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ファーストリテイリング、次の10年で売上10兆円目指す。株価は年初来高値、既存店売上高は6カ月連続のプラス

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(画像= La Caprese)

2023年6月7日、東京証券取引所でファーストリテイリングの株価が一時3万5,270円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月16日の安値2万3,690円から5カ月足らずで48.9%の上昇である。

ファーストリテイリングは、カジュアル衣料品の「ユニクロ」や「ジーユー」などの小売店舗を展開する企業群を傘下に置く持株会社である。その源流は1949年に山口県宇部市で創業したメンズショップ小郡商事にまでさかのぼる。広島県広島市にユニクロ第1号店を出店したのは35年後の1984年のことで、1991年には商号を小郡商事からファーストリテイリングに変更、1997年には当時の東京証券取引所市場第二部に上場を果たした。そして、1998年にはユニクロで発売した1,900円のフリースが話題を呼び一躍ブームとなった。その後も、ヒートテック、エアリズム、ウルトラライトダウンなど数々のヒット商品を世に送り出してきた。現在では、売上高でZARAを擁するスペインのインディテックス、スウェーデンのH&Mに次ぐ、世界3位のアパレル製造小売業に成長している(2023年5月31日時点)。

後段で述べる通り、ファーストリテイリングが4月13日に発表した①2023年8月期・第2四半期(2022年9月1日~2023年2月28日)の連結業績が大幅な増収増益となり、同期としては売上収益と営業利益で過去最高を更新したこと、②通期の業績見通しを上方修正したこと、③柳井正会長兼社長が同日の会見で、今後10年間で10兆円の売上高を目指すという新たな目標を示したこと、④6月2日発表の国内ユニクロ事業の既存店とEコマースを合わせた5月の売上高が前年同月比4.4%増と6カ月連続のプラスとなったこと……などが株価にも追い風となっている。

今回はファーストリテイリングの話題をお届けしよう。

ファーストリテイリング、営業利益が過去最高

4月13日、ファーストリテイリングが発表した2023年8月期・第2四半期(2022年9月1日~2023年2月28日)の連結業績は、売上収益が前年同期比20.4%増の1兆4,673億円、本業の利益を示す営業利益は同16.4%増の2,202億円と大幅な増収増益となり、同期としては過去最高を更新した。また、純利益は同4.5%増の1,533億円となった。

ファーストリテイリングは2022年から「収益の柱の多様化」を掲げ、ブランディングの強化、消費者ニーズに応え価値を伝える商売、出店の加速を推し進めてきた。その成果は着実に現れており、特に東南アジアや北米、欧州のユニクロ事業、ジーユー事業は大幅な増収増益を記録した。

主なセグメント別の状況は以下の通りである。

国内ユニクロ事業は増収減益

国内ユニクロ事業の売上収益は前年同期比11.9%増の4,951億円、営業利益は同1.6%減の673億円となった。同期は売上収益が2ケタを超える大幅な増収となったが、営業利益は円安による原価率上昇で減益となった。

同期は秋冬商品やヒートテックインナーなどの冬の防寒衣料の販売が好調だった。加えて、タックワイドパンツなどの春物商品、感動ジャケット、感動パンツ、シャツなどの新生活需要にマッチした商品の販売も好調に推移した。その結果、既存店売上高は10.0%増となった。一方、利益面では、期中に急激に円安が進行したことで、追加発注した商品の調達コストが大幅に増加し、売上総利益率が同2.2ポイント低下した。

海外ユニクロ事業は大幅な増収増益

海外ユニクロ事業の売上収益は前年同期比27.3%増の7,552億円、営業利益は同22.2%増の1,226億円と大幅な増収増益となった。

同期は、特に東南アジアやインド、豪州地区のほか、北米、欧州(ロシアを除く)で本格的な成長フェーズに入り、大幅な増収増益を記録した。新型コロナウイルス禍やインフレの進行などにより、この数年で服への需要が急速に変化し、高品質、ベーシックで長く着られるLifeWearへのニーズが高まったことに加え、ブランディングや地域に根差した商売を強化するなど、積極的に事業拡大を進めたことが好調な業績をもたらした。

