事業は、主たる売上であるフリーペーパーの取次において、顧客の販売促進費圧縮やフリーペーパーの廃刊、休刊等による取次量の減少傾向は下げ止まりの状況にある。また、イベント・レジャー関連企業の集客活動も徐々に回復しつつある。その結果、上記の通り売上高は増加したものの、セグメント利益は減少した。

アルバイトタイムスの成長戦略

4月13日、アルバイトタイムスは2024年 2月期(2023年 3月 1日~2024年 2月29日)の連結業績予想について、売上高で前期比8.8%増の44億100万円、本業の利益を示す営業利益で同27.5%増の7,000万円、経常利益は同6.6%増の7,200万円、純利益は同53.7%増の6,700万円となる見通しを示した。あわせて、2023年4月14日から6月30日の取得期間で、取得総数70万株(自己株式を除く発行済み株式総数の2.72%)、取得総額1億円をそれぞれ上限とする自社株買いの実施を発表した。

アルバイトタイムスは今後について、ウクライナ情勢の長期化による資源価格や原材料価格の高騰により、先行き不透明な状態が継続すると予想している。同時に、人材ビジネス市場は大きく変化しているとも指摘。たとえば、求人情報を提供するサービスで主流であった求人広告メディアの市場は下降トレンドにある一方で、テクノロジーの進化で生まれた新しいリクルーティングモデルであるHRテックやアグリケーションメディアの市場が拡大しているとの認識を示した。

こうした市場変化を鑑み、アルバイトタイムスは成長戦略として、①今後市場成長が見込まれかつ収益性の高い事業や商品に集中投資を行う、②生産年齢人口が減少していく環境では、採用だけでなく人材の定着や育成に寄与する事業や商品を顧客に提供する、③①と②のシナジー効果で既存事業の成長を加速させる、④同時に景気動向の影響を受けやすい人材ビジネスに対して、リスク分散を目的とした事業ポートフォリオづくりとして、人材ビジネス以外の事業創造へも挑戦していかなければならない……との考えを明らかにしている。加えて、収益性を高めるために、⑤RPAやSFAといったツールを導入し、これまで人が行っていた業務を自動化し、効率化したうえで、より付加価値を生む分野へのリソースの再配分をすべく、経営基盤の再構築に向けた投資を継続する方針を示した。

引き続き、アルバイトタイムスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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