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カンロ、株価は年初来高値を更新 業績好調、創業110周年で記念配当

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(画像= La Caprese)

2022年12月15日、東京証券取引所でカンロの株価が一時1,273円まで買われ、年初来の高値を更新する場面がみられた。今年3月18日につけた年初来安値の738円からおよそ9カ月で72.5%の上昇である。

カンロは飴やグミ、キャラメルなどを中心とした菓子を製造・販売する、日本の食品メーカーの老舗である。その源流は110年前、1912年(大正元年)に山口県で創業した個人経営の「宮本製菓所」にまでさかのぼる。同社は38年後の1950年に株式会社に改組、1954年に山口県内で「カンロ玉」の販売を開始。そして、1960年には社名を現在の「カンロ」に改称した。また、1962年には本社を東京都豊島区に移転し、東京証券取引所市場第2部に株式を上場している。

後段で述べる通り、2022年12月期・第3四半期(2022年1月1日~2022年9月30日)の業績が大幅な増収増益となったほか、通期の業績予想を上方修正したこと、さらに期末配当予想で5円の記念配当を実施するなど株主還元の拡充に積極的な姿勢を示しており、株式市場でも投資人気が高まっているようだ。

今回はカンロの業績をみてみよう。

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カンロ、2022年12月期・第3四半期の営業利益は151.5%増

カンロが発表した2022年12月期・第3四半期(2022年1月1日~2022年9月30日)の業績は、売上高が前年同期に比べて20.8%増の179億2,700万円、本業の利益を示す営業利益は同151.5%増の12億9,500万円、経常利益は148.4%増の13億5,500万円、純利益は114.0%増の9億3,600万円と大幅な増収増益となった。

主力の飴カテゴリーは袋形態が増加するとともに、新型コロナウイルス禍で低迷していたコンパクトサイズ・スティック形態も増加に転じたほか、一部商品の価格改定も相まって、売上高で前年同期比11.3%増の91億1,800万円となった。製品別では、昨年9月に新味カフェラテが加わった「金のミルクキャンディ」や「ノンシュガーのど飴」シリーズが好調に推移した。

一方、グミのカテゴリーは、発売20周年を迎えテレビコマーシャルを実施した主力ブランド「ピュレグミ」が大幅に伸長したほか、「カンデミーナグミ」「マロッシュ」(マシュマロ商品)の増加も相まって、売上高で前年同期比35.0%増の82億4,600万円となった。また、素材菓子のカテゴリーは、「かろやかし」シリーズとしてリニューアルを進めているところで、苦戦が続いているものの、前年同期比4.1%増の5億6,100万円となった。

「中期経営計画 2024」で株主還元の拡充に取り組む

10月31日、カンロは2022年12月期(2022年1月1日~2022年12月31日)の業績予想について、売上高で前期比15.6%増の249億5,000万円、本業の利益を示す営業利益で同45.8%増の18億3,000万円、経常利益で47.1%増の19億円、純利益で44.5%増の12億7,000万円となる見通しを示した。これは従来予想(4月28日公表)から売上高で3.1%、営業利益で19.6%、経常利益で19.5%、純利益で17.6%の上方修正である。

カンロは上方修正の理由について、(1)キャンデイ市場でグミカテゴリーの力強い伸長が継続していること、(2)飴カテゴリーも「ノンシュガーのど飴」シリーズやコンパクトサイズ・スティック形態が計画を上回って推移していることを挙げている。

さらに、同日は期末配当金について、普通配当12円50銭に加え1株につき5円の「創業110周年記念配当」を実施する方針を決議。12円50銭から17円50銭へ引き上げた。ちなみに、カンロは「中期経営計画 2024」において、2024年度までに配当性向を40%まで段階的に引き上げる方針を示している。

こうした株主還元の拡充に積極的な姿勢も、株式市場で評価される一因となっているのだろう。
引き続き、カンロの業績・株価動向に注目しておきたい。■

(経済ジャーナリスト 世田谷一郎)

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