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ホクト、V字回復が鮮明。株価は昨年来高値、国内きのこ事業が好調

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(画像= La Caprese)

2024年3月11日、東京証券取引所でホクトの株価が一時1,940円まで買われ、昨年来高値を更新した。2023年12月13日の安値1,708円から3カ月で13.6%の上昇である。

ホクトは、食用きのこや食品包装資材の開発・製造・販売を展開する企業である。その源流は、長野県長野市にて食品包装資材ディーラーとして創業した「デラップス商事」にまでさかのぼる。その後、1968年にポリプロピレン製のきのこ栽培容器の製造・販売を開始、1983年には「きのこ総合研究所」を設立し、きのこの新品種の開発から製造・販売までを手がけるようになった。1994年に株式を店頭公開し、1999年には東京証券取引所1部に上場している。

後段で述べる通り、❶ホクトが2月9日に公表した2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績で営業損益・経常損益・純損益が黒字に転換し、V字回復を示したことに加え、❷3月8日には2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想の各利益を上方修正したこと、❸さらに、従来計画で未定としていた2024年3月期の年間配当予想を50円とする方針を示したこと……などが株価にも追い風となった。

今回はホクトの話題をお届けしよう。

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ホクトが黒字転換。V字回復が鮮明に

2月9日、ホクトは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上高で前年同期比8.8%増の585億7,900万円、本業の利益を示す営業利益で14億3,600万円(前年同期は30億8,000万円の営業損失)、経常利益は22億6,300万円(前年同期は20億8,200万円の経常損失)、純利益は14億7,300万円(前年同期は17億300万円の純損失)と各段階の損益で黒字転換し、V字回復を示した。

主要セグメントの概況は以下の通りである。

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国内きのこ事業:「きのこで菌活」や生産調整などを実施

国内きのこ事業の売上高は前年同期比11.5%増の380億4,900万円と好調に推移した。

同期は、生産部門の衛生管理をより徹底し、品質の向上と安定栽培に努めた。また、研究部門では品質管理体制の強化、付加価値の高い新製品の開発、既存のきのこの改良並びにきのこの薬理効果や機能性の追求に取り組んだ。さらに、営業部門ではきのこ需要を喚起すべく、健康・美容・スポーツを3本柱とした「きのこで菌活」を展開した。販売面では、秋の高温・干ばつの影響で野菜相場の高値基調が続く中、きのこの需給を改善すべく生産調整を行った結果、きのこ価格は前年を上回る水準で推移し業績に寄与した。

海外きのこ事業:米国法人の増収増益がけん引

海外きのこ事業の売上高は前年同期比16.6%増の55億2,200万円と大幅に伸長した。

同期は米国の現地法人「HOKTO KINOKO COMPANY」が値上げ効果を背景に増収増益となった。一方、台湾の現地法人「台灣北斗生技股份有限公司」は小売り各社との価格競争激化に加え、各顧客先で値上げ申請が却下されたことから売上・営業利益ともに計画未達となった。マレーシアの現地法人「HOKTO MALAYSIA SDN. BHD.」も安価な他のきのこの影響もあり計画未達となった。その結果、海外きのこ事業は米国法人の増収増益がけん引することとなった。

加工品事業:コンビニ向け等の売上低調

加工品事業の売上高は前年同期比6.5%減の57億7,900万円となった。

同期は、デリカ向け商品やメーカー向け販売が順調だったほか、青果向け市販用加工商品も好調に推移した。しかし、その一方で主力のコンビニエンスストア向けは原料値上げやメニューへの採用が減少し、売上高は低調に推移した。通販事業は自社ECサイトを中心に売上高は伸長した。また、子会社のアーデンの売上高は計画を下回ったものの、製造経費を削減したことで営業利益は計画を上回った。

化成品事業:強弱要因が混在

化成品事業の売上高は前年同期比4.6%増の92億2,700万円となった。

包装資材を主要事業とする第一営業部では、観光土産関連が堅調に推移する一方、工業資材販売は苦戦を強いられた。また、自社製品の生産・販売および農業資材販売を中心とする第二営業部では、きのこ生産者向けに需給がひっ迫する一部生産原料や培地の安定供給に注力したほか、スポットの設備投資需要を取り込んだ。このように強弱要因が混在する中、化成品事業は小幅ながら増収となった。

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今期の各利益予想を大幅に上方修正

3月8日、ホクトは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比8.0%増の788億円、営業利益で27億円(前年同期は29億4,800万円の営業損失)、経常利益で39億円(前年同期は18億5,400万円の経常損失)、純利益で28億円(前年同期は20億3,700万円の純損失)となる見通しを示した。これは従来予想(2023年5月12日公表)に比べて、売上高はマイナス1.7%となったものの、営業利益はプラス40.6%、経常利益はプラス84.8%、純利益はプラス300.0%と各利益は大幅な上方修正となった。

ホクトは各利益予想を大幅に上方修正した理由について、①原材料費、電力費、燃料費等の製造原価が計画を下回ったことで、営業利益は計画を上回る見込みとなったこと、②また、営業外でも円安進行の影響で想定外の為替差益が発生する見込みであること、③さらに、子会社からの配当金が計画も上回ったことで、経常利益と純利益も計画を大幅に上回る見込みとなったこと……を挙げている。なお、冒頭でも述べた通り、ホクトは従来計画で未定としていた2024年3月期の年間配当予想を50円とする方針を示した。

引き続き、ホクトの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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