ロート製薬、株価は14カ月で77.8%上昇。営業利益は22.5%増、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は目標株価を引き上げ

ロート製薬,株価,なぜ,上昇資産形成
※画像はイメージです。(画像= pandaful workshop / 写真AC、La Caprese)

2023年3月27日、東京証券取引所でロート製薬の株価が一時2,693円まで買われ、昨年来の高値を更新した。2022年1月27日の安値1,515円から14カ月で77.8%の上昇である。

ロート製薬といえば、野球の世界一を決定するWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の日本代表で、千葉ロッテマリーンズ所属の佐々木朗希投手のCMを思い浮かべる人もいるかもしれない。3月3日、ロート製薬は佐々木朗希投手とアンバサダー契約を締結したと発表。その第1弾として、3月12日より新CMの放映を開始した。折しも、株式市場では「WBC関連銘柄」を物色する動きが広がった時期でもあり、ロート製薬の株価もその一角として3月9日に一時2,669円の高値を付ける場面もみられた。

その後は買い一巡から調整ムードが広がっていたが、3月23日に三菱UFJモルガン・スタンレー証券が、ロート製薬の投資判断について「オーバーウエート」を継続するとともに、目標株価を2,500円から3,200円に引き上げたことが刺激材料となって、再び上昇することとなったようだ。

今回はロート製薬の業績をみてみよう。

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ロート製薬、2023年3月期・第3四半期は大幅な増収増益

2月13日、ロート製薬は2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比22.4%増の1,762億6,300万円、本業の利益を示す営業利益は同22.5%増の285億9,800万円、経常利益は同25.5%増の295億4,000万円、純利益は同26.5%増の216億3,700万円と大幅な増収増益となった。

後段で述べる通り、日本国内では新型コロナウイルス禍の行動制限緩和で消費マインドが回復、「メラノCC」や「スキンアクア」などが好調だったほか、海外も原材料価格の高騰があったものの経済活動の回復や円安の影響もあって大幅な増収となった。加えて、販売費や一般管理費の効率的活用に努めた結果、営業利益や経常利益、純利益も揃って大幅な増益となった。

セグメント別(地域別)の状況は以下の通りである。

日本は「メラノCC」や「スキンアクア」などが好調

日本の売上高は前年同期比14.0%増の1,008億2,000万円、セグメント利益(営業利益ベース)は同14.3%増の172億4,100万円と大幅な増収増益となった。

同期は、「メラノCC」や「スキンアクア」「肌ラボ」「オバジ」「ロートV5粒」が好調に推移した。また、マスク着用習慣により伸び悩んでいたリップクリームも回復傾向に転じたほか、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原迅速検査キットも増収に寄与した。国内グループ会社では、2021年8月に子会社化した「ボラギノール®」を主力商品とする天藤製薬やロートニッテンも増収に寄与した。

アメリカのセグメント利益は155.2%増

アメリカの売上高は前年同期比84.5%増の124億5,900万円、セグメント利益(営業利益ベース)は同155.2%増の3億2,700万円と絶好調だった。

同期は、2021年10月に子会社化した医療用消毒薬等を製造・販売するハイドロックス・ラボラトリーズ社が増収に大きく貢献した。一方、原材料の調達コストや人手不足による労務費上昇により原価率が悪化したものの、販売管理費の効率的活用が功を奏してセグメント利益を大幅に押し上げることとなった。

ヨーロッパ、主力の消炎鎮痛剤が好調

ヨーロッパの売上高は前年同期比20.7%増の94億3,800万円、セグメント利益(営業利益ベース)は同33.8%増の7億5,500万円と大幅な増収増益となった。

同期は、主力の消炎鎮痛剤が好調に推移した。「Hadalabo Tokyo」も英国および中東主要国で好調に推移した。また、2021年5月にCEマークを取得し発売したドライアイ点眼剤である「ロートドライエイド」により、目薬市場の開拓も進めた。一方で、エネルギーコストや原材料の調達コストの増加で原価率が悪化したものの、販売管理費の効率的活用により、セグメント利益を大幅に押し上げることとなった。

アジア、「50の恵」や「セルサン」が好調に推移

アジアの売上高は前年同期比30.8%増の517億4,000万円、セグメント利益(営業利益ベース)は同37.5%増の98億6,500万円と大幅な増収増益となった。

同期は、香港やベトナム、マレーシア、インドネシアなど主要国が軒並み好調だった。中国は、ゼロコロナ政策の影響がみられたものの堅調に推移した。製品別では「50の恵」や目薬が好調だったほか、東南アジア諸国ではフケ抑制シャンプーの「セルサン」が人気だった。さらに、「肌ラボ」や日やけ止め、リップクリームも増収に寄与した。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の強気見通しも刺激材料

2月13日、ロート製薬は2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比18.2%増の2,360億円、本業の利益を示す営業利益で同13.7%増の330億円、経常利益で同14.8%増の330億円、純利益で同13.6%増の240億円となる見通しを示した。これは従来予想(2022年11月10日公表)に比べて売上高でプラス2.6%、営業利益でプラス6.5%、経常利益でプラス3.1%、純利益でプラス9.1%の上方修正である。

もっとも、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、3月23日にロート製薬の業績予想について、2023年3月期の営業利益で前期比15.8%増の340億円と上記予想(330億円)をさらに上回る見通しを示している。さらに、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は2024年3月期の営業利益についても、インバウンド需要の増加も加わって370億円への増益を予想している。

引き続き、ロート製薬の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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