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豊田自動織機、株価は上場来高値。自動車や産業車両が好調、今期も売上高と最終利益で過去最高へ

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※豊田佐吉記念館。(画像= Mr.アルプ / 写真AC、La Caprese)

2023年9月14日、東京証券取引所で豊田自動織機の株価が一時1万1,560円まで買われ、上場来高値を更新した。今年3月28日の安値6,540円から5カ月半で76.8%の上昇である。

1926年、豊田自動織機はトヨタグループの創始者である豊田佐吉氏が発明した「自動織機(繊維機械)」を製造・販売するために創業した。現在では社名にも掲げる繊維機械(自動織機など)のほか、産業車両や自動車・自動車部品の製造・販売等を手がけている。ちなみに、トヨタ自動車はもともと豊田自動織機の自動車部門であり、1937年に分社化したものである。

後段で述べる通り、①トヨタ自動車の増産計画等に加えて、②豊田自動織機が発表した2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績が大幅な増収増益となったこと、③9月14日にトヨタ系自動車部品大手のアイシンが中期経営計画を発表し、将来的に政策保有株式をゼロとする方針を明示したことから、他のトヨタ系企業も資本効率の向上につながる施策を推進するのではないか、との思惑が広がったこと、④為替の円安進行……などが株価にも刺激材料となった。

今回は豊田自動織機の話題をお届けしよう。

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豊田自動織機、営業利益は20.4%増

トヨタ自動車は、❶今年6月にEV(電気自動車)の性能向上に向けて「全固体電池」と呼ばれる次世代型の電池を2027年~2028年に実用化する方針を明らかにしたほか、❷8月には、2023年9~11月の車両生産計画にて、世界生産を前年同期比10%増の274万台程度に設定し、そのうち国内生産を26%増の計94万台程度と大幅に増産する計画を示した。そうした中、トヨタグループの本家・源流であり、サプライヤーとしても重要な役割を担う豊田自動織機の業績期待も高まっている。

自動車、産業車両が好調。各利益とも軒並み2ケタを超える増益

豊田自動織機の業績を見てみよう。7月28日、豊田自動織機が発表した2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績は、売上高が前年同期比17.1%増の8,894億円、本業の利益を示す営業利益は同20.4%増の525億円、税引前利益は同21.7%増の1,116億円、最終利益は同21.4%増の869億円と大幅な増収増益となった。

同期は自動車および産業車両が好調だった。利益面では、人件費の増加やエネルギー費を含む諸経費の増加などがあったものの、売上の増加、為替の円安進行、物流費の減少、グループあげての原価改善活動の推進により、各利益とも前年同期比で軒並み2ケタを超える増益となった。

なお、主要セグメントの状況は以下の通りである。

自動車の営業利益は132%増

自動車の売上高は前年同期比27%増の2,677億円、営業利益は同132%増の127億円と大幅な増収増益となった。

このうち車両については、トヨタ「RAV4」が国内・海外向けともに増加したことにより、売上高は前年同期比 20%増の235億円となった。また、エンジンは主にガソリンエンジンが増加したことにより、売上高が同18%増の886億円となった。

カーエアコン用コンプレッサーは、北米・欧州を中心に各地域で増加したことにより、売上高は同17%増の1,109億円となった。電子機器ほかは、電池やDC-DCコンバーターが増加したことにより、売上高が同111%増の446億円と好調だった。

産業車両は欧州や北米で需要増加

産業車両は、主力のフォークリフトトラックが欧州や北米で増加したことにより、売上高は前年同期比14%増の5,890億円、営業利益は同5%増の356億円となった。

繊維機械は減収減益

繊維機械は、紡機は増加したものの、織機が減少したことにより、売上高は前年同期比2%減の209億円、営業利益は同26%減の22億円と減収減益となった。

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今期も売上高と最終利益で過去最高へ

7月28日、豊田自動織機は2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比3.6%増の3兆5,000億円、本業の利益を示す営業利益で同5.9%増の1,800億円、税引前利益で同0.8%増の2,650億円、最終利益で同1.1%増の1,950億円と従来予想(4月27日公表)を据え置いた。見立て通りとなれば、前期に続き売上高と最終利益で過去最高を更新することとなる。

ちなみに、豊田自動織機は2024年3月期・通期の想定為替レート(ドル円)を1ドル=132円に設定している。9月14日現在のドル円レートは147円台で推移しており、想定為替レートを15円下回っているのが実情である。さらに、冒頭で述べた通り、9月14日にはトヨタ系自動車部品大手のアイシンが中期経営計画を発表し、将来的に政策保有株式をゼロとする方針を明示した。株式市場では他のトヨタ系企業も資本効率の向上につながる施策を推進するのではないか、との思惑が広がっている点も気になるところだ。

引き続き、豊田自動織機の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:世界のトヨタ「自動車帝国」の反撃
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