記事内に広告が含まれています。

睡眠不足の肌トラブルを改善する植物エキスとは? 丸善製薬の研究成果

睡眠不足,肌,老化
(画像= Canva、La Caprese)

「成長ホルモン」は、文字通り身体の成長を促すホルモンである。成長期を過ぎた大人の場合、この「成長ホルモン」は身体の恒常性維持に関与していることが知られている。

たとえば、丸善製薬(広島県尾道市)によると、肌においては、(1)成長ホルモンが皮膚線維芽細胞に作用してIGF-1(インスリン様成長因子1)の産生を介し、(2)コラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進、(3)さらに、表皮角化細胞に対してもIGF-1の働きを介し、細胞増殖や修復に関与しているという。この(1)(2)(3)の働きが「健康で若々しい肌」の維持に重要な役割を果たすのである。

丸善製薬は、植物を中心とする天然物より医薬品や医薬部外品、化粧品、食品の原料を製造する企業で、さまざまな研究開発に取り組んでいる。2021年10月には化粧品分野における世界的な学術発表の場である『国際化粧品技術者会連盟(IFSCC) 2021 カンクーン中間大会』において、成長ホルモンの働きに着目した『睡眠不足と肌の関係』についての技術発表で、トップ10ポスターに選出されている。

今回は丸善製薬の『睡眠不足と肌の関係』についての研究成果を紹介したい。

スポンサーリンク

成長ホルモンは「健康で若々しい肌」の維持に重要な役割

前述の通り、成長ホルモンは「健康で若々しい肌」の維持に重要な役割を果たしている。

その成長ホルモンは「深い睡眠時に多く分泌される」一方で、睡眠が浅くなるなど「質の悪い睡眠」や「加齢」によってその分泌量が低下することが知られている。そこで、丸善製薬は成長ホルモンの供給量が低下した状況においてもIGF-1の産生(成長ホルモンの働き)を「ブースト」することにより、健康な肌状態の維持に貢献する植物エキスの探索・検討に取り組んできた。

丸善製薬は、まず成長ホルモンの供給量が低下した肌を再現するため、独自の「睡眠不足モデル」を用いた評価法を確立し、その評価法を用いて探索・検討を進めた。

具体的には36歳由来の皮膚線維芽細胞を用いて、わずかなシグナルは誘導するものの、有意なIGF-1 mRNAの発現は誘導しない「低濃度の成長ホルモン」と植物エキスを併用することで、適量の成長ホルモン存在下と同等レベルのIGF-1誘導を促す素材を検討した。

その結果、「トウキンセンカ花エキス」に作用を見出すことができた(図1)。

睡眠不足,肌,老化
(図1) 成長ホルモンとトウキンセンカ花エキスの併用によるIGF-1 mRNA発現促進作用 出典:丸善製薬

興味深いのは、低濃度成長ホルモンと「トウキンセンカ花エキス」の併用により、皮膚線維芽細胞におけるI型コラーゲンおよびヒアルロン酸の産生が促進されることも判明したことだ(図2、図3)。

睡眠不足,肌,老化
(図2)成長ホルモンとトウキンセンカ花エキスの併用によるI型コラーゲン産生促進作用 出典:丸善製薬
睡眠不足,肌,老化
(図3)成長ホルモンとトウキンセンカ花エキスの併用によるヒアルロン酸産生促進作用 出典:丸善製薬

さらに、IGF-1による表皮角化細胞の増殖促進作用を増強する植物エキスとして「ウンシュウミカン果皮エキス」も見出された(図4)。

睡眠不足,肌,老化
(図4)IGF-1とウンシュウミカン果皮エキスの併用による表皮角化細胞増殖促進作用 出典:丸善製薬

植物エキスが睡眠不足の「肌」をサポート

丸善製薬の『睡眠不足と肌の関係』についての研究では、睡眠不足の肌において、その健康維持をサポートする植物エキスとして「トウキンセンカ花エキス」と「ウンシュウミカン果皮エキス」に効果を見出すことができた。

丸善製薬によると、睡眠不足による「肌状態の悪化」は体感性の高い症状とされている。しかし、睡眠の大切さを感じていながらも、仕事や育児などさまざまな要因によって、質と量の両面において十分な睡眠を取ることができない人も少なくはないことだろう。

今回の研究成果は、そんな多忙なライフスタイルの影響等による睡眠不足で悪化した「肌状態」をサポートするための製品開発の道を切り拓くものといえるだろう。丸善製薬のさらなる研究成果が期待されるところだ。■

(La Caprese 編集部)

特集:アンチエイジング最前線
アンチエイジング
タイトルとURLをコピーしました