2023年7月12日、東京証券取引所でパルグループホールディングスの株価が一時4,330円まで買われ、上場来の高値を更新した。2022年4月25日につけた安値1,356円から1年3カ月ほどで3.2倍に上昇した計算である。
パルグループホールディングスは、300円の生活雑貨を中心に販売する「3COINS(スリーコインズ)」のほか、オリジナルブランドの衣料品の企画・販売を手掛ける企業を傘下に置く持株会社である。その歴史は古く、設立は1973年10月にまでさかのぼる。当時のスコッチ洋服店からカジュアル部門が分離するかたちで、株式会社パルが創業、同年に大阪府堺市のダイエー中百舌鳥店でジーンズショップ「パル青山」を開店した。1988年6月には東京に進出し、渋谷パルコにトレンドショップ「アレグロビバーチェ」を開店。そして、1994年4月には大阪市北区茶屋町にて300円ショップ「3COINS」の1号店を開店した。2001年12月には当時のJASDAQ市場に上場。2016年9月には持株会社に移行し、商号を現在のパルグループホールディングスに変更した。
後段で述べる通り、パルグループホールディングスが今週7月11日に発表した①2024年2月期・第1四半期(2023年3月1日~2023年5月31日)の連結業績が大幅な増収増益となり、第1四半期としては2年連続で過去最高の売上高・利益を更新したことに加え、②2023年8月31日を基準日として1株を2株に株式分割すると発表した……ことが株価にも刺激材料となった。
今回はパルグループホールディングスの話題をお届けしよう。
パルグループホールディングス、純利益は31.9%増
7月11日、パルグループホールディングスは2024年2月期・第1四半期(2023年3月1日~2023年5月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比19.9%増の469億9,100万円、本業の利益を示す営業利益は同29.0%増の57億700万円、経常利益は同27.9%増の58億3,300万円、純利益は同31.9%増の40億4,900万円と大幅な増収増益となり、第1四半期としては2年連続で過去最高の売上高・利益を更新した。
同期は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が第2類から第5類へ引き下げられたほか、各種行動制限等の緩和により社会活動が回復し、国内景気に緩やかな持ち直しが見られた。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴うエネルギー価格の上昇や原材料価格の高騰、さらには為替の円安による輸入価格の上昇も加わって、先行きは依然として不透明な状況が継続した。
こうした事業環境のもと、パルグループホールディングスは新型コロナウイルス禍で取り組んできたEC(電子商取引)のさらなる販売強化と、Webプロモーションの強化を推進した。また、新型コロナウイルス禍の各種行動制限等の緩和による人流の増加で、商業施設の集客も好転する中、新規出店の加速と既存店の大型化も進めた。
その結果、前述の通り、同期の売上高は前年同期に比べて19.9%増と大幅に伸長した。特に3コインズ事業は、3年連続で純増100億円を大きく上回る勢いとなった。一方、衣料事業も、タウン系の急回復に加え、カジュアル系のブランドでも、昨年来の勢いが衰えずに推移した。
なお、粗利益率は57.0%と前年比で0.7ポイント減少したものの、今年1月以降では雑貨事業の粗利も回復基調にある。また、販管費率は44.9%となり、前年比で1.5ポイント改善した。EC売上は25.9%増と大幅に伸長し、今期目標のEC売上高500億円突破を視野に入れた状態である。また、新規出店については「3COINS+(プラス)」を中心に42店舗、退店は12店舗となり、純増は30店舗であった。
株式分割で投資家層の拡大期待も
パルグループホールディングスは、2024年2月期(通期=2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想について、売上高で前期比7.7%増の1,772億2,000万円、本業の利益を示す営業利益で同5.0%増の166億2,000万円、経常利益で同4.1%増の167億2,000万円、純利益で同4.3%増の103億8,000万円と従来見通し(2023年4月11日公表)を据え置いた。
なお、冒頭で述べた通り、パルグループホールディングスは2023年8月31日を基準日として1株を2株に株式分割すると発表した。効力発生日は2023年9月1日となる。マーケットでは、株式分割で投資単位当たりの金額が引き下げられることで、株式の流動性が一層高まり、投資家層の拡大を期待する向きもあるようだ。
引き続き、パルグループホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■
(La Caprese 編集部)