記事内に広告が含まれています。

「令和6年能登半島地震」の被害全容未だ見えず、今後の影響に注視必要。能登地方に本社を置く企業は4,000社超、売上高合計は1兆3,000億円規模――帝国データバンクの調査報告

令和6年能登半島地震,影響
(画像= 帝国データバンク、La Caprese)

帝国データバンクは、2024年1月1日に発生した能登半島を震源とする地震(「令和6年能登半島地震」)による企業活動への影響について、特に被害が大きい能登地方を中心に、2023年11月時点の企業データに基づく調査・分析を公表した。

石川県・富山県の13市町村が含まれる能登地方に本社を置く企業数は、2023年11月時点で4,075社だった。市町村別でみると、最も多いのは「七尾市」で705社(構成比17.3%)だった。以下、「氷見市(富山県)」596社(14.6%)、「かほく市」498社(12.2%)の順となった。震源地に近く、特に被害が大きいとみられる「輪島市」は315社(7.7%)、「珠洲市」は210社(5.2%)、「能登町」は245社(6.0%)だった。企業数が300社を超えたのは13市町中5市町に上った。

令和6年能登半島地震,影響
(図1) 出典:帝国データバンク

多くの地域で停電や通信障害が発生、燃料や食料供給などライフラインは寸断された道路網と合わせて復旧の見込みが立たない状況が続いている。能登地方に工場や営業拠点を有する企業もあるなかで、交通の寸断などによって生産・消費活動に広く影響が出るとみられる。復旧・復興が長期化すれば、能登地方の企業と取引を行う全国の企業にも影響が広がる可能性がある。

スポンサーリンク

能登地方に本社を置く企業の売上高合計は1兆3,018億円

能登地方に本社を置く企業の売上高合計は1兆3,018億円(2023年11月時点、最新期)だった。市町別にみると、最も多いのは「かほく市」の2,496億円(構成比19.2%)で、「七尾市」の2,465億円(18.9%)、「氷見市」の1,309億円(10.1%)が続いた。産業別では、「製造業」が4,346億円(33.4%)で最も多く、全体の3分の1を占めた。次いで医療や宿泊業などの「サービス業」が2,022億円(15.5%)、「建設業」が1,785億円(13.7%)で続いた。売上高合計が1,000億円を超えるのは、「小売業」(1,061億円)を含め7業種中4業種だった。

従業員数(正社員)での合計は4万9,728人に上った。従業員数が最も多かったのは「七尾市」で1万1,207人だった。次いで「かほく市」の7,345人、「氷見市」の5,557人と続いた。震源地に近く、特に被害が大きいとみられる「輪島市」は2,925人、「珠洲市」は1,586人、「能登町」は2,080人だった。業種別では、「サービス業」が1万6,603人で最も多く、次いで「製造業」の1万6,041人、「建設業」の6,890人と続き、上位3業種で全体の約8割を占めた。

スポンサーリンク

業種別では医療業や宿泊業が多い。売上高は製造業が最も高い

能登地方の企業の業種を細かくみると、「サービス業」では医療業や宿泊業が多かった。宿泊業は過去の東日本大震災(2011年)や熊本地震(2016年)、北海道胆振東部地震(2018年)などで、一時的に観光需要が大きく減少する傾向が見られたことから、能登半島を中心とした観光産業でも広く影響が出る可能性がある。

令和6年能登半島地震,影響
(図2) 出典:帝国データバンク

「製造業」の社数は全業種で3番目の多さとなるものの、売上高では全産業中最も高く、能登地方の基幹産業となっている。「製造業」を細かくみると、特に繊維工業のほか、金属加工や食料品製造、工作機械などの一般機械器具製造なども多かった。能登地方では輪島塗や七尾仏壇、珠洲焼など伝統工芸品の生産が盛んなほか、電子回路の基板生産などエレクトロニクス産業などもあり、これらの部品を使用した生産活動への影響が懸念される。

スポンサーリンク

大手企業の工場なども進出。被害全容未だ見えず

今回の巨大地震により、死傷者や避難者、停電など甚大な被害が広範囲にわたって発生。震源地に近いところでは、道路やライフラインが寸断されるなどマヒ状態が続き、被害の全容が見えない状況が続いている。

こうした中、帝国データバンクは「企業活動への影響も、今後さらに顕在化するとみられる」との見解を示した。先に述べた通り、能登地方に本社を置く企業は4,000社を超え、売上高合計は1兆3,000億円規模に上る。大手企業が能登地方に生産工場などで進出してきた事例も多く、報道などによれば、被害は少なかったものの生産や営業再開に一定の期間を要する企業もある。会社や工場の被災だけではなく、能登地方や北陸全体からの部品供給などの停滞や遅延が今後次第に顕在化するとみられ、全国規模で影響の確認が求められる。■

(La Caprese 編集部)

注釈

▼調査対象としたのは、「能登地方」に本社を置く企業(個人事業を含む)。
▼能登地方の定義は半島振興法に基づく。いずれも2023年11月末時点のデータを参照。

タイトルとURLをコピーしました