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セイコーグループ、純利益は31.3%増。株価は昨年来高値、グローバルブランドのウオッチ好調

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(画像= TYS_creation / 写真AC、La Caprese)

2024年2月22日、東京証券取引所でセイコーグループの株価が一時3,335円まで買われ、昨年来高値を更新した。2023年10月30日の安値2,272円から4カ月足らずで46.8%の上昇である。

セイコーグループは、東京都中央区に本社を置く精密機器メーカーである。その源流は、1881年に服部金太郎氏が創業した時計の小売・修理の店「服部時計店」にまでさかのぼる。以来、国産初の腕時計や世界初のクオーツウオッチを発売するなど、革新的な商品を世に送り出してきた。現在ではグループ各社がウオッチをはじめ、電子デバイス、情報機器、クロックなど、多様な事業を展開している。セイコーグループは、それらグループ各社の連結経営管理を担う中心的企業である。

後段で述べる通り、セイコーグループが公表した、❶2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績が増収増益となったことに加え、❷2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想を上方修正したこと、❸さらに、2024年3月期の年間配当予想を従来計画の75円から80円に増額修正したこと……などが株価にも刺激材料となった。

今回はセイコーグループの話題をお届けしよう。

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セイコーグループ、純利益は31.3%増

2月14日、セイコーグループは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上高が前年同期比4.2%増の2,056億円、本業の利益を示す営業利益は同13.6%増の141億円、経常利益は同20.5%増の153億円、純利益は同31.3%増の106億円となった。

同期の経営環境は、高インフレが継続する中で世界的な金融引き締めの状況が継続した。米国経済は減速懸念がありながらも堅調に推移したものの、欧州経済は景気減速が顕在化した。さらに、中国経済は不動産市場の調整が長引く中で消費マインドの低迷が懸念されている。一方、日本経済はインフレの中でも個人消費は緩やかな回復傾向を示し、またインバウンド需要も引き続き回復基調を辿っている。

こうした環境下、セイコーグループは、エモーショナルバリューソリューション事業において、国内市場向けのウオッチ事業および和光事業が、個人消費やインバウンド需要の回復を背景に大きく売上高を伸ばした。また、海外市場向けのウオッチ事業も欧州、アジア地域で好調に推移した。一方、デバイスソリューション事業は、中国経済停滞の長期化や電子デバイス市場の在庫調整等、事業環境が低迷するなかで売上高は前年同期を大きく下回ったものの、一部製品で需要回復の兆しも見え始めている。また、システムソリューション事業は多角化やストックビジネス拡大への取り組みが引き続き奏功し、前年同期を上回る売上高となった。

なお、セグメント別の概況は以下の通りである。

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エモーショナルバリューソリューション事業:グローバルブランドのウオッチ好調

エモーショナルバリューソリューション事業の売上高は前年同期比10.1%増の1,425億円、営業利益は同45.3%増の159億円と大幅な増収増益となった。

同期は、国内のウオッチにおいて、個人消費やインバウンド需要の回復を背景に「グランドセイコー」「セイコープロスペックス」などのグローバルブランドが好調に推移した。海外は中国の回復が遅れたものの、米国や欧州、アジアで「セイコープレザージュ」「セイコー5スポーツ」などのグローバルブランドを中心に伸長した。

一方、ウオッチムーブメントの外販ビジネスは、中国経済の低迷を受けて前年同期を下回った。和光事業は好調なインバウンド需要を背景に好調に推移したが、クロック事業は海外向けで中国経済の低迷を受けるなど伸び悩んだ。

デバイスソリューション事業:中国経済の停滞などで減収減益

デバイスソリューション事業の売上高は前年同期比15.5%減の422億円、営業利益は同81.9%減の9億円と大幅な減収減益となった。

同期は、中国経済の停滞が長期化したことに加え、電子デバイス市場での在庫調整の継続がマイナス要因となった。サーマルプリンタや半導体製造装置向けの高機能金属、精密部品等が低迷し、大幅な減収減益を余儀なくされた。ただし、酸化銀電池や水晶など、一部の事業では回復の兆しも見られた。

システムソリューション事業:31四半期連続の増収増益

システムソリューション事業の売上高は前年同期比6.2%増の286億円、営業利益は同8.8%増の34億円と増収増益となった。

同期は、デジタル化の波を受け電子契約関連のビジネスが伸長した。また、性能管理・セキュリティ関連ビジネスなどデジタルインフラを支える事業が拡大したこと等もプラス要因となった。その結果、システムソリューション事業は31四半期連続の増収増益となった。

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通期の連結業績予想を上方修正、年間配当予想も増額へ

2月14日、セイコーグループは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比5.6%増の2,750億円、本業の利益を示す営業利益で同24.6%増の140億円、経常利益で同29.8%増の145億円、純利益で同79.0%増の90億円となる見通しを示した。これは従来予想(2023年11月14日公表)に比べて、売上高でプラス2.6%、営業利益でプラス16.7%、経常利益でプラス20.8%、純利益でプラス12.5%の上方修正である。

セイコーグループは上方修正の理由について、デバイスソリューション事業は減収減益となったものの、エモーショナルバリューソリューション事業が前年同期と比べて大幅な増収増益となり業績全体を牽引したことを挙げている。なお、冒頭で述べた通り、セイコーグループは2024年3月期の年間配当予想について、従来計画の75円から80円に増額修正する意向を示した。

引き続き、セイコーグループの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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