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なぜ、ホットランドの株価は年初来高値に上昇したのか?

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(画像= La Caprese)

2023年9月28日、東京証券取引所でホットランドの株価が一時1,965円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年2月16日の安値1,341円から7カ月半で46.5%の上昇である。

ホットランドは、たこ焼きチェーン「築地銀だこ」を中心に、さまざまな業態を展開している企業である。「築地銀だこ」事業のほか、創作おでん専門店「おでん屋たけし」等を展開する酒場事業、「野郎めし」や「東京油組総本店 <油そば>」を展開する主食事業、冷凍たこ焼の大手コンビニエンスストア向け卸販売等を展開する製販事業、グローバル展開を推進する海外事業などが主な事業内容となっている。

後段で述べる通り、ホットランドが8月9日に公表した2023年12月期・第2四半期(2023年1月1日~2023年6月30日)の連結業績は最終減益となったものの、❶9月19日にホットランドは2023年12月期・通期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想を上方修正し、営業利益・経常利益・最終利益が増益となる見通しを示したこと、❷それに伴って、2023年12月期・通期の年間配当予想を前回発表予想(2月15日公表)の1株あたり7円から10 円に増配(前期実績は7円)すると発表したこと……が株価にも刺激材料となった。

今回はホットランドの話題をお届けしよう。

全国の築地銀だこ店舗で『鬼滅の刃』コラボレーションを実施

8月9日、ホットランドは2023年12月期・第2四半期(2023年1月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比19.5%増の184億4,000万円、本業の利益を示す営業利益は同26.3%増の10億900万円となった。しかし、その一方で、為替予約の時価評価による為替差益等の計上により、経常利益は前年同期比19.2%減の14億1,800万円、最終利益は同28.8%減の7億1,200万円と大幅な減益となった。

同期は、日本において新型コロナウイルス感染症の分類が5類に変更となり、経済活動の制限がほぼ解消されたほか、海外からの入国制限も緩和されるなど社会経済活動の正常化・活発化に向けた動きが見られる一方で、ウクライナ情勢の長期化による資源や原材料価格の高騰など、景気動向は依然として不透明な状況が継続した。外食産業では、行動制限のない社会生活を取り戻し、店内飲食への抵抗感も減少し、客数も順調に回復する一方で、仕入価格の高騰や人件費・光熱費等の上昇など、引き続き厳しい経営環境が続いた。

こうした環境下、ホットランドは既存事業への集中と今後を見据えた新業態の開発・育成・成長に注力した。主力事業の概況は以下の通りである。

「築地銀だこ」事業

「築地銀だこ」事業は、4月18日当日限定で、全国の築地銀だこ店舗(一部店舗を除く)にて「楽天ポイントカード」または「楽天ポイントカード」機能が搭載されたアプリをレジにて提示して商品を購入すると『もれなく全員に!楽天ポイント 20%が還元されるキャンペーン』を実施した。

また、4月28日から7月27日までの期間において、全国の築地銀だこ店舗(銀だこ酒場、催事店などの一部店舗を除く)にて『テレビアニメ 「鬼滅の刃」 刀鍛冶の里編』とのコラボレーションを実施し、コラボレーション商品の発売に加え、限定店舗にて“描き下ろしキャラクターの店頭大型パネル”の設置や、各種宅配サービス限定でオリジナルグッズがもらえるプレゼントキャンペーン等を実施した。

さらに、4月18日より“プレミアムねぎマヨシリーズ”として新作『九条ねぎマヨ 香るゆずポン』を、6月8日より“贅沢ねぎだこシリーズ”コクと旨みの『ごまじそおろし』、クロワッサンたい焼の新作『抹茶&ミルク』を期間限定で発売するなど、積極的な販売促進活動を実施した。

一方、デリバリーサービス対応店舗の拡充にも継続して取り組み、6月末のデリバリーサービス対応店舗数は酒場業態を含めて360店舗となった。こうした取り組みにより、同期の既存店売上も好調に推移した。

