2024年4月19日、東京証券取引所でブロンコビリーの株価が一時3,985円まで買われ、年初来高値を更新した。今年1月4日の安値3,120円から3カ月半で27.7%の上昇である。
ブロンコビリーは、レストラン事業並びに調味料・惣菜等の製造・販売を展開する企業である。その源流は、1969年に愛知県名古屋市にて創業した喫茶店「トミヤマ」にまでさかのぼる。創業者の竹市靖公氏は当時26歳であった。「トミヤマ」はとてもよく流行った喫茶店ではあったが、竹市氏は「もっとより多くのお客様、より多くの仲間と出会い、働いている人たちにも夢が共有できるような会社を創りたい」と考え、休日の度に自らの足で日本全国の繁盛店の視察を続けたという。その中でみつけた新しい業態が「ステーキハウス」であった。そして1978年、トミヤマの敷地内にステーキハウス「ブロンコ」をオープン、1980年には店名を「ブロンコビリー」に変更した。現在は、「ブロンコビリー」136店舗、「とんかつ かつひろ」3店舗の合計139店舗を展開する企業に成長している(2024年3月31日現在)。
後段で述べる通り、ブロンコビリーが4月18日に公表した2024年12月期・第1四半期(2024年1月1日~2024年3月31日)の連結業績が大幅な増収増益を示したことが、株価にも刺激材料となったようだ。
今回はブロンコビリーの話題をお届けしよう。
ブロンコビリー、純利益は180.3%増
4月18日、ブロンコビリーは2024年12月期・第1四半期(2024年1月1日~2024年3月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上高が前年同期比15.7%増の65億2,700万円、本業の利益を示す営業利益は同161.8%増の7億7,700万円、経常利益は同152.8%増の7億9,300万円、純利益は同180.3%増の5億2,700万円と大幅な増収増益となった。
同期は、ウクライナ情勢の長期化による資源や原料供給網の弱体化、為替相場の円安等を背景に原材料をはじめとした各種コスト上昇の中、収益性の改善において厳しい経営環境が続いた。外食業界はアフターコロナで客数が順調な回復傾向にあるものの、食材価格や労働力不足による人件費上昇など、厳しい状況は依然として継続している。
こうした状況下、ブロンコビリーは原料の調達幅を広げ、数量限定での高品質なお買い得ステーキの投入を加速させ、また、全店展開中の季節感を感じる贅沢スープのメニュー改定など、引き続き高付加価値商品の魅力を提供することでディナー集客の改善に努めた。さらに、消費者へ提供する商品サービスの品質維持にもっとも重要な主力のパート・アルバイトの雇用維持に努めることで、客数の回復にも状態を維持しながらの営業継続に努めた。また、家庭でもブロンコビリーを味わえるように、ソース・ドレッシングのブロンコビリー全店店頭販売に加え、中部地区の一部量販店でも販売を開始した。今後、さらなる商品品質向上と店舗数増加に対応できるようにグループとしての生産体制を整える方針である。
一方、販促面では自社アプリに登録してもらう消費者の数を増やし、季節イベントを通して新規顧客並びにコア顧客層の再来店を促す取り組みを強化し、着実に実績を積み上げてきた。また、店舗面では関東・関西・東海・九州各地区の既存店の強化にも取り組んだ。その結果、2024年3月31日現在の店舗数は、「ブロンコビリー」136店舗、「とんかつ かつひろ」3店舗の合計139店舗となった。さらに、経営の透明性向上と意思決定の迅速化を目的として、2024年3月26日付で監査等委員会設置会社へ移行した。
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業績好調だが、不確定要因も…
4月18日、ブロンコビリーは2024年12月期・通期(2024年 1月 1日~2024年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比6.9%増の250億円、本業の利益を示す営業利益で同18.6%増の19億5,000万円、経常利益で同17.0%増の20億円、純利益で同19.6%増の12億円と従来予想(2024年1月19日公表)を据え置いた。
ブロンコビリーは、①第1四半期については、アフターコロナにおける来店客数が前年同期と比較しても回復するとともに、コロナ前の水準にも回復し、売上高は好調に推移したほか、利益面についても仕入価格の上昇をアメーバ経営によるコストコントロール等で吸収したことにより、営業利益をはじめとする各利益は予想に対して高い進捗状況となった、②しかしながら、資源価格や原材料の仕入価格の高騰等の様々な要因を明確に予想することは現時点で困難なこと、③2024年3月12日に公表したレ・ヴァンの株式取得(子会社化)に関して、グループ連結業績に与える影響は軽微と見込んでいるものの、業績見通しについては現在精査中であること……を鑑み従来予想を据え置いたとしている。
引き続き、ブロンコビリーの業績や株価を注視しておきたい。■
(La Caprese 編集部)