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すかいらーくホールディングス、最終黒字に転換。株価は年初来高値、既存店売上高は18カ月連続のプラス

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(画像= La Caprese)

2023年10月10日、東京証券取引所ですかいらーくホールディングスの株価が一時2,138円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月13日の安値1,500円から9カ月ほどで42.5%の上昇である。

すかいらーくホールディングスは、フードサービス事業全般を運営する企業を傘下に置く持株会社である。その源流は1962年に創業した食料品店「ことぶき食品」にまでさかのぼる。1970年には、東京都府中市にすかいらーく1号店(国立店)を出店、まだ外食が一般的ではなかった当時に初めてファミリーレストランを開業した。1974年には商号をすかいらーくに変更、1978年には東京店頭市場に株式公開している。現在は「ガスト」を筆頭に、「バーミヤン」「しゃぶ葉」「ジョナサン」「夢庵」「ステーキガスト」など2,976店(2023年9月30日現在、海外含む)のファミリーレストランをチェーン展開している。

後段で述べる通り、すかいらーくホールディングスが発表した、❶2023年12月期・第2四半期(2023年1月1日~2023年6月30日)の連結業績で最終黒字に転換するなどV字回復を鮮明にしたこと、❷2023年12月期・通期(2023年1月1日~12月31日)の連結業績予想で営業利益・税引前利益・最終利益を上方修正したこと、❸2023年12月期末の配当を従来予想の1株当たり3円から6円(前期は無配)に増額修正したこと、❹さらに10月4日発表の9月の既存店売上高が前年同月比で19.5%増と伸長し、18カ月連続のプラスを記録したこと……などが株価にも刺激材料となった。

今回はすかいらーくホールディングスの話題をお届けしよう。

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すかいらーくホールディングス、最終黒字に転換

8月10日、すかいらーくホールディングスは2023年12月期・第2四半期(2023年1月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上収益は前年同期比19.9%増の1,697億8,900万円、本業の利益を示す営業利益は28億5,300万円(前年同期は24億2,300万円の営業損失)、税引前四半期利益は15億5,800万円(前年同期は37億9,700万円の税引前四半期損失)、最終利益は5億4,900万円(前年同期は27億8,000万円の最終損失)となった。

2023年12月期・第2四半期は新型コロナウイルス禍の行動制限緩和で経済活動の正常化に進展が見られたものの、コロナ禍で長らく続いた選択的消費の定着や、物価高騰による消費者の生活防衛意識の高まりに加え、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による地政学上のリスクや円安等の影響による原材料費・物流費・光熱費の高騰など、外食産業にとって厳しい経営環境が継続した。

こうした状況下、すかいらーくホールディングスの2023年12月期・第2四半期連結累計期間の既存店売上高はコロナ前の2019年に比べて92.1%にまで回復した。2022年に実施した値上げの効果で客単価が大きく上昇したものの大幅な客数減少は見られず、一定程度、値上げが消費者に受け入れられたと見られる。今年3月中旬の春休み以降は回復基調がさらに強まり、特にヤングファミリー層の回復、物価高騰の影響を強く受けていた地方ロードサイド店舗の回復、ファミリーダイニング業態(総合型レストラン)の回復などが顕著であった。

その結果、上記の通り、売上収益が大幅に伸長したほか、営業損益・税引前四半期損益・最終損益も黒字に転換した。

併売率の向上と幅広いオケージョンでの利用拡大を図る

今年4月のメニュー改定では各ブランドで小さいおかずやハーフサイズ商品、ミニデザートなどを導入するとともにアルコール商品もさらに訴求し、併売率の向上と幅広いオケージョンでの利用拡大を図り、客数増と客単価上昇の両方を追求した。

