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ファーストリテイリング、株価は上場来高値。海外ユニクロ事業が絶好調、グローバルNo.1ブランドを目指して

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(画像= La Caprese)

2024年1月12日、東京証券取引所でファーストリテイリングの株価が一時3万9,180円まで買われ、株式分割を考慮したベースで上場来高値を更新した。2023年1月16日の安値2万3,690円から約1年で65.4%の上昇である。

ファーストリテイリングは、カジュアル衣料品の「ユニクロ」や「ジーユー」などの小売店舗を展開する企業群を傘下に置く持株会社である。その源流は1949年に山口県宇部市で創業したメンズショップ小郡商事にまでさかのぼる。広島県広島市にユニクロ第1号店を出店したのは35年後の1984年のことで、1991年には商号をファーストリテイリングに変更、1997年には当時の東京証券取引所市場第二部に上場を果たした。現在は売上高でZARAを擁するスペインのインディテックス、スウェーデンのH&Mに次ぐ、世界3位のアパレル製造小売業に成長している(2023年12月4日現在)。

ところで、先週は日経平均株価がバブル崩壊後の高値を連日更新し、ファーストリテイリングを始めとする主要構成銘柄も軒並み上昇した。こうした状況に加え、ファーストリテイリングが1月11日に公表した2024年8月期・第1四半期(2023年9月1日~2023年11月30日)の連結業績が大幅な増収増益となったことも、株価上昇に弾みをつけることとなったようだ。

今回はファーストリテイリングの話題をお届けしよう。

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ファーストリテイリング、海外ユニクロ事業が絶好調

2024年1月11日、ファーストリテイリングは2024年8月期・第1四半期(2023年9月1日~2023年11月30日)の連結業績を公表した。同期の売上収益は前年同期比13.2%増の8,108億円、本業の利益を示す営業利益は同25.3%増の1,466億円、税引前四半期利益は同28.1%増の1,624億円、最終利益は同26.7%増の1,078億円と大幅な増収増益となった。

同期は、北米および欧州を中心に販売が好調だったことで、海外ユニクロ事業が大幅な増収増益を記録した。また、国内ユニクロ事業も増収増益となったほか、ジーユー事業も大幅な増収増益と好調だった。売上総利益率は前年同期比で1.5ポイント改善し、54.6%となった。

一方、売上高販管費比率は同0.2ポイント上昇し、37.2%となった。これは今期から決算賞与の支給を実態に沿う形で、運用方針を明確化したことに伴い、前期まで8月に一括計上していた決算賞与を今期から毎月の分割計上に変更したためである。ちなみに、この影響を除くと売上高販管費比率は同0.3ポイントの改善となる。

なお、金融収益・費用はネットで157億円のプラスとなった。これは主に利息がネットで127億円のプラス、外貨建資産などの換算による為替差益が30億円発生したことによるものである。

主要セグメントの概況は以下の通りである。

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国内ユニクロ事業

国内ユニクロ事業の売上収益は前年同期比1.5%増の2,444億円、営業利益は同18.0%増の465億円と増収増益となった。

同期の既存店売上高は同0.2%の増収となった。9月、10月は例年よりも気温が高く推移したことで、秋冬商品の需要が伸び悩み減収となったものの、11月は気温が低下したことで、ヒートテックインナーやフリースなどの冬物防寒衣料、コラボレーション商品などが好調だったことに加え、感謝祭も盛況だったことにより、大幅な増収となった。

売上総利益率は、原価率が改善したことで同2.7ポイント改善した。原価率は昨年は追加生産分に使用するスポット為替レートが急激な円安になった影響で大幅に悪化したが、今年は発注コントロールを強化したことで追加生産が減り、スポット為替レートの影響が減少したことで、大幅に改善した。

一方、売上高販管費比率は同0.2ポイント上昇した。これは、減価償却費比率や人件費比率が若干上昇したことによるものである。人件費比率は決算賞与の計上タイミングを変更したことで上昇したが、その影響を除くと人件費比率は若干の改善となり、売上高販管費比率も同0.1ポイントの改善となった。

