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良品計画、今期は営業利益で過去最高益へ。株価は年初来高値、国内事業の収益改善進む

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(画像= La Caprese)

2023年10月16日、東京証券取引所で良品計画の株価が一時2,080円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年3月2日の安値1,310円から7カ月余りで58.8%の上昇である。

良品計画は、「無印良品」を中心とした専門店事業の運営および商品企画から開発・製造・卸し・販売を手がける企業である。無印良品は、1980年に西友のPB商品として誕生した。当時の取り扱い品目は家庭用品9品目、食品31品目であった。1981年には衣料品販売を開始、1983年には直営1号店となる無印良品青山を出店している。そして、1989年には株式会社良品計画を設立、翌1990年に西友から「無印良品」の営業権を譲り受けている。現在は国内外で1,188店舗(国内562店舗、海外626店舗、2023年8月末時点)、約7,000品目の商品を展開するブランドへ成長した。

後段で述べる通り、良品計画が10月13日に発表した2023年8月期・通期(2022年9月1日~2023年8月31日)の連結業績では本業の利益を示す営業利益が小幅な増加にとどまったものの、同時に公表された2024年8月期・通期(2023年9月1日~2024年8月31日)の連結業績予想で大幅な営業増益となる見通しが示されたことが、株価にも刺激材料となった。ちなみに、良品計画の見立て通りとなれば、2024年8月期・通期の営業利益は過去最高益を更新することとなる。

今回は良品計画の話題をお届けしよう。

良品計画、国内事業の収益改善が進む

10月13日、良品計画は2023年8月期・通期(2022年9月1日~2023年8月31日)の連結業績を発表した。同期の営業収益は前期比17.2%増の5,814億1,200万円、本業の利益を示す営業利益は同1.1%増の331億3,700万円、経常利益は同2.8%減の361億5,600万円、純利益は同10.2%減の220億5,200万円となった。

同期は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和を背景に、緩やかながら経済活動の正常化が進む一方で、世界的な資源価格の高騰や金融引き締めに伴う海外景気の下振れ等により、依然として先行き不透明な状態が継続した。また、為替の円安進行や原材料価格、エネルギーコストの上昇に伴う生活必需品の値上げも相次いでおり、消費者の節約志向も一層強まる結果となった。

このような状況下、同期の営業収益は新規出店に伴う店舗数の増加により増収となった。利益面では、急激な円安および原材料の高騰に伴う仕入れ価格の上昇により、営業総利益が伸び悩んだものの、営業利益は前年実績を若干上回り、増益となった。国内事業の既存店が苦戦したものの、2023年1月から2月にかけて実施した価格改定を機に、国内事業の収益改善が進むとともに、中国大陸事業を始めとする海外事業も引き続き好調に推移した。

2023年8月末現在の無印良品(ライセンスドストアを含む)の店舗数は国内外で計1,188店舗(国内562店舗、海外626店舗)となり、前期末に比べ116店舗増加した。国内では、地域に根付いた食品スーパーマーケットとの隣接店を中心に75店舗を出店、海外では中国大陸、台湾、タイ等に65店舗を出店し、店舗網の拡充を図った。

なお、主要セグメントの概況は以下の通りである。

国内事業

国内事業の営業収益は前期比11.3%増の3,428億2,900万円、セグメント利益は同44.1%減の85億3,400万円と増収減益となった。

営業収益は、既存店が伸び悩んだものの、生活圏への出店強化が寄与し、増収となった。一方、利益面では、円安および原材料高の影響により、営業総利益が伸び悩んだほか、人件費および出店関連や商品マーケティング等の費用増加等により、営業利益は減益となった。ちなみに、2023年1月から2月にかけて実施した一部商品の価格改定以降、営業総利益の改善が進み、第3四半期以降のセグメント利益は増益に転じている。

東アジア事業

東アジア事業の営業収益は前期比23.3%増の1,716億3,000万円、セグメント利益は同41.7%増の313億8,600万円と大幅な増収増益となった。

同期は、中国大陸で経済活動の再開が進むなか、現地開発商品を拡充している生活雑貨が売上高をけん引し、増収増益となった。そのほか、台湾や香港、韓国も軒並み増収増益となった。

東南アジア・オセアニア事業

東南アジア・オセアニア事業の営業収益は前期比42.9%増の314億7,000万円、セグメント利益は同68.1%増の41億6,000万円と大幅な増収増益となった。

同期は、現地の文化や気候に合わせて独自に開発したアセアン向けの商品が、現地の消費者の支持を得て、タイ、マレーシアを始めとする東南アジア各国の売上高が好調に推移し、増収増益となった。

欧米事業

欧米事業の営業収益は前期比32.3%増の354億8,200万円、セグメント利益は38億3,400万円(前期は8億5,600万円のセグメント損失)となった。

同期は、北米・欧州ともに売上高が伸長し、通期での黒字化を達成した。なかでも、北米は店舗運営力の強化を図ったことで、業績が好調に推移した。

2024年8月期は、営業利益で過去最高益へ

10月13日、良品計画は2024年8月期・通期(2023年9月1日~2024年8月31日)の連結業績予想について、営業収益で前期比10.1%増の6,400億円、本業の利益を示す営業利益で同44.9%増の480億円、経常利益で同27.2%増の460億円、純利益で同49.6%増の330億円となる見通しを示した。見立て通りとなれば、営業利益で過去最高益を更新する見通しである。

良品計画は、2024年8月期・通期の経済環境について、新型コロナウイルス禍からの経済活動の正常化が期待されるものの、一方で世界的な金融不安や物価の上昇により、景気の先行きは不透明な状態が続くことが想定される、との認識を示した。このような状況下、良品計画は「感じ良い暮らしと社会」へ向けてグローバルに貢献する小売企業として、最良な商品の開発・調達および地域の人々に支持され共創する店舗展開に努めるとともに、1980年の誕生以来、「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」を通して見つめ直した実質本位の商品をつくり続け、ESG視点に磨きをかける方針を示した。

ちなみに、良品計画は2030年に向けたビジョンとして、個店を通じて、日常生活の基本を担うとともに、地域への土着化を進め、地域社会と共生し課題解決や町づくりに貢献していくことを掲げている。2024年8月期・通期は、その実現に向けて、個店経営・コオウンド経営の実践、感じよいオンラインの提供、ESG経営のトップランナーを推進する考えであることを明らかにした。

引き続き、良品計画の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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