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セコム、純利益が過去最高。株価は昨年来高値、セキュリティサービスや防災事業など好調

セコム,株価,上昇,理由
(画像= Rossi0917 / 写真AC、La Caprese)

2024年3月6日、東京証券取引所でセコムの株価が一時1万1,450円まで買われ、昨年来高値を更新した。2023年1月10日の安値7,301円から約14カ月で56.8%の上昇である。

セコムは、東京都渋谷区に本社を置く警備保障会社である。その源流は、1962年創業の「日本警備保障」にまでさかのぼる。1964年開催の東京オリンピックでは選手村等の警備を担当したほか、1965年には日本警備保障をモデルにしたテレビドラマ『ザ・ガードマン』の大ヒットで、同社の知名度は一気に高まることになる。1966年には日本で初めて企業向けのオンライン・セキュリティシステムを開発、1981年にはホームセキュリティシステムを開発し、家庭市場を開拓した。現在は、日本国内で約266万6,000件、海外で約105万7,000件(2023年9月末現在)の契約先を有する警備保障会社に成長した。

後段で述べる通り、セコムが公表した2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績が増収増益となり、同期としては売上高・経常利益・純利益で過去最高を達成するなど好調な業績が、株価にも追い風となっているようだ。

今回はセコムの話題をお届けしよう。

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セコム、売上高・経常利益・純利益で過去最高を達成

2月8日、セコムは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上高が前年同期比5.2%増の8,356億円、本業の利益を示す営業利益は同3.6%増の1,036億円、経常利益は同6.7%増の1,197億円、純利益は同6.2%増の763億円の増収増益となった。

同期は、①2022年7月より連結子会社となったセノンの寄与に加え、②事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売が堅調に推移したこと、③セキュリティサービス事業の増収……などが売上増加に貢献した。一方、営業利益は、地理空間情報サービス事業およびBPO・ICT事業が減益となったものの、セキュリティサービス事業や防災事業および保険事業などの増益が寄与して営業増益となった。また、経常利益と純利益は、米国などにおける投資事業組合運用益が47億円増加したことなども寄与して増益となった。その結果、同期としては売上高・経常利益・純利益で過去最高を達成した。

主なセグメントの概況は以下の通りである。

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セキュリティサービス事業

セキュリティサービス事業の売上高は前年同期比5.5%増の4,519億円、営業利益は同3.4%増の849億円と増収増益となった。同期は、2022年7月より連結子会社となったセノンの寄与に加え、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステムや安全商品も堅調に推移し、増収増益に貢献した。

防災事業

防災事業の売上高は前年同期比10.8%増の1,085億円、営業利益は同98.4%増の52億円と増収増益となった。同期は、消火設備や火災報知設備の増収、さらには火災報知設備の原価率の低下などが増収増益に寄与した。なお、防災事業は建設業界の影響を受ける部分が多く、収益は期末に向けて集中する傾向がある。

メディカルサービス事業

メディカルサービス事業の売上高は前年同期比3.7%増の600億円、営業利益は同5.4%増の48億円と増収増益となった。同期は、インドにおける総合病院事業会社タクシャシーラ ホスピタルズ オペレーティング Pvt.Ltd.の増収および医薬品の販売が好調となったことなどが増収増益に寄与した。

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保険事業

保険事業の売上高は前年同期比5.4%増の428億円、営業利益は同14.9%増の100億円と増収増益となった。同期は、保険引受収益および運用収益の増収などに加え、自然災害による損害の減少などが増収増益に寄与した。

地理空間情報サービス事業

地理空間情報サービス事業の売上高は前年同期比5.4%減の384億円、営業損益は600万円の営業損失(前年同期は17億円の営業利益)となった。同期は、国内公共部門の減収などに加えて、工事損失引当金の計上などによる原価の増加や人件費の増加などによる販売費および一般管理費の増加により、減収減益となった。

BPO・ICT事業

BPO・ICT事業の売上高は前年同期比0.5%増の937億円、営業利益は同12.3%減の79億円となった。同期は、コンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供するTMJが減収となる一方で、データセンター事業は増収となった。一方、利益面ではTMJの減収および原価率の上昇などがマイナス要因となった。

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セコム、AIなど最先端テクノロジーの活用を推進

2月8日、セコムは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上で前期比4.2%増の1兆1,475億円、本業の利益を示す営業利益で同0.1%増の1,368億円、経常利益で同1.2%減の1,543億円、純利益で同2.1%減の941億円と従来予想(2023年11月9日公表)を据え置いた。

ちなみに、セコムは2023年10月に日本初のAI(人工知能)を活用して巡回・侵入監視を行うセキュリティドローン「セコムドローンXX(ダブルエックス)」の開発を発表したほか、同12月にはウェブブラウザや専用のスマートフォンアプリを使用した、遠隔での入退室管理が可能なサービス「セコムクラウド型アクセスコントロール」の販売を開始している。こうした最先端テクノロジーを活用したセコムの取り組みが、今後の業績や株価にどう影響するのか、引き続き注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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