ドトール・日レス、通期の純利益は80.2%増の見通し。年間配当を4円増配、株価は昨年来高値

ドトール・日レス,株価,なぜ,上昇資産形成
(画像= La Caprese)

2023年2月20日、東京証券取引所でドトール・日レスホールディングス(以下、ドトール・日レス)の株価が一時1,900円まで買われ、昨年来の高値を更新した。2022年4月13日の安値1,411円から10カ月で34.7%の上昇である。

ドトール・日レスは、ドトールコーヒーと日本レストランシステムを傘下にもつ外食産業の持株会社である。2007年10月1日に、ドトールコーヒーショップやエクセルシオールカフェなどを展開するドトールコーヒーと、洋麺屋五右衛門などを展開する日本レストランシステムが経営統合して誕生した持株会社だ。前述のドトールコーヒーショップ、エクセルシオールカフェ、洋麺屋五右衛門のほか、カフェ マウカメドウズ、スパゲッティー&ピザ オリーブの木、先斗入ル、星乃珈琲店、卵と私など多数のブランドを有する。

後段で述べる通り、1月13日発表の2023年2月期・第3四半期(2022年3月1日~2022年11月30日)の連結業績は純利益が前年同期に比べて18.7%減と大幅な落ち込みをみせたものの、通期予想については純利益で前期比80.2%増(従来予想比139.1%の上方修正)と強気の見通しが示されたことが刺激材料となって、株価にも追い風となったようだ。

今回はドトール・日レスの話題をお届けしよう。

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ドトール・日レス、営業損益が黒字に転換

1月13日、ドトール・日レスは2023年2月期・第3四半期(2022年3月1日~2022年11月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期に比べて15.3%増加の944億5,900万円、本業の利益を示す営業利益は20億4,500万円(前年同期は9億2,100万円の営業損失)、経常利益は24億9,200万円(前年同期は7億4,400万円の経常損失)、純利益は前年同期比18.7%減の29億5,500万円となった。売上高は2ケタの高い伸びを示したほか、営業損益と経常損益はそれぞれ黒字に転換したものの、純利益は大幅な落ち込みとなった。

セグメント別の状況は以下の通りである。

日本レストランシステムグループ、売上高を着実に伸ばす

「日本レストランシステムグループ」のセグメントは、売上高が前年同期比19.5%増の329億3,600万円、セグメント利益は4億9,700万円(前年同期は10億9,400万円のセグメント損失)と好調だった。

「日本レストランシステムグループ」は、2022年3月から全国のまん延防止重点措置が順次解除されて以降、着実に売上高を確保した。引き続き、「星乃珈琲店」の積極出店や「カフェモーツアルト」等のブランドを出店し、合計で15店舗を新規出店するなど、店舗網の拡大に努めた。その結果、「星乃珈琲店」の店舗数は、2022年11月末時点で国内においては286店舗となり、うち加盟店は39店舗となった。

また、洋麺屋五右衛門においてグランドメニューを変更したほか、季節に合わせたメニューの導入を始めとしたマーケティング力の強化に努めるなどの商品戦略を推進した。既存ブランド、新規ブランドともに商品力を高めることで消費者に満足いただける商品を提供すると同時に、多ブランド展開における効率化を考慮した商品開発を実施し、原価管理を徹底したことも業績に寄与することとなった。

ドトールコーヒーグループの業績も好調

一方、「ドトールコーヒーグループ」のセグメントは、売上高が前年同期比13.1%増の567億3,500万円、セグメント利益は8億4,600万円(前年同期は2億3,300万円のセグメント損失)と好調だった。

「ドトールコーヒーグループ」の小売事業およびフランチャイズ事業は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和以降、回復傾向が鮮明となり、売上高を順調に伸ばすこととなった。

各店舗では、新型コロナウイルス禍に対応したテイクアウト施策や売店商品の拡大を継続しつつも、季節ごとの商品など付加価値の高いメニューを随時導入し、顧客単価を上げることで売上の回復に努めた。また、ハウスカードであるドトールバリューカードやキャッシュレスなどのキャンペーンを展開し、客数の回復を目指した。その一方で、人件費や原材料費をはじめとしたコストアップに対し、節水機器の導入や清掃の見直しなど、維持管理コストの削減にも着手することで、利益を着実に積み上げる体制を整えた。

また、卸売事業においては、ドリップコーヒーやインスタントコーヒーなど、通販や量販店での販売を拡大するなど、巣ごもり消費に合わせた新商品の投入を継続した。加えて、人気コンテンツとのコラボ商品を導入するなど、販売強化に努め、引き続き業容拡大を目指した。さらに、容器形態の変更、段ボールやシュリンクの削減、間接経費の削減に取り組んだことも業績に寄与することとなった。

なお、「その他」のセグメントは、売上高が前年同期比14.9%増の47億8,700万円、セグメント利益は同84.6%増の6億3,000万円と好調だった。

通期の純利益は80.2%増となる見通し。年間配当を4円増配

ドトール・日レスは1月13日、2023年 2月期(通期)の連結業績予想について、売上高で前期比14.3%増の1,250億円、本業の利益を示す営業利益で23億5,000万円(前期は17億8,300万円の営業損失)、経常利益で25億円(前期は14億7,800万円の経常損失)、純利益で前期比80.2%増の22億円となる見通しを示した。これは従来予想(2022 年 4 月 14 日公表)に比べて売上高でプラス0.5%、営業利益でプラス9.2%、経常利益でプラス9.7%、純利益でプラス139.1%の上方修正である。

ドトール・日レスは上方修正の理由について、新型コロナウイルス感染症の業績に与える影響が徐々になくなり、売上高の回復傾向が鮮明になってきたことを挙げている。また、当初想定より助成金収入が増加したこともあり、純利益も当初見込より大きく改善する見通しである。

あわせて、ドトール・日レスは2023年2月期の年間配当を前期比4円増の30円にすると発表した。前述の通り、通期の純利益予想を大幅に上方修正したことを反映するものである。

引き続き、ドトール・日レスの業績や株価に注目しておきたい。■

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