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起業年齢は過去最高の平均48.4歳。2023年の新設法人、過去最多の15.3万社――帝国データバンクの調査報告

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(画像= Canva、La Caprese)

「起業年齢は過去最高の平均48.4歳」――。2024年5月28日、帝国データバンク(本社:東京都港区)が公表した「新設法人」調査で、そのような状況が明らかになった。

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(図1) 出典:帝国データバンク

2023年(1〜12月)に全国で新設された企業は、2024年4月時点で前年比7.9%増の15万2,860社で、過去最多を記録した。企業新設時の代表者年齢(起業年齢)は48.4歳で、こちらも過去最高を更新した。本調査結果は、若年層や女性のほか、現役を引退したシニア層など多様な世代へ起業への門戸が開かれていることも要因の一つとなっているようだ。

本調査報告の概要は以下の通り。

2023年の「新設法人」、過去最多の15.3万社

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(図2) 出典:帝国データバンク

2023年に全国で設立された新設法人は15万2,860社に上り、前年から7.9%増加した。

法人の新設動向は、特に2010年代後半から増加傾向が顕著となり、10年前の2013年に比べて年間の設立数は約1.4倍に増加した。新興企業や太陽光発電への投資など特定の事業活動を目的とした企業設立が活発であることも、新設法人数が増加した要因となった。

また、2023年10月からスタートしたインボイス制度に対応するため法人格を取得した小規模事業者も一定数あったとみられる。加えて、個人の趣味や特技を生かした起業への心理的なハードルが低下していること、「スタートアップ創出促進保証」など経営者保証を必要としない国・自治体による創業支援制度の取り組みが、起業の増加をより後押ししたと考えられる。

なお、同年の休廃業・解散件数(5万9105社・前年比10.6%増)、企業倒産件数(8497社・同33.3%増)と比べると、いずれも新設法人の増加率を大幅に上回ったが、新設法人数は企業倒産・休廃業・解散の総数に比べ2.26倍高い水準だった。

「株式会社」が最多10.1万社 マンション建設ラッシュで「管理組合法人」新設1.3倍

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(図3) 出典:帝国データバンク

法人格別にみると、最も多いのは「株式会社」で10万1,459社となり、全体の66.4%を占めた。株式会社が10万社を超えたのは2000年以降で始めて。低コストでの設立が可能で、利益配分面などで経営の自由度が高い「合同会社」は4万630社で、株式会社と合同会社で2023年全体の9割を超えた。

法人格別に増加率をみると、「土地家屋調査士法人」が最も高く、42.9%増(42社→60社)となった。2020年に法人化への要件緩和が行われたことも要因とみられる。マンション建設ラッシュなどを背景に、共用部分の維持管理といった機能を担う「管理組合法人」も29.2%増(65社→84社)と増加が目立った。一方、老人福祉などの業態も多い「社会福祉法人」(86社→55社、36.0%減)は、職員不足や介護報酬が小幅なプラス改定にとどまるなど経営環境の悪化を背景に3割以上も落ち込み、新規参入しづらい環境が影響したとみられる。

2023年の「起業年齢」 過去最高の48.4歳 シニアの起業目立つ

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(図4) 出典:帝国データバンク

起業時点での代表者年齢が判明した新設法人の起業年齢をみると、2023年に新設された法人の代表者の平均年齢は48.4歳(速報値)となった。前年の48.2歳から0.2歳、過去5年で1歳以上も上昇するなど、起業年齢の高齢化が進んでいる。

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(図5) 出典:帝国データバンク

年代別にみると、最も多いのは「40代」で、全体の31.9%を占めた。ただし、40代が占める割合は2019年をピークに低下傾向で推移している。コロナ禍前は4社に1社を占めた「30代」も、2023年は2割未満の水準にとどまった。一方で、近年はシニア層の起業割合が高まっており、2023年には「50代」が25.3%、「60代」が12.2%となった。

「東京都」が最多の4.7万社、市区郡でトップは「港区(東京都)」

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(図6) 出典:帝国データバンク

都道府県別(本社所在地、設立当時)にみると、設立数で最多は「東京都」で4万6,598社だった。次いで「大阪府」(1万5,723社)、「神奈川県」(1万228社)と、社数上位の都道府県はいずれも大都市部が中心だった。また、前年からの増加率で最も高いのは「沖縄県」の13.9%増(2,132社→2,428社)だった。インバウンドが回復した観光産業やIT関連産業を中心に起業が活発だったとみられる。沖縄県に次いで増加率の高い「秋田県」「岩手県」(各13.7%増)は、ともに前年から減少した2022年の反動増といった要因も想定されるものの、両県ともに近年は創業支援に注力する動きも見られ、これまで乏しかった起業機運に変化が生じている可能性がある。

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(図7) 出典:帝国データバンク

市区郡別(本社所在地、設立当時)にみると、設立数で最多は「港区」で6,856社だった。次いで多い「渋谷区」(5,288社)、「中央区」(4,377社)と合わせ、上位5区はいずれも東京都だった。東京都以外の市区郡で10位以内となったのは、7位の「大阪市中央区」(1,847社)、8位の「大阪市北区」(1,705社)の2区のみだった。

「副業の発展形」パート起業家が増加 起業マインドの変化、新設法人に与える影響注視

近年は政府による「スタートアップ育成5カ年計画」をはじめ、ベンチャーキャピタルや企業、行政など官民一体で起業支援が行われている。こうしたなかで、2023年は前年を大きく上回る15万社が設立されるなど、新設法人数は高い水準で推移した。30年ぶりとなる高水準の賃上げや国内への投資など、長期にわたるデフレ経済からの脱却が見据えられ、新陳代謝をさらに活発化させる一つの要因となる「新設法人」の動向が注目される。

また、近年は大手企業を中心に副業・兼業の解禁などが追い風となり、隙間時間に起業する「パートタイム起業家」も増えている。日本政策金融公庫が2023年11月に実施した調査では、パートタイム起業家のうち、現在の職業が「勤務者(正社員)」と回答した割合が約4割を占めた。新しいビジネスを展開する「起業」は、給与収入などを得ながらライフスタイルに合わせて事業活動を行う「副業の発展形」といった性格を併せ持つようになっている。こうした起業に対する心理的ハードルの低下は、長期的に「起業を身近なものにする」という点で良い影響を及ぼしていくだろう。■

(La Caprese 編集部)

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