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カゴメ、営業利益は53.4%増。国際事業がけん引、株価は年初来高値

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(画像= La Caprese)

2023年5月2日、東京証券取引所でカゴメの株価が一時3,585円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月12日の安値2,904円から4カ月足らずで23.5%の上昇である。

カゴメは、調味食品や保存食品、飲料、その他の食品の製造・販売のほか、種苗や青果物の仕入れから生産・販売等を手がける総合食品メーカーである。調査会社のインテージが公表した2022年のデータによると、カゴメは日本国内のトマトケチャップ市場の58.8%、トマトジュース市場の62.0%、野菜果実ミックスジュース市場の66.3%と軒並み第1位のシェアを占めている。ちなみに、カゴメは「開かれた企業」を企業理念の一つに掲げ、個人株主のことを「ファン株主」と呼んでいる。2001年には「ファン株主10万人構想」に向けた取り組みを開始、2005年9月に10万人を突破している。2022年末時点の株主は19万6,707名で、そのうち個人株主(ファン株主)の比率は99.5%である。

後段で述べる通り、カゴメが4月28日に発表した2023年12月期・第1四半期(2023年1月1日~2023年3月31日)の連結業績が大幅な増益となったことが、株価にも追い風となった。

今回はカゴメの業績をみてみよう。

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カゴメ、第1四半期の営業利益は53.4%増

4月28日、カゴメは2023年12月期・第1四半期(2023年1月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上収益は前年同期比8.8%増の480億900万円、事業利益は同54.0%増の33億6,300万円、営業利益は同53.4%増の34億1,500万円、最終利益は同36.3%増の20億3,300万円と大幅な増益となった。

同期は、世界的な原材料価格の高騰やエネルギー価格の高止まりなど、厳しい経営環境が継続した。また、日本国内では物価上昇による生活者の節約志向などもあり、景気の先行きは依然として不透明な状況にある。こうした中、カゴメの国内加工食品事業においては、主要原材料をはじめとした製造費用の増加を背景に、野菜飲料やトマト調味料など一部製品の出荷価格を改定した結果、需要の落ち込みなどにより減収減益となった。一方、国際事業においては、トマトペーストの販売価格の上昇、フードサービス企業向けの販売が好調で、大幅な増収増益となった。

主なセグメント別の状況は以下の通りである。

国内加工食品事業は減収減益

国内加工食品事業のセグメントは、売上収益が前年同期比2.2%減の294億4,100万円、事業利益は同19.7%減の16億8,400万円と減収減益となった。

飲料カテゴリーでは、トマトジュースが消費者の健康ニーズを捉え、好調に推移した。一方で、「野菜生活100」シリーズは価格改定による需要の落ち込みにより減収となった。また、通販カテゴリーでは、野菜飲料やサプリメント、スープなどの製造・販売を行う通信販売「健康直送便」の苦戦が続き、減収減益となった。

食品カテゴリーは、価格改定による需要の落ち込みに対して「オムライススタジアム」や「焼きケチャップ」などのメニュー情報発信と販促活動を強化したものの苦戦を強いられた。業務用カテゴリーは、価格改定後も外食需要の高まりにより増収となった。また、ギフト・特販カテゴリーは、受託製品の販売が落ち込み減収となった。

国内農事業、生鮮トマトの取扱量が減少

国内農事業のセグメントは、売上収益が前年同期比0.1%増の19億5,900万円、事業損失は5,900万円(前年同期は事業損失9,300万円)となった。同期は、天候等の影響により生鮮トマトの取扱量が減少したものの、市況が前年を上回ったほか、高リコピントマトなどの高付加価値品種の販売拡大を進めたことなどにより、売上収益は横ばいとなった。

国際事業が絶好調、事業利益は3.3倍に急増

国際事業のセグメントは、売上収益が前年同期比52.5%増の209億2,700万円、事業利益は同3.3倍の22億1,600万円と大幅な増収増益となった。

同期は、米国のKAGOME INC.が販売価格の上昇、およびフードサービス企業向け販売が好調に推移したことにより増収増益となった。ポルトガルのHolding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.も、主力商品であるトマトペーストの販売価格上昇により増収増益となった。オーストラリアのKagome AustraliaPty Ltd.は販売価格の上昇、およびフードサービス企業向け販売が好調に推移したことにより増収となったものの、原材料価格の高騰が圧迫要因となり利益は前年同水準となった。

通期予想に対する営業利益の進捗率は46.1%

4月28日、カゴメは2023年12月期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比3.6%増の2,130億円、事業利益で同42.2%減の74億円、営業利益で同42.0%減の74億円、最終利益で同55.0%減の41億円と従来予想(2023年2月2日公表)を据え置いた。

カゴメは2023年12月期の連結業績予想を据え置いた理由について、売上収益は国際事業の牽引により前期から増収を見込むものの、事業利益は国内加工食品事業における原材料価格や物流コスト、エネルギー価格の高騰などの影響により、大幅な減益を見込んでいることを挙げている。

とはいえ、2023年12月期の連結業績予想に対する第1四半期の進捗率は、事業利益で45.4%、営業利益で46.1%、最終利益で49.6%に達している。このため、今後の状況次第では上方修正の可能性もないとはいえないので十分な注意が必要だろう。

引き続き、カゴメの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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