2022年7月14日、ロッテ(本社:東京都新宿区)は、順天堂大学の小林弘幸教授、小林メディカルクリニック東京との共同研究で、「ガム咀嚼を2週間継続することにより自律神経や気分状態が改善し、さらに唾液中の免疫グロブリンA(IgA)濃度が増加する」ことを確認したと発表した。
順天堂大学の小林弘幸教授は本研究成果について「咀嚼などのリズム運動は、幸せホルモンといわれるセロトニン分泌を高めることが報告されています。ガム咀嚼によりセロトニンが分泌され、ストレス軽減や自律神経の改善により、気分状態の改善や免疫物質であるIgAの唾液濃度増加をもたらした可能性が考えられます」との見解を示している(詳細は後述)。
なお、本研究成果は「薬理と治療(2022年50巻6号)」に論文掲載された。
本研究の概要は以下の通りである。
ガム咀嚼による免疫、自律神経およびストレスへの影響を検証
ストレスの多い現代社会において、気分状態や自律神経を整え、免疫力を高めることは重要な課題である。ちなみに、唾液の大部分は水分であるが、それ以外にも無機質、酵素、抗菌および免疫に関する物質などさまざまな要素で構成されており、口腔内の自浄作用だけでなく、全身の健康にも関わっていることが報告されている。また、構成成分の一つであるIgAは、感染症の予防を判断する重要な免疫物質として知られており、慢性的なストレスを軽減することも報告されている。そこで、本研究では、ガム咀嚼による免疫(唾液中IgA)、自律神経およびストレスへの影響を検証した。
自律神経や気分状態が改善し、さらに唾液中のIgA濃度が増加
本研究では、20歳~50歳代の健常な男女50名を対象に、❶2週間ガム摂取、❷無摂取……の2群に分け、介入前後で自律神経や気分状態、唾液採取による、唾液中のIgA濃度等をELISA法にて測定した。その結果、ガム咀嚼を2週間継続することにより、自律神経や気分状態が改善し、さらに唾液中のIgA濃度が増加することが確認された。


よく噛むことは重要で様々な機能があることがわかってきています。今回の試験では噛み続けることが出来る食品であるガムを用いて研究を行いました。その結果、気分状態や自律神経バランスの改善、唾液中IgA濃度の増加が確認されました。
咀嚼などのリズム運動は、幸せホルモンといわれるセロトニン分泌を高めることが報告されています。ガム咀嚼によりセロトニンが分泌され、ストレス軽減や自律神経の改善により、気分状態の改善や免疫物質であるIgAの唾液濃度増加をもたらした可能性が考えられます。
噛むことは手軽にすぐにできることですので、日々の生活で意識したいものです。
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