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サンリオ、V字回復が鮮明。株価は年初来高値、純利益は525.9%増

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※画像はイメージです。(画像= Canva、La Caprese)

2023年8月4日、東京証券取引所でサンリオの株価が一時7,997円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年2月16日の安値3,820円から6カ月足らずで109.3%の上昇である。

サンリオといえば、まず「ハローキティ」を思い浮かべる人も多いことだろう。同社の源流は、1960年にソーシャル・コミュニケーション・ビジネスの確立をめざして設立した山梨シルクセンターにまでさかのぼる。1962年にはオリジナルデザイン第1号となる「いちご」を制作し、ギフト商品を発売した。以来、サンリオが世に送り出したキャラクター総数は450を超え、独自に育んできた「カワイイ文化」は世界的にも高い人気を誇っている。現在では、ソーシャル・コミュニケーション・ギフト商品や、グリーティングカード、出版物等の企画・販売のほか、レストランの運営、映画の製作・配給・興行、デジタルコンテンツの企画・販売および配信、著作権の許諾、テーマパークなど幅広い分野で事業を展開している。

後段で述べる通り、サンリオが8月2日に公表した①2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績で純利益が前年同期比525.9%増とV字回復を示したことに加え、②2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想を大幅に上方修正したこと、③さらに、年間配当を従来の35円から45円に10円上乗せしたこと……などが株価にも刺激材料となった。

今回はサンリオの話題をお届けしよう。

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サンリオ、純利益は525.9%増

8月2日、サンリオは2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績を公表した。同期の売上高は前年同期比46.9%増の203億円、本業の利益を示す営業利益は同150.2%増の59億円、経常利益は同153.7%増の63億円、純利益は同525.9%増の49億円と大幅な増収増益となった。

同期は国内の店舗・テーマパーク事業で、さまざまな施策が順調に進んだことに加え、新型コロナウイルスの5類への移行により国内客が増加するとともに、昨年秋の入国規制の緩和以降に急増した外国人観光客も加わって、客数が大幅に増加し、業績全体に寄与した。また、国内・海外のライセンス事業では引き続き複数キャラクター展開などの戦略的な施策が功を奏した。さらに、新規ライセンシーの獲得に加え、既存ライセンシーの商品展開も奏功し、売上高が伸長した。なお、サンリオファン会員向けアプリ『Sanrio+』の会員数は6月末現在で約153万人となった。

以上の結果、同期の連結業績は大幅な増収増益となった。

セグメント別の概況は以下の通りである。なお、すべての海外連結子会社の決算期は1月~12月であり、対象期間は2023年1月~3月である。

日本:営業利益は145.6%増

日本の売上高は前年同期比52.2%増の146億円、営業利益は同145.6%増の43億円と大幅な増収増益となった。売上増に連動し販管費も増加したものの、コスト・コントロールが奏功し、販管費率は減少した。

国内営業本部(物販事業・ライセンス事業)及びテーマパーク事業の状況は以下の通りである。

国内営業本部(物販事業・ライセンス事業)

物販事業は、新型コロナウイルスの5類移行により、ゴールデンウィーク前後から国内人流がさらに活発化するとともに、昨年秋以降の外国人観光客の増加により、都心や観光地の店舗を中心に客数が大幅に増加した。また、過去最多となる総得票数4,448万票を記録した人気投票イベント「2023年サンリオキャラクター大賞」(4月11日~5月26日)は、商品やイベントをいくつかの期間に分けて展開するなど期間中の鮮度維持に努めたことが奏功し、来店促進や商品購買に大きく寄与した。なお、昨年12月に閉店した「Sanrio Gift Gateアドホック新宿店」は、今年4月に近隣施設に「Sanrio新宿店」として新たにオープンし、連日盛況に推移した。

ライセンス事業は、複数キャラクター戦略が引き続き奏功しており、新規ライセンシーの獲得に加え、既存ライセンシーの商品展開が増えるなど各カテゴリーが好調に推移し、売上高が伸長した。商品化ライセンスは、「2023年サンリオキャラクター大賞」と連動した商品や、エンターテイメント性やコレクション性を取り入れた菓子類などが人気を博した。また、人気のカプセルトイや、インバウンド需要の高まりにより、お土産品も好調に推移した。これらの商品は、SNSの有効活用による情報発信も奏功し、認知度が向上したことが寄与した。広告化ライセンスは、顧客課題に合わせたキャラクター提案が功を奏し、外食、菓子・食品、コスメ、消耗品などさまざまな業態のキャンペーンで採用された。また、キャラクターグリーティングや展示会などのイベントも好調に推移した。

テーマパーク事業

サンリオピューロランド(東京都)とハーモニーランド(大分県)は、新型コロナウイルスの5類移行により国内客が増加するとともに、昨年秋の入国規制の緩和以降に急増した外国人観光客も加わり、両施設ともに客数が大幅に増加した。

サンリオピューロランドでは、3年ぶりに同施設最大の人気エンターテイメント「Miracle GiftParade」が6月に再開した。また、キャラクターとの握手やハグも可能となり、連日賑わいを見せた。人気エンターテイメントの再開により、有料席や関連商品が好調に推移するとともに、根強い人気のカチューシャやバースデー関連商品、シーズン限定商品・飲食メニューが人気を博し、客単価増にも貢献した。

