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フタバ産業、今期の営業利益は43.2%増を予想。株価は年初来高値、トヨタ自動車の増産計画も追い風

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※画像はイメージです。(画像= ソライロ / 写真AC、La Caprese)

2023年9月8日、東京証券取引所でフタバ産業の株価が一時758円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月5日の安値342円から8カ月で121.6%の上昇である。

フタバ産業は、愛知県岡崎市に本社を置く自動車部品メーカーである。主にマフラーなどの排気系、車体などの金属部品等を取り扱っている。筆頭株主はトヨタ自動車で、2023年3月31日現在の持株比率は31.4%である。トヨタグループはフタバ産業の主要顧客でもあり、2023年3月期の売上割合は76.9%に達しているのも大きな特徴だ。このため、フタバ産業の業績や株価はトヨタグループの影響を受けやすい傾向がある。

後段で述べる通り、①トヨタ自動車の増産計画に加えて、②フタバ産業が発表した2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績で営業損益・経常損益・純損益が黒字転換するなどV字回復を鮮明にしたこと、③2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想を上方修正したこと、④為替の円安進行……などが株価にも追い風となっている。

今回はフタバ産業の話題をお届けしよう。

フタバ産業、V字回復が鮮明

トヨタ自動車は、❶今年6月にEV(電気自動車)の性能向上に向けて「全固体電池」と呼ばれる次世代型の電池を2027年~2028年に実用化する方針を明らかにしたほか、❷8月には、2023年9~11月の車両生産計画にて、世界生産を前年同期比10%増の274万台程度に設定し、そのうち国内生産を26%増の計94万台程度と大幅に増産する計画を示した。そうした中、トヨタグループを主要顧客とするフタバ産業の業績期待も高まっている。

営業損益・経常損益・純損益が黒字転換

フタバ産業の業績を見てみよう。フタバ産業が7月27日に発表した2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績は、売上高が前年同期比33.3%増の2,046億円、本業の利益を示す営業利益は47億円(前年同期は20億円の営業損失)、経常利益は48億円(前年同期は16億円の経常損失)、純利益は30億円(前年同期は17億円の純損失)となった。

同期は、新型コロナウイルス禍の部品供給不足の影響で低下していた客先稼働が回復したことにより、営業損益・経常損益・純損益が黒字転換するなどV字回復を鮮明にした。

なお、主要セグメントの業績は次の通りである。

日本

日本の売上高は前年同期比40.9%増の923億円、セグメント利益は27億円(前年同期は5億円のセグメント損失)となった。

北米

北米の売上高は前年同期比56.8%増の549億円、セグメント利益は3億円(前年同期は19億円のセグメント損失)となった。

欧州

欧州の売上高は前年同期比31.6%増の210億円、セグメント利益は697.5%増の4億円となった。

中国

中国の売上高は前年同期比4.8%減の231億円、セグメント利益は138.0%増の6億円となった。

アジア

アジアの売上は前年同期比0.4%減の153億円、セグメント利益は191.6%増の4億円となった。

2024年3月期・通期の営業利益は43.2%増を予想

7月27日、フタバ産業は2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比8.7%増の7,700億円、本業の利益を示す営業利益で同43.2%増の110億円、経常利益で同28.7%増の100億円、純利益で同33.8%減の70億円となる見通しを示した。これは従来予想(4月26日公表)に比べて売上高でプラス2.7%、営業利益でプラス22.2%、経常利益でプラス25.0%、純利益でプラス27.3%の上方修正である。

フタバ産業は上方修正の理由について、主に日本や北米において部品供給不足の影響で低下していた客先稼働の回復が見込まれること等を踏まえた判断であるとしている。ちなみに、フタバ産業は2022年度から2024年度の中期経営目標として「稼ぐ力を強化し、フリーキャッシュフロー(FCF)の増加をはかる」を掲げている。生産効率の向上など稼ぐ力をさらに強化し、FCFの増加に着実に取り組むことで、株主還元とともに、有利子負債の返済、今後の成長への投資に配分する方針である。

引き続き、フタバ産業の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:世界のトヨタ「自動車帝国」の反撃
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