2023年2月24日、東京証券取引所でオンワードホールディングスの株価が一時348円まで買われ、昨年来の高値を更新した。2022年3月9日につけた安値223円から1年足らずで56.1%の上昇である。
オンワードホールディングスは、アパレル系を中心に多数の企業を傘下に置く持株会社である。その源流は1927年10月に大阪府で創業した樫山商店にまでさかのぼる。今年で創業96年を迎える歴史ある企業であり、紳士服や婦人服、子供服などの企画・製造・販売を行うオンワード樫山のほか、オンワード商事、アイランド、マルベリージャパンなど92社のグループ企業を統括している。
後段で述べる通り、2023年2月期・第3四半期(2022年3月1日~2022年11月30日)の連結業績で営業黒字に転換したほか、経営指標となるEBITDAも191.0%増加、既存店売上高は11カ月連続のプラスを記録するなど業績は好調に推移している。今回はオンワードホールディングスの話題をお届けしよう。
オンワードホールディングス、営業黒字に転換。EBITDAは191.0%増
オンワードホールディングスが公表した2023年2月期・第3四半期(2022年3月1日~2022年11月30日)の連結業績は、売上高が前年同期に比べて4.9%増加の1,303億9,700万円、本業の利益を示す営業利益は43億1,500万円(前年同期は9億4,800万円の営業損失)、経常利益は46億9,800万円(前年同期は7億5,900万円の経常損失)となった。
ちなみに、オンワードホールディングスでは新規事業の創出やM&A等を活用した事業基盤の強化・拡大による成長を加速する中で、会計基準の差異にとらわれることなく企業比較を容易にすることを目的とし、EBITDA(営業利益+減価償却費およびのれん償却費)を経営指標にしている。同期のEBITDAは前年同期に比べて191.0%増加の82億4,400万円である。
セグメント別では収益の柱となる「アパレル関連事業」が、国内の中核事業会社であるオンワード樫山において、「クリック&トライ」サービスを導入したOMO型店舗で売上が拡大し、百貨店を中心としたリアル店舗での売上が好調に推移した。また、『グレースコンチネンタル』を展開するアイランドでは、販売促進策が奏功し、売上が回復した。さらに、『KASHIYAMA』を展開するオンワードパーソナルスタイルも、販売価格の見直しや事業の効率化による固定費の削減等を背景に増収となり、業績に寄与した。
一方、「ライフスタイル関連事業」のセグメントでは、ウェルネス事業を展開するチャコットの主力となるバレエ、フィットネス用品が堅調に推移し、売上が順調に拡大した。また、カタログギフト事業を展開する大和ではブライダル関連の需要が継続して伸長し、増収増益となった。さらに、ペット・ホームライフ事業を展開するクリエイティブヨーコも好調に推移し、ライフスタイル関連事業の各主要会社において増収増益を記録した。
既存店売上は11カ月連続のプラス、通期予想を上方修正
ちなみに、オンワードホールディングスが2月6日に公表した「2023年1月度月次売上概況」によると、同月の既存店売上(合計)は前年同月に比べて23.0%増となり、11カ月連続のプラスとなった。同月は3年ぶりに行動制限のない正月を迎え、実店舗への来客数が増加したことから、百貨店やSC(ショッピングセンター)などの初売りが大幅に伸長した。値引き率を圧縮して臨んだセールに加えて、プロパー販売、Eコマースも好調に推移した。また、アイテム別では、月前半は冬物アウターが売上を牽引したが、月後半は春物のオケージョン対応アイテムが稼働した。フレッシャーズ向けスーツの販売も好調だった。
オンワードホールディングスは2023年2月期(通期)の連結業績予想について、売上高で前期に比べて3.9%増加の1,750万円、本業の利益を示す営業利益で50億円、経常利益で52億円、EBITDAで前期比155.4%増の100億円となる見通しを示した。これは従来予想(2022年9月公表)に比べて、売上高でプラス0.7%、営業利益でプラス22.0%、経常利益でプラス20.9%、EBITDAでプラス10.1%の上方修正である。
引き続き、オンワードホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■
(La Caprese 編集部)