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デンソー、今期は最終利益で過去最高へ。株価は年初来高値、モルガンMUFGが目標株価引き上げ

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※画像はイメージです。(画像= Canva、La Caprese)

2023年5月26日、東京証券取引所でデンソーの株価が一時8,795円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月4日の安値6,389円から5カ月足らずで37.7%の上昇である。

デンソーは、トヨタ自動車を中核とした「トヨタグループ」に属する自動車部品メーカーである。創業は1949年で、当時のトヨタ自動車の電装部が分離独立し、「日本電装」として設立された。以来、トヨタ自動車のほか、世界の主要な自動車メーカーにエンジン関連、電気・電子機器関連、ITS(高度道路交通システム)関連、熱機器関連などの自動車部品を広範囲に供給するメガサプライヤーとしての役割を担ってきた。ちなみに、1996年には真のグローバル企業を目指すという想いを込めて、それまでの社名から「日本」を取り、現在の「デンソー」に変更している。

後段で述べる通り、デンソーが4月27日に発表した①2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績が大幅な増収増益となったことに加え、②2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想で最終利益が6期ぶりの過去最高を更新する見通しが示されたこと、③2024年3月期の年間配当を前期比5円増の190円に増配する方針を示したこと、④5月25日にモルガン・スタンレーMUFG証券がデンソーの目標株価を従来の9,000円から1万円に引き上げたこと……などが株価にも刺激材料となった。

今回はデンソーの話題をお届けしたい。

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デンソー、2023年3月期は大幅な増収増益

4月27日、デンソーは2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上収益は前期比16.1%増の6兆4,013億円、本業の利益を示す営業利益は同24.9%増の4,261億円、税引前利益は同18.7%増の4,569億円、最終利益は同19.2%増の3,146億円と大幅な増収増益となった。

同期は、半導体不足等による車両減産があったものの、電動化や先進安全領域の拡販、新型コロナウイルス禍の稼働規制影響からの回復等により増収となった。また、利益面では電子部品を中心とした部材費や物流費、素材費、エネルギー費の高騰など外部環境の影響があったものの、拡販や研究開発の効率化等の採算改善努力の効果により、営業利益、税引前利益、最終利益が軒並み増益となった。

なお、同期は以下の通り、全セグメントにおいて増収増益となった。

日本の売上収益は前期比5.4%増の3兆7,058億円、営業利益は為替差益や車両生産の回復、外部環境の悪化に対する採算改善努力の効果により、同14.1%増の2,156億円と増収増益となった。

北米地域の売上収益は前期比29.6%増の1兆5,041億円、営業利益は外部環境の悪化の影響を受けたものの、採算改善努力の効果により、同320.5%増の179億円と大幅な増収増益となった。

欧州地域の売上収益は前期比22.1%増の6,856億円、営業利益は車両生産の回復や採算改善努力の効果に加え前期の構造改革費用の解消により175億円(前期は34億円の営業損失)となった。

アジア地域の売上収益は前期比17.9%増の1兆9,317億円、営業利益は採算改善努力の効果と円安の進行により、同10.0%増の1,583億円と増収増益となった。

その他地域の売上収益は前期比32.2%増の1,012億円、営業利益は車両生産の回復に加え、採算改善努力の効果により、同24.5%増の193億円と増収増益となった。

2024年3月期は最終利益で6期ぶり過去最高へ

4月27日、デンソーは2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比1.6%減の6兆3,000億円、本業の利益を示す営業利益で同19.7%増の5,100億円、税引前利益で同21.5%増の5,550億円、最終利益で同21.7%増の3,830億円となる見通しを示した。前提となる為替レートは1米ドル=125円、1ユーロ=135円。見立て通りとなれば、最終利益で6期ぶりに過去最高を更新することとなる。

デンソーは2024年3月期の経営環境について、サプライチェーンは徐々に正常化しつつあり電動化・先進安全分野の好調な拡販を実現する一方、依然として外部環境に不透明感があるとの認識を示した。このような環境下で、売上収益については、車両減産リスクを織り込むかたちで小幅ながら減収となる見通しを示した。一方、利益面では拡販効果に加え、規律を持った固定費の抑制と、変動対応力のさらなる強化を推進することで営業利益、税引前利益、最終利益が増益となる見通しを示した。あわせて、デンソーは2024年3月期の年間配当を前期比5円増の190円に増配する方針を示した。

なお、冒頭で述べた通り、5月25日にはモルガン・スタンレーMUFG証券がデンソーの目標株価を従来の9,000円から1万円に引き上げるなど、市場関係者の一部ではデンソーに対する評価も高まっているようだ。

引き続き、デンソーの株価や業績を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:世界のトヨタ「自動車帝国」の反撃
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