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海外ユニクロ事業

海外ユニクロ事業の売上収益は前年同期比23.3%増の4,413億円、営業利益は同35.8%増の778億円と大幅な増収増益となった。

同期は、すべての地域で大幅な増収増益を記録した。特に北米および欧州はグローバルな消費者ニーズを反映した商品開発が進捗し、顧客層がさらに拡大したことに加え、暖冬により冬物需要が弱い中でも機動的に発注や経費のコントロールを徹底したことで、売上総利益率、売上高販管費比率ともに改善し、好調な業績を達成した。

中国大陸も大幅な増収増益を記録した。同期は気温が高かった影響を受け、秋冬商品の立ち上がりにやや苦戦したが、11月に気温が低下し、冬物コア商品のマーケティングを強化したことで好調な販売となった。香港と台湾もともに大幅な増収増益となった。韓国も好調で、特に11月の販売が拡大した。

東南アジア・インド・豪州地区も大幅な増収増益を記録した。冬物コア商品やKAWSなどのコラボレーション商品の販売が好調だったことに加え、前年同期比で店舗数が45店舗増加したことで大幅な増収となった。ただし、業績予想に対しては若干下回る結果となった。常夏の気候にマッチした商品構成への対応や、人材育成の強化などの課題が明確になったことで、今後は経営基盤の強化をしていく計画である。

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ジーユー事業

ジーユー事業の売上収益は前年同期比10.7%増の878億円、営業利益は同16.4%増の123億円と大幅な増収増益となった。

同期は9月、10月の気温が高く推移し、秋冬商品の販売が伸び悩んだが、気温が低下した11月は冬物の売れ筋商品の在庫を十分に準備したことが奏功し、好調な販売となった。特にヘビーウェイトスウェットやヒートパデッドアウター、パラシュートカーゴパンツなど、マストレンドを捉えた商品の販売が好調だった。

なお、生産効率の改善などにより原価率が改善し、売上総利益率が改善したことで、営業利益率は同0.7ポイント改善した。

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グローバルブランド事業

グローバルブランド事業の売上収益は前年同期比2.4%減の366億円、営業利益は同43.9%減の3億円と減収減益となった。

同期は、セオリー事業の売上収益が前年並み、営業利益は減益となった。暖冬の影響で販売に苦戦したことに加え、米国事業を中心に人件費が増加したことで売上高販管費比率が悪化し、減益となった。プラステ事業は店舗数が前年同期比で35店舗減少したことで減収、営業利益は若干の赤字となった。コントワー・デ・コトニエ事業は欧州市場での消費意欲の低下や暖冬の影響で減収となったが、売上総利益率と売上高販管費比率の改善により赤字幅は縮小した。

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グローバルNo.1ブランドを目指して〜最終利益で4期連続の過去最高を予想

1月11日、ファーストリテイリングは2024年8月期・通期(2023年9月1日~2024年8月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比10.2%増の3兆500億円、本業の利益を示す営業利益で同18.1%増の4,500億円、税引前利益で同9.6%増の4,800億円、最終利益で同4.6%増の3,100億円と従来予想(2023年10月12日公表)を据え置いた。ちなみに、見立て通りとなれば、最終利益で4期連続の過去最高を達成することとなる。

ファーストリテイリングは同日、世界中のあらゆるお客様から信頼され、生活に必要不可欠な「グローバルNo.1ブランドになる」との目標をあらためて強調した。そのための5つの具体策として、❶情報製造小売業のさらなる進化、❷グローバルでの収益の柱の多様化、❸事業の発展が、サステナビリティに寄与するビジネスモデルの追求、❹ジーユー事業、セオリー事業などグループブランドの拡大、❺人的資本の強化……を挙げている。特に海外ユニクロ事業はグループの成長の柱として、商品開発やブランディングの強化、質の高い出店の加速を図る方針である。また、サステナブルな社会を構築するために、LifeWear(究極の普段着)のコンセプトを大切にした服づくりにも引き続き取り組む考えを示した。高品質で長く着ていただける服、地球への負荷を低減し、健康で安全な労働環境でつくられた服、販売された後もリサイクル、リユースなどで循環される服を追求する方針である。

引き続き、ファーストリテイリングの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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