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表情の動きに伴う「シワの変化」の定量化に成功――ポーラ化成工業の研究成果

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(画像= coji_coji_ac / 写真AC、La Caprese)

「表情圧」をご存知だろうか? 表情圧とは「表情による筋肉の動きに伴い皮膚が動いて圧縮される部位に発生する力」のことだ。

ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業(本社:神奈川県横浜市)は「シワと表情圧の関係」についての研究を進め、2022年9月28日に表情の動きに伴うシワの変化を定量化する評価法を開発しことを明らかにした。さらに、この評価法にて、表情により一時的に生じるシワが加齢に伴い消えにくくなることを確認した(※シワが消えるとは、表情表出中に生じる一時的なシワが表情表出後に表情表出前のシワのない状態に戻ることを示す)。

今回は、ポーラ化成工業の「加齢とシワ」に関する研究成果を紹介したい。

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シワの深さ・幅を「シワスコア」として経時的に定量化

前述の通り、表情圧は「表情による筋肉の動きに伴い皮膚が動いて圧縮される部位に発生する力」のことである。表情圧を受ける部位には一時的なシワが生じ、表情を繰り返すことでやがて定着すると考えられる。そこでポーラ化成工業は、表情の動きに伴うシワの変化に着目した。

評価には動画を用い、ヒトの動きの補正法やシワの検出法を工夫することで、これまでできなかった「シワの動的評価法」を確立した。すなわち、無表情と表情を繰り返した動画から、シワの深さ・幅を「シワスコア」として経時的に定量化したのである(補足資料1)。

そして、表情の動きに伴う「シワスコア」の変化を調べたところ、表情表出後に減衰(表情によって一時的に生じたシワが消えること)が認められた(図1)。減衰の速さには個人差があることも判明し、さらなる分析を進めた。

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シワの消えやすさを「シワ回復係数」として算出・分析すると?

次に、シワスコアの減衰の速さ、つまり表情によって一時的に生じるシワの消えやすさを「シワ回復係数」として算出した(補足資料2)。「シワ回復係数」と年齢との関係を調べたところ、シワは加齢に伴い消えにくくなるという一般的な実感と一致した結果を確認した(図2)。しかし、その一方で、同年代の間でも、シワが消えやすい人・消えにくい人がいることも判明した(補足資料3)。

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さらに「シワ回復係数」の分析を進めると、皮膚の物性の特徴を表す皮膚弾性と相関があることも判明した。皮膚弾性は、加えている圧力を除いた際に皮膚が元に戻ろうとする性質を示すものである(補足資料4)。このことから、シワの消える様子から皮膚の物性を推測できる可能性があることが示唆された。

今回、ポーラ化成工業が開発した評価法は、表情の動きに伴うシワの変化を定量的に捉えることを可能にし、シワの定着しやすさの推定や「新たなシワ改善アプローチ」への活用につながることが期待される。ポーラ化成工業のさらなる研究成果が待たれるところだ。■

(画像= La Caprese)

【補足資料1】 シワを定量化する動的評価法

被験者に無表情と表情(大きな笑顔)を7回繰り返してもらい、その様子を動画で撮影した。動画から顔のシワを自動的に検出・追跡して、シワ部位の形態情報と画素情報から算出したシワの深さ・幅を「シワスコア」として経時的に定量化するアルゴリズムを独自に構築した。

【補足資料2】 シワ回復係数

表情表出終了時点のシワスコアを「1」、表情表出前のシワのない状態のシワスコアを「0」として、シワスコアの減衰の速さをシワ回復係数として算出した。シワが速く消えるときシワスコアの減衰も速くなり、シワ回復係数は大きくなる(図3青線)。一方で、シワが遅く消えるときはシワスコアの減衰も遅くなり、シワ回復係数は小さくなる(図3赤線)。このことから、シワ回復係数は表情によって一時的に生じるシワの消えやすさを示している。

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【補足資料3】 シワ回復係数と年齢との関係

49名の被験者を対象に、シワ回復係数と年齢との関係を調べた結果、加齢に伴いシワ回復係数が小さくなったことから、加齢に伴いシワが消えにくくなる傾向が認められた。また、同年代の間にも差があり、若齢でもバラつきがあることも判明した(図4)。このことは、若い人の中にも、表情によって一時的に生じるシワが消えにくいタイプがいることを意味している。

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【補足資料4】 シワ回復係数と皮膚弾性との関係

皮膚弾性は、加えていた圧力を取り除いた際に皮膚が元に戻ろうとする性質を示しており、皮膚弾性が大きいほど瞬時的に元に戻りやすいことを意味する。皮膚弾性とシワ回復係数との関係を調べた(※年齢の影響による見かけ上の相関を排除して分析した)結果、比例関係にあることが判明した(図5)。これより、皮膚弾性が大きいほどシワは消えやすい可能性があることが示唆された。

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