地域別(現地通貨ベース)では、グレーターチャイナが第1四半期の新型コロナウイルス感染症の影響を受け減収減益となった。ただし、今年1月以降は売上が回復しており、第2四半期は若干の減収、大幅な増益と業績は回復基調にある。また、韓国は増収増益となったほか、東南アジアやインド、豪州地区は大幅な増収増益となった。コア商品を中心とした継続的な情報発信が奏功し、顧客層が拡大した。北米も大幅な増収増益となった。冬物コア商品のマーケティングを強化したことや、シーズン商戦に合わせて情報発信をタイムリーに行ったことで、期を通して既存店売上高は大幅な増収となった。欧州(ロシアを除く)も大幅な増収増益となった。継続的に商品の機能性や価値を訴求したことが奏功し、顧客層が拡大し、好調な業績をもたらした。

ジーユー事業、ヒートパデッドアウターやバギースラックスなど販売好調

ジーユー事業の売上収益は前年同期比18.5%増の1,455億円、営業利益は同39.2%増の130億円と大幅な増収増益となった。

同期は品番数を絞り込み、シーズン後半までマストレンド商品の数量を準備し、積極的に商売を行った結果、既存店売上高は大幅な増収となった。特に、ヒートパデッドアウターやスーパーワイドカーゴパンツ、バギースラックスなどの販売が好調だった。

グローバルブランド事業は増収減益

グローバルブランド事業の売上収益は前年同期比19.1%増の702億円、営業利益は同85.3%減の1億円と増収減益となった。

同期は、セオリー事業が大幅な増収となったものの、営業利益は減益となった。これは主に、米国事業で在庫処分を優先したことで、売上総利益率が悪化したことと、グレーターチャイナを中心とするアジア事業が新型コロナの影響を受け、減益となったためである。一方、日本事業は百貨店の客数が回復したことに加え、戦略的に売れ筋商品の在庫を積み増したことで大幅な増収増益となった。プラステ事業は若干の増収となる一方で、赤字幅はやや縮小した。コントワー・デ・コトニエ事業は減収となり、赤字幅は若干拡大した。

過去に例のないまったく新しい情報製造小売業へ

4月13日、ファーストリテイリングは2023年8月期(2022年9月1日~2023年8月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比16.5%増の2兆6,800億円、本業の利益を示す営業利益は同21.1%増の3,600億円、純利益は同12.2%減の2,400億円となる見通しを示した。これは従来予想(2023年1月12日公表)に比べて、売上収益でプラス1.1%、営業利益でプラス2.9%、純利益でプラス4.3%の上方修正である。

柳井正会長兼社長は同日の会見で、「過去20年の成長過程では10年で3倍ずつ売上が伸びた。次の10年は3倍以上に成長し10兆円を目指す」と述べるとともに、成長実現のために「過去に例のないまったく新しい情報製造小売業になる」と強調した。

なお、冒頭で述べた通り、ファーストリテイリングが6月2日に発表した「国内ユニクロ事業 売上推移速報(2023年5月度)」によると、既存店とEコマースを合わせた5月の売上高は前年同月比4.4%増と6カ月連続のプラスとなった。直営店とEコマースを合わせた売上高は同9.0%増でこちらも6カ月連続のプラスを記録した。ファーストリテイリングは「5月は夏物商品やトレンドを捉えた商品の販売が好調だった」としている。

ちなみに、ファーストリテイリングは7月4日に「国内ユニクロ事業 売上推移速報(2023年6月度)」、7月13日には2023年8月期・第3四半期(2022年9月1日~2023年5月31日)の連結業績の発表をそれぞれ予定している。ここでどのような数字が示されるか、株価の動きとともに注目しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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