なぜ、ニチレイの株価は年初来高値を更新したのか?

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(画像= La Caprese)

2022年11月22日、東京証券取引所でニチレイの株価が一時2,830円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年6月17日につけた年初来安値の2,171円から約5カ月で30.4%の上昇である。

ニチレイといえば、 まず冷凍食品をイメージする人も多いことだろう。同社は、家庭用・業務用の冷凍食品やレトルト食品を取り扱うニチレイフーズのほか、水産品や畜産品の輸出入・加工・販売を行うニチレイフレッシュ、冷蔵倉庫や低温輸送を運営するニチレイロジグループ本社(中間持株会社)、医薬品・機能性素材事業などを行っているニチレイバイオサイエンスを傘下に置く持株会社である。

後段で述べる通り、ニチレイの2023年3月期・第2四半期(2022年4月1日~9月30日)の連結業績は増収減益となったものの、傘下のニチレイフーズが家庭用・業務用食品の値上げを決めたことや、11月15日に自社株買いが発表されたことで株価上昇に弾みをつけることとなった。

今回はニチレイの話題をお届けしよう。

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ニチレイ、2023年3月期・第2四半期は増収減益

11月1日、ニチレイは2023年3月期・第2四半期(2022年4月1日~9月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期に比べて9.3%増の3,218億3,600万円、本業の利益を示す営業利益は同8.2%減の147億900万円、経常利益は7.4%減の150億900万円、純利益は11.8%減の97億9,800万円と増収減益となった。同期の売上高は主力の加工食品事業や低温物流事業の堅調を背景に増加したものの、営業利益は原材料コストやエネルギーコストなどの高騰が響いて減益となった。

(画像= La Caprese)

主なセグメントの業績をみると、まず「加工食品事業」の売上高が前年同期に比べて12.1%増の1,353億3,400万円、営業利益は同8.4%減の61億9,700万円となった。売上高は外食需要が回復するなか、業務用調理品が伸長したことに加え、北米子会社の供給体制強化も貢献し、増収となった。しかし、営業利益は、価格改定効果やタイ子会社の業績回復などのプラス要因があったものの、原材料費の高騰や為替の円安等による仕入れコストの上昇に加え、生産工場におけるエネルギーコストの大幅な上昇も響き、全体では減益となった。

売上高は堅調だが、営業利益は減少

一方、「水産事業」の売上高は前年同期に比べて2.7%増の325億1,300万円、営業利益は同76.6%減の1億4,600万円となった。売上高は主力の「えび」を中心に外食向けの販売が好調に推移したことにより増収となったものの、営業利益は好調だった前年同期の反動もあり減益となった。

また、「畜産事業」のセグメントは、売上高が前年同期に比べて5.8%増の420億1,400万円、営業利益は同9.9%減の5億2,300万円となった。売上高は中食・外食向けの加工品や輸入冷凍品の伸長で増収となったものの、営業利益は飼料価格の高騰などの調達コストを吸収できずに減益となった。

「低温物流事業」のセグメントは、売上高が前年同期に比べて8.7%増の1,191億6,400万円、営業利益は7.5%減の72億2,300万円となった。同セグメントの売上高は物流ネットワーク事業や地域保管事業が堅調に推移したことに加え、海外事業も好調に推移し増収となった。しかし、営業利益は業務改善および運送効率化などの施策を推進したものの、燃料価格の高騰に伴う電力コストの上昇などにより減益となった。

ニチレイ、通期の営業利益で増益となるか?

上記の通り、ニチレイの業績をみると売上高は堅調なのだが、一方で原材料価格やエネルギーコスト、仕入れコスト等の高騰が利益を圧迫する典型的な「増収減益」の構図となっている。

そうしたなかで注目されるのは、10月31日に傘下のニチレイフーズが家庭用・業務用食品の出荷価格を値上げすると発表したことだ。実施は2023年2月からで、家庭用冷凍食品のほぼ全品を約6~20%、業務用冷凍・常温食品を約5~25%値上げする。原材料価格の高騰に加え、急速な円安による輸入コストの上昇、包装資材の高騰などによるコスト増に対応する方針だ。株式市場では、今回の値上げにより「増収増益」に改善するとの期待が高まっているようだ。

加えて、11月15日にニチレイが自社株買いを発表したことも株価に追い風となった。今回実施する自社株買いは、発行済み株式数(自己株式を除く)の1.93%に相当する250万株、50億円を上限とするもので、取得期間は2022年11月16日~2023年2月28日となる。

ニチレイは2023年3月期(通期)の連結業績予想について、売上高で前期比9.5%増の6,600億円、営業利益で同0.3%増の315億円、経常利益で0.7%増の319億円、純利益で9.3%減の212億円となる見通しを示している。ここで想定通り、本業の利益を示す営業利益で増益となるか注目されるところである。■

(La Caprese 編集部)

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