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なぜ、IGポートの株価は年初来高値に上昇したのか?

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※画像はイメージです。(画像= TY_Photo / 写真AC、La Caprese)

2023年10月17日、東京証券取引所でIGポートの株価が一時4,285円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月16日の安値1,936円から9カ月で121.3%の上昇である。

IGポートは、アニメ制作会社や出版社等を傘下に置く持株会社である。映画、テレビ、配信向け等のアニメ制作および版権収入や、出版事業を収益の柱とするコンテンツ・プロバイダーであり、グループ会社には、『ハイキュー!!』や『攻殻機動隊 SAC_2045』等のアニメ作品を手がけるプロダクション・アイジーや、アニメ『SPY×FAMILY』シリーズを手がけるウィットスタジオのほか、ノベルス・コミックス出版事業を展開するマッグガーデンなどがある。

後段で述べる通り、IGポートが10月13日に発表した2024年5月期・第1四半期(2023年6月1日~2023年8月31日)の連結業績で純利益が前年同期比で33.9%増となるなど大幅な増益となったことが、株価にも刺激材料となった。

今回はIGポートの話題をお届けしよう。

IGポート、純利益は33.9%増

10月13日、IGポートは2024年5月期・第1四半期(2023年6月1日~2023年8月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比5.9%減の24億9,300万円、本業の利益を示す営業利益は同18.2%増の3億2,900万円、経常利益は同52.2%増の4億5,900万円、純利益は同33.9%増の3億3,600万円となった。

同期は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和等を背景に、個人消費やインバウンド需要が回復傾向を示したものの、一方で東欧や東アジアでの地政学リスクの高まり、原燃料価格等の高騰、世界的な金融引き締め等による景気の下振れリスクが懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が継続した。

このような事業環境のもと、IGポートはアニメーション作品の企画・制作を行う映像制作事業、コミック雑誌等の企画・製造・販売および電子コミックスの配信を行う出版事業、作品の二次利用による印税・収益分配金等を得る版権事業に取り組んできた。

映像制作事業の売上(進捗基準)は、売上原価の計上が少なくなったため、連結業績予想の売上予算を下回ったものの、出版事業および版権事業の売上は、連結業績予想を上回る結果となった。また、投資事業組合運用益を営業外収益で計上したことにより、営業利益・経常利益・純利益については、実績の進捗が進んだ。

その結果、上記の通り、売上高は前年同期を下回ったものの、営業利益・経常利益・純利益については大幅な増益となった。

主要セグメントの概況は以下の通りである。

 映像制作事業

映像制作事業の売上高は前年同期比12.8%減の13億4,584万4,000円、営業損失は979万円(前年同期は8,810万5,000円の営業利益)となった。

同期は、テレビ用アニメーション『SPY×FAMILY Season 2』『怪獣8号』のほか、配信用アニメーションとして『ムーンライズ』『ターミネーター』等、劇場用アニメーションとして『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』『ハイキュー!! FINAL』等の制作に取り組んだ。そのほか、遊技機やCМ等のアニメーションを制作し納品した。なお、一部の作品については、制作期間の長期化やCG制作費、外注費等が高騰しており、受注損失引当金を計上した。

 出版事業

出版事業の売上高は前年同期比4.4%増の6億322万1,000円、営業利益は同52.2%増の1億5,655万5,000円となった。

同期は、月刊誌『コミックガーデン』のほか、コミックス『魔導具師ダリヤはうつむかない~Dahliya Wilts No More~ 6巻』『リィンカーネーションの花弁 18巻』等、定期月刊誌3点、並びに新刊コミックス・書籍31点を刊行した。また、テレビアニメ化された『転生貴族の異世界冒険録』コミックスをはじめ、電子書籍全体の販売も好調に推移した。

 版権事業

版権事業の売上高は前年同期比4.1%増の4億6,109万6,000円、営業利益は同83.9%増の2億219万3,000円となった。

同期は『銀河英雄伝説 Die Neue These』や『SPY×FAMILY』『進撃の巨人』『ハイキュー!!』『バブル BUBBLE』『攻殻機動隊』『PSYCHO-PASS サイコパス』等のシリーズタイトルを中心に、二次利用による収益分配を計上した。

その他

その他の事業では、雑誌のイラストやキャラクターの商品化等を手掛けている。同事業の売上高は前年同期比0.7%減の8,377万5,000円、営業利益は1,210万円(前年同期は33万7,000円の営業損失)となった。

第1四半期の純利益の進捗率は52%

10月13日、IGポートは2024年5月期・通期(2023年6月1日~2024年5月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比4.7%減の106億3,800万円、本業の利益を示す営業利益で同24.5%減の7億4,800万円、経常利益で同18.6%減の8億1,300万円、純利益で同15.7%減の6億4,600万円と従来予想(7月14日公表)を据え置いた。

ちなみに、通期の連結業績予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が23.4%、営業利益は44.0%、経常利益は56.5%、純利益は52.0%となっている。営業利益・経常利益・純利益の進捗率が非常に高く、今後上方修正の可能性があるのかどうか、株価の動きとともに注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:オタク関連株
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