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三省堂、辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2023』ベスト10を選定。「地球沸騰化」「ハルシネーション」「かわちい」などがランクイン

三省堂,新語大賞
(画像= Canva、La Caprese)

2023年11月30日、辞書のトップメーカーである三省堂(本社:東京都千代田区)は「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2023』選考発表会」を実施し、2023年を代表・象徴する新語ベスト10を発表した。

新語の選定にあたっては一般公募を行い、応募総数は延べ2,207通となった。これらの投稿などをもとに、辞書を編む専門家である選考委員が一語一語厳正に審査し、「今年の新語2023」ベスト10を選定した。

以下はその要旨である。

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三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2023』

三省堂,新語大賞
(画像1) 出典:三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2023』

大賞は、危機を明確に警告する「地球沸騰化」

大賞は「地球沸騰化」が選ばれた。この言葉は、本年7月に全世界の平均気温が観測史上もっとも高温になるという予測からアントニオ・グテーレス国連事務総長が発したものである。「地球温暖化」への対策は人類の喫緊の課題として取り組まれているものの、気温上昇の抑止はなかなか思うように進まず、このままでは破滅に至るという危機感と、さらにいっそうの取り組みを促す意が込められたことばである。

2023年は「硬派なことば」が多数ランクイン

三省堂,新語大賞
(画像2) 出典:三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2023』

今回、ランキングに入ったことばは、結果的に例年になく「硬派なことば」が多く並んだ。「硬派」とは、私たちを取り巻く状況と将来を考えるにあたって重く受け止めなければならないという意味。本年はそういうことばが目立った年でもあったようだ。TOP10は以下の通り。

第1位「地球沸騰化」

まさに世界全体の危機感と、よりいっそうの取り組みが求められているという課題の再認識を求めることば。

第2位「ハルシネーション」

生成AIが生み出す、まるで幻覚であるかのような事実とは異なる情報のこと。このことば自体はあまりなじみのない語かもしれないが、投稿数の多かった「生成AI」「Chat(チャット)GPT」に代表されるように本年はAIの衝撃が全世界を覆った年でもあった。「生成AI」「ChatGPT」は実は本年改訂された『三省堂現代新国語辞典第七版』に収録されている語であることからランキングには取り上げられなかったが、生成AIのメリットの一方でデメリットのひとつである「ハルシネーション」を今年の新語として上げておくべきだと判断した。

第3位「かわちい」

「かわちい」はSNSなどで急激に使用されたことば。「うれちい」「おいちい」など「しい」が「ちい」に変化した語があるが、感情を主観的に表す語が多く含まれる「しい」のつく形容詞に寄ったかたちをとることで、「うれちい」ということばもより感情を強めた表現として使われるようになっているとも考えられる。

第4位「性加害」「性被害」

こちらも世間を騒がせたことばであるが、このことば自体はここ数年急速に使われるようになったことばでもある。特に「性加害」はあまり見られなかったことばであるが、このことばが一般化したことで性や性別に関する嫌がらせを広く議論の対象にすることができるようになった。

第5位「○○ウォッシュ」

このことばは、「ホワイトウォッシュ」や「グリーンウォッシュ」などの語として使われ、企業などが批判をかわすために体裁を取り繕う活動の意を表す。これらの語も2020年代によく目にするようになった。

第6位「アクスタ」

「アクリルスタンド」の略語で、アクリル樹脂製の板にアニメ・ゲーム・漫画等のキャラクターやアイドルの写真などを印刷したグッズのこと。「推し活」(ファンとして応援する活動)の一環としても使われている。

第7位「トーンポリシング」

相手の主張に対し、その中身を問題にせず、「話し方」や「態度」などを批判して論点をそらすことを言う。

第8位「リポスト」

SNSのツイッターが突然「X」に名称変更となり、「リツイート」も「リポスト」と変更となったことで困惑と混乱が広がった。しかしながら、インスタグラムではもともとリポストの名称であり、そもそも英語の repost は「再投稿」の意味であることから、SNSで他の人が投稿した内容を自分のアカウントに表示させて紹介する、という一般名称として位置づけられたとも言えそうだ。

第9位「人道回廊」

戦闘地域から民間人を避難させる経路(脱出ルート)のこと。昨年はウクライナ戦争でこのことばが登場したが、本年はさらにイスラエルとハマスとの軍事衝突のなか、ガザ地区に開設されたことでさらに見聞きすることとなった。

第10位「闇バイト」

特殊詐欺や強盗など犯罪行為に強制的に加担させられるアルバイトのこと。本年1月、海外から指示して闇バイトによって犯罪を実行していた人物が逮捕されたことで知られるようになった。

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