出店については2月に「マーサ21店」、3月に「エスコンフィールド店」「あべのキューズモール店」「大岡山店」、4月に「手稲店」「アル・プラザ草津店」「ジョイホンパーク吉岡店」、6月に「Mav行徳店」の8店舗をオープンしたほか、3月には「築地銀だこ」のロードサイド型店舗である「多摩境ドライブイン店」を改装し新たに「築地銀だこ」と「コールド・ストーン・クリーマリー 多摩境店」の併設型店舗をオープンした。さらに、6月にはコールド・ストーン・クリーマリーの新たな旗艦店となる「コールド・ストーン・クリーマリー 原宿店」もオープンした。

なお、昨今の円安や原材料価格の高騰、人件費・物流費・光熱費の上昇等を企業努力だけで吸収することが難しい状況となったことから、3月1日より商品価格の改定を実施したが、売上は継続して堅調に推移した。

酒場事業

酒場事業は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和により、各業態ともに好調に推移した。

同期は、今後を見据えた小スペース・少人数での収益化が可能な業態開発にも引き続き取り組み、2月には「おでん屋たけし」の「新横浜店」「千葉駅東口店」、3月には「渋谷店」、4月には「八重仲ダイニング店」をそれぞれ出店したほか、「もつやき処 い志井」も3月に「中目黒店」を出店した。また5月には“日常の生活の中で気軽に立ち寄れ、お酒も楽しめる街のレストラン”をコンセプトに誕生した新業態「大衆ビストロ コタロー」の1号店(調布店)を出店した。

なお、直営出店に加えてフランチャイズによる地方出店にも積極的に取り組んでおり、3月には「銀だこハイボール酒場」の「春日部店」、4月には「佐賀駅店」をオープンした。今後も引き続きフランチャイズによる出店を含め地方都市への展開を推進する方針である。

主食事業

主食事業は、2月に「野郎めし」の「つくば店」、3月に「本庄店」「高崎店」、4月に「白岡店」「桶川店」を出店したほか、6月には初の都市型店舗として「蒲田東口店」を東京23区内に出店した。

また、3月には「東京油組総本店 <油そば>」の「錦糸町組」「相模原組」、4月に北海道の「手稲組」、6月に福岡の「天神組」および千葉の「天台組」を出店した。なお、「相模原組」と「天台組」は、「築地銀だこ」のロードサイド型店舗である「相模原中央店」「天台ドライブイン店」を改装し、「築地銀だこ」と「東京油組総本店 <油そば>」の併設型店舗として出店した新しい形態である。

製販事業

製販事業は、冷凍たこ焼の大手コンビニエンスストア向け卸販売のほか、アイスクリーム製品の大手スーパーマーケット向けの販路が拡大し、引き続き好調に推移した。また、冷凍たこ焼については、現在海外販路の開拓にも積極的に取り組んでいる。

海外事業

海外事業は、アセアンで新型コロナウイルス禍の各種規制が緩和され、本格的なアフターコロナに向けた経済活動の活発化が進んでおり、インドネシアに2店舗、シンガポールに1店舗、タイに1店舗のフランチャイズによる出店を実施した。また、香港では新型コロナウイルスの影響が未だ甚大かつ外部環境の変化が顕在化しつつあるものの、直営店舗は営業黒字を維持しており、3店舗の出店を実施した。

ホットランド、今期予想を上方修正。年間配当予想も増額

9月19日、ホットランドは2023年12月期・通期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比25.1%増の402億5,000万円、本業の利益を示す営業利益で同34.7%増の23億5,000万円、経常利益で同9.3%増の28億5,000万円、最終利益で同6.8%増の14億5,000万円となる見通しを示した。これは従来予想(2月15日公表)に比べて売上高でプラス7.3%、営業利益でプラス56.7%、経常利益でプラス96.6%、最終利益でプラス123.1%の上方修正である。

ホットランドは上方修正の理由について、円安や原材料価格の高騰および人件費・物流費・光熱費の上昇等の影響はあったものの、①既存事業への集中と今後を見据えた新業態の開発・育成・成長に引き続き取り組んだ結果、8月までの売上高が堅調に推移していること、②2023年8月31日時点で為替予約の時価評価による為替差益4億5,000万円の計上が見込まれること……を挙げている。

なお、冒頭でも述べた通り、ホットランドは業績予想の上方修正に伴って、2023年12月期・通期の年間配当予想を前回発表予想(2月15日公表)の1株あたり7円から10 円に増配(前期実績は7円)すると発表した。

引き続き、ホットランドの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:外食産業「復活」への期待
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