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【育毛研究の新知見】サケ鼻軟骨由来成分「プロテオグリカン」のマウスでの育毛効果を発見――ダイドードリンコと弘前大学の研究成果

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(画像= ACworks / 写真AC、La Caprese)

「サケ鼻軟骨由来の成分である『プロテオグリカン』のマウスでの育毛効果を発見」――。2024年1月31日、ダイドードリンコ(本社:大阪市北区)と弘前大学(所在地:青森県弘前市)との共同研究で、そのような研究成果が公表された。この効果は、毛乳頭細胞の増殖と血管新生因子の発現上昇によって生じることを示唆しているという。

ダイドードリンコは、飲料以外の分野でも消費者に新たな価値を提供したいとの想いから、2012年にヘルスケア事業に参入し、研究開発に取り組んできた。その一環として、弘前大学が開発した技術によりサケ鼻軟骨から抽出された軟骨成分「プロテオグリカン」に着目、2014年から共同研究を行ってきた。

なお、本研究成果は学会誌『Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry』(2023年12月20日)に掲載された。本研究成果の概要は以下の通りである。

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サケ鼻軟骨由来成分「プロテオグリカン」のマウスでの育毛効果

脱毛は多くの人に共通する問題の一つであり、QOL(quality of life;生活の質)を低下させる原因でもある。サケ鼻軟骨由来のプロテオグリカンは、サケの鼻軟骨を原料に酢酸抽出することで得られる成分であり、プロテオグリカンは軸となるコアタンパク質に多数のグルコサミノグリカン(※1)が結合する複合体であり、コアタンパク質の N末端注(※2)にはヒアルロン酸結合領域を持ち、C 末端(※2)にはEGF様領域(※3)を持つことが知られている。育毛研究においては、これまでEGF受容体を介した育毛効果がいくつか報告されていた。

そこで本研究では、オスC3H/HeNマウス(※4)を剃毛し、プロテオグリカンの育毛効果を検討した。あわせて、ヒト毛包毛乳頭細胞(HFDPCs)にプロテオグリカンを添加することによって、そのメカニズムについても検討した。

プロテオグリカンが毛乳頭細胞増殖とVEGF産生量の増加を通して、育毛を促進させることを示唆

本研究では、C3H/HeNマウスを剃毛し、3日目以降にプロテオグリカンを経口投与し、育毛面積を評価した。剃毛後22日に、プロテオグリカンを投与しないマウスと比較したところ、プロテオグリカン投与マウスにおいて、育毛面積が有意に増加していた(図1)。

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(図1) 出典:ダイドードリンコ

上記のメカニズムとしてHFDPCsを用いて細胞増殖能と血管内皮細胞増殖因子(VEGF)(※5)産生量を評価したところ、プロテオグリカン無添加群と比較してプロテオグリカン添加によって、細胞増殖とVEGF産生量が有意に増加しているのを確認した(図 2)。

以上のことから、プロテオグリカンが毛乳頭細胞増殖とVEGF産生量の増加を通して、育毛を促進させることが示唆された。

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(図2) 出典:ダイドードリンコ

ダイドードリンコは、「今回の論文発表をはじめとした研究成果の先に、当社グループのヘルスケア商品における付加価値の持続的な向上や科学的根拠に基づいた信頼性の高い商品づくりを見据え、当社グループは事業拡大の基盤となる研究、開発を進めてまいります」との見解を示した。

ダイドードリンコのさらなる研究成果が期待されるところである。■

(La Caprese 編集部)

用語解説

(※1)グルコサミノグリカン
分岐を持たない長い直鎖構造を持つ糖鎖の総称である。多数の硫酸基とカルボキシル基を持つため負に荷電しており、糖の持つ水親和性により、多量の水を保持することができる。
(※2)N 末端、C 末端
タンパク質は N 末端から C 末端に合成される。N 末端はアミノ基を持っており、C 末端にはカルボキシ基を持つ。
(※3)EGF 様領域
EGF(Epidermal Growth Factor)は上皮成長因子であり、細胞の成長および増殖において重要な役割を担う。年齢を重ねるごとに EGF は減少することが判明しており、このため新陳代謝や細胞の再生能力が衰えると考えられている。
(※4)C3H/HeN マウス
毛周期が安定しており、LPS に対し感受性があるマウスである。雄の肝癌発生率が高いことも特徴であり、免疫・がん研究や発毛研究に用いられる。
(※5)血管内皮細胞増殖因子(VEGF)
血管新生を促進させるタンパク質であり、血管内皮細胞に VEGF が作用することで、細胞分裂や分化などを誘導し、既に存在する血管から分岐した血管が新たに形成される(血管新生)。

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