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築地魚市場、今期は営業利益で118.1%増へ。株価は年初来高値、中期経営計画の目標達成へ

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※画像はイメージです。(画像= ヒトソラ / 写真AC、La Caprese)

2023年6月13日、東京証券取引所で築地魚市場の株価が一時3,185円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月10日の安値2,595円から5カ月で22.7%の上昇である。

築地魚市場は、水産物の卸売を収益の柱とする企業である。その源流は、1935年に創業した東京魚市場にまでさかのぼる。1948年には、東京魚市場を分割するかたちで築地魚市場を設立し、東京都中央区築地(市場内)で営業を開始した。前身の東京魚市場の創業から88年、水産物流通の中核を担う卸売業者として、首都圏の食生活を支え続けている。

後段で述べる通り、築地魚市場が5月12日に発表した①2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績で営業利益と経常利益が急増したことに加え、②2024年3月期(2023年 4月 1日~2024年 3月31日)の連結業績予想について増収増益となる見通しが示されたこと……などが株価にも追い風となっているようだ。

今回は築地魚市場の話題をお届けしよう。

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築地魚市場、営業利益と経常利益が急増

5月12日、築地魚市場は2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比5.4%増の579億8,100万円、本業の利益を示す営業利益は同29.9%増の1億8,300万円、経常利益は同29.7%増の2億2,500万円となった。なお、同期は特別利益に投資有価証券売却益と補助金収入を、特別損失に固定資産圧縮損を計上したことにより、純利益は前期比15.4%減の2億2,300万円となった。

同期は、新型コロナウイルス禍の行動制限が徐々に緩和されるなど、経済の持ち直しの動きが見られた。しかし、その一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や世界的な金融の引き締めにより、為替の円安が進行したこともあり、原材料やエネルギーの価格が上昇するなど、先行き不透明な状況となった。こうした中、水産物卸売業界は、不安定な国際情勢などにより、水産物の輸入減少、資源の高騰による物流コストの増加や資材の値上げなど、仕入コストの増加の影響を大きく受けることとなった。また、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ消費が十分に回復できておらず、厳しい業界環境が続いた。築地魚市場も例外ではなく、水産物の輸入量減少等による取扱数量の減少、仕入れコストの増加等の影響を受けものの、業務筋への売上が徐々に回復したことや平均単価の上昇もあり、取扱金額は増加した。

セグメント別では、水産物卸売業において、生鮮水産物が大衆魚等の不漁により取扱数量が減少したものの、平均単価が上がったことにより取扱金額が増加した。冷凍水産物も、冷マグロの輸入減少等にともない取扱数量が減少したものの、相場上昇にともない取扱金額が増加することとなった。加工水産物は、いくら、うなぎ等の取扱数量が減少したが、全体的には前年並みとなったほか、販売価格の上昇により取扱金額が増加した。

冷蔵倉庫業のセグメントは、保管品の勧誘などの営業努力に加え、新型コロナウイルス禍の行動制限が緩和されたことも相まって保管料売上が増加した。しかし、その一方でロシア・ウクライナ情勢や為替の円安進行等によるエネルギー価格の上昇に伴う冷却費用の増加により、コストも増大した。

2024年3月期は営業利益で118.1%増の見通し

5月12日、築地魚市場は2024年3月期(2023年 4月 1日~2024年 3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比6.9%増の620億円、本業の利益を示す営業利益で同118.1%増の4億円、経常利益で同77.4%増の4億円、純利益で同56.4%増の3億5,000万円と大幅な増益となる見通しを示した。

同期は、築地魚市場が策定した中期経営計画『SG-2023』の最終年度であり、上記数値の達成を目指す方針としている。ただし、築地魚市場は同期の経営環境について、新型コロナウイルス禍の行動制限の解除により国内消費の増加が見込まれるものの、ロシア・ウクライナ情勢や為替変動などの影響により、経済活動は大きく変動する可能性があり、引き続き厳しい情勢になるとの認識を示している。

ロシア・ウクライナ情勢や為替次第では、築地魚市場の業績見通しが修正される可能性もないとはいえないので留意しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:外食産業「復活」への期待
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