また、6月中旬にはガストで「半額クーポン祭」と銘打った折込チラシを配布したところ、各種SNSでクーポン画像が拡散されたことも奏功し、客数増に大きく貢献した。

売上総利益率は67.8%

売上総利益率は67.8%と前年同期比で0.4%の悪化となったものの、引き続き業界の最高水準を維持した。同期は値上げによる各メニューの粗利益率の改善や店舗段階での食材ロスの低減、部門横断の原価低減プロジェクトで講じた対策などにより、鶏卵などの価格高騰の影響を一定程度抑制した。

水道光熱費を約8%、食器費・消耗品費を約12%削減

販売費および一般管理費は前年同期比で増加したものの、全社レベルのプロジェクトである収益改善プロジェクトにより、実質的には大幅な経費抑制を実現した。全店舗の経費執行のムリ、ムダ、ムラを徹底的に排除し、売上増による純増分を除いて水道光熱費の使用量を約8%、食器費・消耗品費を約12%削減するとともに、売上の安定的な回復に伴い店舗の労働時間も適正に管理できるようになった。

一方、昨今の急激な物価上昇をうけ、従業員とその家族の生活を支援するため、全社員および社会保険に加入済のパート・アルバイトへ「インフレ手当」(特別一時金)を支給した。結果、同期の販売費および一般管理費は1,095億4,700万円で、前年同期比で39億1,900万円増加した。

その他の営業費用については、同期に閉店店舗に係るのれんの除却損を25億6,400万円計上した。これは同期に83店舗が閉店したことによるものであり、これらは主に前期において閉店の意思決定をした店舗となる。

新規出店は13店舗、業態転換は24店舗

同期の新規出店は13店舗、業態転換は24店舗となった。新規出店13店舗のうち4店は海外での出店で、台湾で「しゃぶ葉」「横濱牛排(ステーキ)」「むさしの森珈琲」を、マレーシアで「しゃぶ葉」の4号店をオープンした。店舗改装(リモデル)も継続して行っており、同期では48店舗の店舗改装を実施した。

また、アフターコロナを見据えて開発を進めてきた新業態については、2023年6月末までに「八郎そば」の2号店を、「飲茶テラス 桃菜」の7号店までをそれぞれオープンしており、いずれの業態も消費者から高い評価を得ている。ちなみに、「八郎そば」は「旨いめしを腹いっぱい食べたい」をコンセプトに日常の食を応援する業態として、「飲茶テラス 桃菜」は中国茶を楽しみながら点心を味わう食文化とライフスタイルを提案する業態として、どちらも今後の新規出店や業態転換の新たな業態候補として収益構造を固めていく予定である。

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既存店売上高は18カ月連続のプラス

8月10日、すかいらーくホールディングスは2023年12月期・通期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比16.9%増の3,550億円、本業の利益を示す営業利益で100億円、税引前利益で75億円、最終利益で40億円となる見通しを示した。これは従来予想(2月14日公表)に比べて、売上高は変わらず、営業利益はプラス66.7%、税引前利益はプラス114.3%、最終利益でプラス300.0%の上方修正である。

すかいらーくホールディングスは上方修正の理由について、①5月8日に新型コロナウイルスが感染症法上で5類に分類されたことが間接的に外食消費を後押ししたこと、②昨年来の価格改定効果が想定を上回ったこと、③それにより、売上高および売上総利益がおおむね当初想定通りの水準まで回復したこと、④原価低減や営業諸費用の削減を徹底した結果、営業利益・税引前利益・最終利益が当初想定を上回って推移したこと……を挙げている。あわせて、すかいらーくホールディングスは2023年12月期末の配当を従来予想の1株当たり3円から6円(前期は無配)に増額修正すると発表した。

なお、冒頭でも述べた通り、すかいらーくホールディングスが10月4日に発表した9月の既存店売上は前年同月比で19.5%増に伸長し、18カ月連続のプラスとなった。既存店の客数は同11.3%増、客単価は同7.4%増である。主要ブランドでのビールやキッズメニューの半額クーポンにより客単価は若干減少したものの、利用者増により売上・客数ともに伸長した。

引き続き、すかいらーくホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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