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肌の透明感に関与する「内部散乱光」が、加齢とともに減少することを発見――資生堂の研究成果

肌 透明感とは
(画像= acworks / 写真AC、La Caprese)

2022年12月26日、資生堂 <4911> はノルウェー科学技術大学との共同研究により、顔の立体形状に加えて、これまで分析が難しかった肌内部の散乱光を、非侵襲的にビジュアルや数値で総合的に計測・解析できる光学計測システムを開発したことを明らかにした。(図1)

肌 透明感とは
出典:資生堂

さらにこのシステムを活用して、のべ1,000名以上の肌を計測、肌の透明感に重要な内部散乱光を解析したところ、(1)加齢によって内部散乱光が減少すること、(2)また、内部散乱光にはメラニンや角層の状態など5つの要素が関連することを発見した。なお、本研究成果のうち、光学計測システムの開発については、論文誌「Journal of Imaging Science and Technology」へ投稿し、「Charles E. Ives Journal Award」を受賞している。加えて、本研究成果の一部は、Optics & Photonics Japan 2022(2022/11/13-11/16)でも発表した。

今回は資生堂の研究成果を紹介したい。

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肌の質感に重要な役割を果たす「内部散乱光」

まず、肌に光が当たると、その一部の光は肌の表面で反射し(表面反射光)、その他の光は皮膚の内部に侵入する(拡散反射光)。肌は半透明な性質を持つため、皮膚の内部で光が広がり、光が入った箇所とは離れた箇所から光(内部散乱光)が出ていく(図2)。

肌 透明感とは
出典:資生堂

これら表面での反射光や拡散反射光、内部散乱光は肌の質感にとって重要な役割を果たす。特に「透明感のある肌」にとって内部散乱光は重要であることが、資生堂の先行研究からも示されている。

そこで、資生堂は今回、ノルウェー科学技術大学との共同研究で、顔の立体形状とともに、表面反射光と拡散反射光を計測し、さらには肌内部に入った光である内部散乱光をより細かく分解できる世界初の光解析システムを開発することに成功した(図3)。

肌 透明感とは
出典:資生堂

さらに上記の光解析システムを使って、加齢によって起こる肌の質感変化の要因を検討した。

加齢による「内部散乱光」の減少を確認

本研究では、これまで限られた面積のみで行われていた先行研究における計測を「顔の肌全体」へと拡張させた。さらに、20代から70代の、のべ1,000名以上の女性の肌を計測した結果、加齢によって肌の内部散乱光が減少することを発見した(図4)。このことから、加齢による肌の質感変化、特に透明感の変化には、肌の内部散乱光が関わっていると考えられる。

肌 透明感とは
出典:資生堂

「内部散乱光」には、メラニンや角層の状態など5つの要素が関連していた

さらに本研究では、内部散乱光の計測と共に、肌を構成するさまざまな要素を測定した。今回、それらの関連性を解析したところ、内部散乱光に影響を与えている肌の要素として、メラニン量、角層の状態、皮膚水分量、コラーゲンの状態、キメの状態の5つの要素が関連することが判明した(図5、図6、図7) 。

肌 透明感とは
出典:資生堂
肌 透明感とは
出典:資生堂
肌 透明感とは
出典:資生堂

肌の透明感など見た目の「質感」は、個人の印象など主観的に評価されがちな面もあるが、資生堂は最先端の科学の力で「肌の質感」を客観的・定量的に解き明かし、一人ひとりの消費者の「なりたい肌」の実現に向け、さらに研究を推進する方針である。

資生堂のさらなる研究成果に期待したい。■

(La Caprese 編集部)

特集:美肌を科学する
美肌,科学的根拠
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