2023年4月21日、東京証券取引所でハイデイ日高の株価が一時2,374円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月10日の安値1,870円から3カ月あまりで27.0%の上昇である。
ハイデイ日高は、中華食堂「日高屋」などの飲食店をチェーン展開する企業である。「日高屋」は低価格の中華そばや、シンプルで飽きのこない定食のほか、生ビールやつまみなどのサイドメニューも豊富に取り揃え、居酒屋利用層の「ちょい飲み」需要も取り込むなど、幅広い客層を視野に入れた店舗運営を推進している。2023年2月末時点の業態別の直営店舗数は「日高屋」(来来軒含む)が405店舗、「焼鳥日高」(大衆酒場日高含む)が27店舗、その他業態が8店舗の合計440店舗である。
後段で述べる通り、ハイデイ日高が4月12日に発表した2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の業績は、経常利益と純利益が減益となったものの、2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)の業績予想については、大幅な増収増益となる見通しが示されたことが株価にも追い風となった。さらに、4月20日には創業50周年を記念して今期配当の増額修正を発表したことも刺激材料となったようだ。
今回はハイデイ日高の話題をお届けしよう。
ハイデイ日高、直営店舗数は440店舗に
4月12日、ハイデイ日高は2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の業績を発表した。同期の売上高は前期比44.6%増の381億6,800万円、本業の利益を示す営業利益は6億1,500万円(前年同期は35億2,300万円の営業損失)、経常利益は前期比4.5%減の24億7,000万円、純利益は同3.8%減の15億1,900万円となった。
同期の店舗展開は、15店舗出店(東京都5店舗、埼玉県5店舗、千葉県2店舗、神奈川県1店舗、茨城県1店舗、群馬県1店舗)する一方で、退店・FC移行が17店舗となり、2023年2月末時点の直営店舗数は440店舗となった。冒頭で述べた通り、業態別店舗数は「日高屋」(来来軒含む)が405店舗、「焼鳥日高」(大衆酒場日高含む)が27店舗、その他業態は8店舗であった。従来の駅前繁華街への出店に加えて、郊外のロードサイド、乗降客が比較的少ない駅前への出店も行った。
消費者の多様な要望に対応
また、既存店では、キャッシュレス決済やポイントサービスを拡充したほか、テイクアウト・デリバリーサービスも継続し、消費者の多様な要望に対応するよう努めた。タッチパネル式オーダーシステムへの切り替えを進めることで消費者の利便性を高めるとともに、一部の店舗では配膳ロボットを導入するなど、店舗オペレーションの見直しや改善も継続的に行うなど生産性の向上にも努めた。加えて、新型コロナウイルス禍によって短縮していた営業時間も適宜延長した。
価格改定後も来店客数は増加、利用単価も上昇
2022年5月には一部で自動販売機による冷凍食材の販売を開始した。自動販売機は24時間稼働し、店舗の営業時間外も利用できることで、販売は順調に推移している。また、商品面では継続的に季節限定商品や新商品を投入するとともに、ハイデイ日高として初めてカップ麺の監修も行った。カップ麺は2022年4〜6月に日高屋店頭のほか、量販店でも販売され、多くの消費者に訴求することができた。
一方、食材価格や人件費、光熱費などのコスト上昇を受けて、2022年8月26日より「日高屋」業態で商品価格を改定した。「中華そば」の価格は税込み390円で据え置き、その他の商品はおおむね5%程度の値上げを行った。価格改定後も来店客数は増加し、消費者の利用単価も上昇して、売上高も順調に拡大した。
2024年2月期は大幅な増収増益となる見通し
4月12日、ハイデイ日高は2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)の業績予想について、売上高で前期比15.3%増の440億円、本業の利益を示す営業利益で同387.8%増の30億円、経常利益は同19.4%増の29億5,000万円、純利益は同21.8%増の18億5,000万円と大幅な増収増益となる見通しを示した。
ハイデイ日高は、2024年2月期も引き続き新規出店を進めるとともに、スクラップアンドビルドにより、利益を確保することが困難な業績不振店の退店を進める方針で、通期では出店19店舗、退店7店舗を計画していることを明らかにした。また、2023年5月8日から新型コロナウイルスの感染療法上の分類が5類に引き下げられることにより、人流や個人消費の回復基調は継続し、経済・社会活動は正常化するとの見立てを示した。
一方で、原材料価格や電気・ガス等のエネルギー関連価格の高騰、時給単価の上昇に伴う人件費の上昇、消耗品費等の各種コストの増加が続いているが、2023年3月1日より「日高屋」において商品価格を再度改定したあとも来店客数は増加し、消費者の利用単価も上昇、売上高は順調に推移しているという。
なお、ハイデイ日高は2023年2月で創業50周年を迎えた。それに伴い、4月20日には第2四半期末配当として記念配当5円を実施すると発表した。これにより、2024年2月期の配当金は、中間配当で普通配当12円に記念配当5円を加えた17円、期末配当は普通配当12円となり、年間配当は1株当たり29円となる予定である。
引き続き、ハイデイ日高の業績や株価を注視しておきたい。■
(La Caprese 編集部)