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ストレッチって効果あるの?――新潟医療福祉大学のストレッチに関する研究成果

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(画像= Canva、La Caprese)

「ストレッチング(Stretching=以下、ストレッチ)」は、関節や筋の柔軟性を増加させることを目的とした手技とされており、スポーツやリハビリテーションなどさまざまな現場で活用されている。しかし、その具体的な効果については不明瞭な部分も否めなかった。そうした中で注目されるのは、新潟医療福祉大学のストレッチに関する研究成果である。

新潟医療福祉大学は、国内でも数少ない保健や医療、福祉、スポーツの6学部13学科を有し、20種類以上におよぶ専門職を養成する教育カリキュラムを配置する総合大学である。「運動機能医科学研究所」に加えて、トップアスリートおよび指導者を育成する「強化指定クラブ」、アスリートサポート研究を推進する「アスリートサポート研究センター」などを設置し、リハビリテーション科学およびスポーツ科学を基盤とした、特色ある教育・研究・地域貢献活動に取り組んでいる。

今回は、新潟医療福祉大学のストレッチに関する研究成果を紹介したい。

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関節の柔軟性増加には「通常よりも強めのストレッチ」が有効

ストレッチは関節の柔軟性を増加させるのに有効な手段とされている。新潟医療福祉大学ではストレッチの効果についてさまざまな研究を行なっており、2022年1月には「ストレッチの強さ」に着目した研究成果を公表している。

研究では通常の「痛気持ち良い」よりも少し強めのストレッチのほうが関節の柔軟性を増やしたり,筋の硬さを減らすことが判明した。この「少し強めのストレッチ(高強度ストレッチ)」を4週間、継続的に行った際の効果について調べたところ、通常のストレッチでも関節の柔軟性は増加するものの、高強度ストレッチのほうがより大きな関節の柔軟性の増加効果を示した。換言すれば「少し痛みがあるけど、強めのストレッチのほうが効く」ということである。

「cross-edcucation」 片側のストレッチが反対側にも効果がある?

ちなみに、ストレッチの興味深い現象に「cross-edcucation」がある。

「cross-edcucation」は片側のストレッチが反対側にも効果があるという現象だ。たとえば、右足のストレッチしか行っていない状況でも,左足も関節の柔軟性が少し増加するという現象である。新潟医療福祉大学では、この「cross-edcucation」の効果についても研究している。

結果は、通常の強度でのストレッチでは反対側(ストレッチをしてない側)の関節の柔軟性は増えなかったものの、高強度ストレッチの場合、反対側の関節の柔軟性も少し増加することが認められた。このことから、スポーツやリハビリテーションの現場でストレッチを行う際には、その強度に着目することが重要としている。

ストレッチも、日々コツコツと継続することが大切

さらに、新潟医療福祉大学は2021年にストレッチによる筋力・筋肉量への影響と柔軟性についての研究論文も公表している。この研究は、(1)1週間あたり60分のストレッチを5週間継続した際の筋力や筋肉量の変化についての検討、(2)同時に関節の柔軟性や筋の柔軟性に対してストレッチがどのような影響を与えるのか、について検討するというものである。

結果は、筋力にわずかな増加が認められたが、筋肥大効果についてはほとんど見られなかった。また、ストレッチのメインの目的となる「柔軟性の変化」については、関節と筋の柔軟性が増加することが確認されたものの、ストレッチを行った期間と同じ期間の「ストレッチ中止期間」を設けると、ストレッチ効果がなくなってしまうことも判明した。たとえば、今回の「1週間あたり60分のストレッチを5週間継続」したケースでは、ストレッチを中止して5週間が経過すると関節と筋の柔軟性がストレッチ前に戻ってしまうことが明らかとなった。

「継続は力なり」という言葉がある。わずかなことでも、続けて行えば成果となってあらわれる、という意味である。同じようにストレッチも、「柔軟性が増加」した状態を維持するためには、日々コツコツと継続することが大切ということのようだ。■

(La Caprese 編集部)

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