2023年3月28日、東京証券取引所でパリミキホールディングスの株価が一時355円まで買われ、昨年来の高値を更新した。2022年1月7日の安値226円から14カ月余りで57.1%の上昇である。
パリミキホールディングスは、日本および海外でメガネやサングラス、コンタクトレンズなどのアイウェア専門店を展開する企業である。その源流は1930年に兵庫県姫路市にて創業した「正確堂時計店」にまでさかのぼる。今年で創業93年目を迎えるアイウェアの老舗(しにせ)であり、2022年12月31日時点で国内646店舗、海外103店舗を展開している。
後段で述べる通り、2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績は日本事業が大幅な増益となったほか、海外事業も黒字に転換するなど堅調である。今回はパリミキホールディングスの業績をみてみよう。
パリミキホールディングス、日本事業が大幅な増益
パリミキホールディングスが公表した2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績は、売上高が前年同期比7.0%増の360億1,300万円、本業の利益を示す営業利益は7億400万円(前年同期は3,600万円の営業利益)、経常利益は前年同期比172.5%増の8億3,900万円、純利益は3億4,900万円(前年同期は1,200万円の純利益)となった。
セグメント別(地域別)の状況は以下の通りである。
日本事業:セグメント利益が237.6%増
同期の日本事業は、売上高が前年同期比5.0%増の318億7,800万円、セグメント利益は同237.6%増の6億9,500万円と大幅な増益となった。
主要子会社のパリミキは、売上高、客数、眼鏡数(組数)ともに前年同期の実績を上回り、改善傾向が顕著となった。同期は、不採算店の退店や移転統合を伴う出店、改装など計画的な投資を推進し、1店当たりの売上高の向上と収益性の改善に引き続き取り組んできた。特に注力したのが郊外のロッジ型店舗である。ロッジ型店舗の移転新店とともに売上高、客数ともに大きく伸長しており、郊外店舗の改善を牽引することとなった。
なお、2022年4月には国家資格となる「眼鏡作製技能士」が新設され、パリミキホールディングスの資格取得者数は746人となった。
海外事業:シンガポール、タイ、ベトナムが順調に回復
海外事業の売上高は前年同期比24.4%増の43億1,500万円、セグメント利益は800万円(前年同期は1億6,900万円のセグメント損失)となり、おおむね回復基調を示した。
同期の海外子会社は、新型コロナウイルスの感染拡大による規制がおおむね緩和されたことで、改善傾向を示した。特に従来から利益に貢献していた東南アジア地域の法人(シンガポール、タイ、ベトナム)は、順調に利益が回復した。しかしながら、中国法人は新型コロナウイルス禍のロックダウンなど厳しい規制が続いたこともあり、売上、利益ともに前年を下回り赤字額が増加した。
メガネは「顔の印象」を左右するファッションアイテム
2月14日、パリミキホールディングスは、2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績予想について、売上高で467億5,000万円(前期比6.0%増)、本業の利益を示す営業利益で7億4,000万円(前期は5億円の営業損失)、経常利益で11億円(前期比526.5%増)、純利益で3億8,000万円(前期は11億800万円の純損失)と従来予想(2022年5月13日公表)を据え置いた。
ちなみに、日本では3月13日からマスクの着用が個人の判断に委ねられたが、ヤーマンの表情筋研究所が行った『表情筋実態調査2022』によると、実に2人に1人がマスクを外すことを「恥ずかしい」と感じているという。メガネは「顔の印象」を左右するファッションアイテムでもあり、パリミキホールディングスの業績にどう影響してくるか注目されるところでもある。■
(La Caprese 編集部)