ハーモニーランドは、新規イベント「HAPPY EASTER(3月27日~5月30日)」「とっておきのRainy Day(6月2日~7月11日)」の上演、キャラクターグリーティングの強化が客数増に貢献した。これらのイベントと連動したオリジナル商品や昨年7月に値上げした入園チケットが客単価を押し上げ、売上増に寄与した。

欧州:営業損益が黒字に転換

欧州の売上高は前年同期比28.2%増の5億円、営業利益は7,900万円(前年同期は6,300万円の営業損失)となった。営業損益は、売上高の増加に加え販管費の抑制により、黒字に転換した。

ライセンス事業では、フランスの有名ブランドとのコラボレーションや大手アパレル企業との取り組みにより、アパレルカテゴリーが伸長した。また、フットウエアカテゴリーでは有名ブランドとのコラボレーションにてグローバル展開した「ハローキティ」のスニーカーが好調に推移し、ブランド価値向上にも寄与した。デジタルカテゴリーでは、リズムに合わせて複数のキャラクターがダンスをしながらパレードするリズムゲームが昨年11月に配信され、認知度向上に寄与した。また、『ミスターメン リトルミス』は新規ライセンシー獲得により売上高が伸長したアパレルカテゴリーや、米国の既存ライセンシーと継続的に取り組んでいる玩具カテゴリーが好調に推移した。

北米:営業利益は403.8%増

北米の売上高は前年同期比65.6%増の19億円、営業利益は同403.8%増の6億円と大幅な増収増益となった。

同期は、認知度およびブランド価値向上のために自社ECを有効活用するとともに、大手オンラインゲームのプラットフォーマーと協業することで顧客接点を増やし、エンゲージメントを高めた。また、売上高を継続的に伸ばすために主力ライセンシーと中長期契約を締結した。

物販事業では、自社ECが引き続き好調に推移した。自社ECでは特にカメラやぬいぐるみ、コスメなどが売上を牽引した。ライセンス事業は、既存ライセンシーとの取り組み強化により商品展開が増えたアパレルや玩具、ヘルス&ビューティーカテゴリーが好調に推移した。特に玩具カテゴリーでは、既存ライセンシーの大手玩具メーカーと昨年12月に新たに中長期契約を締結し、同メーカーが持つ様々な玩具品でサンリオキャラクターが採用された。また、フットウエアカテゴリーでは新規ライセンシーの人気ブランドとのコラボが大きな話題となり、売上高の増加に加え認知度向上にも寄与した。

南米:ライセンス事業が好調

南米は売上高が前年同期比30.4%増の1億円、営業利益は同14.9%増の3,300万円と増収増益となった。

同期は、南米全体で、ヘルス&ビューティー、バッグ、企業特販カテゴリーのライセンス事業が好調に推移した。メキシコのライセンス事業では、衛生商品や香水が好調のヘルス&ビューティーカテゴリー、ハローキティカフェで人気の企業特販カテゴリーが好調に推移した。ペルーのライセンス事業は、バッグカテゴリーが売上を牽引した。南米では、ハローキティカフェによる認知度向上に加え、200以上のライセンシーが集まるイベントの開催や展示会などへの参加を通じて、新規案件獲得が進んだ。

アジア:各国で売上高が伸長

アジアの売上高は前年同期比22.2%増の30億円、営業利益で同22.3%増の13億円と増収増益となった。同期はアジア各国における全体的な売上高の伸びが寄与し、営業利益で大幅な増益となった。

香港・マカオ地区は、ライセンス事業において、銀行との継続的なプロモーションにより企業特販カテゴリーの売上高が伸長した。また、今年1月の新型コロナ規制緩和により、旧正月商品の売れ行きが好調で、特に雑貨・文具カテゴリーが売上高を牽引した。

台湾は、上海のロックダウンの影響で商品開発が遅れたものの、ライセンス事業において、新規ライセンシーを獲得したヘルス&ビューティーカテゴリーが好調に推移した。

韓国は、前期に実施した韓国大手芸能事務所所属のアイドルグループとのコラボレーションにより、ブランド価値が向上しており、新規ライセンシーの獲得に加え既存ライセンシーの商品展開も拡大した。ライセンス事業において、大手菓子メーカーなどの新規ライセンシーを獲得したフードカテゴリー、入学入園品の品揃え・販路が拡大した文房具カテゴリーが大きく伸長した。

中国は、2023年1月からマスターライセンス契約先をアリババグループのアリフィッシュへと変更したことにより、ライセンス事業において、ヘルス&ビューティー、アクセサリーカテゴリーが好調に推移した。また、同国では複数キャラクター展開が奏功しており、「クロミ」「ポチャッコ」など「ハローキティ」以外のキャラクターも多く採用された。中国は新型コロナウイルスが年末年始に感染拡大したことにより、ビジネス活動が鈍化したことに加え前期のMG収入の反動もあったが、売上高は増加した。

東南アジアは、ライセンス事業において、タイ最大のコンビニエンスストアとのコラボレーションや、タイ・マレーシア・ベトナムのヘルス&ビューティーカテゴリーが売上高を牽引した。

2024年3月期・通期の業績予想を大幅に上方修正

8月2日、サンリオは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比15.8%増の841億円、本業の利益を示す営業利益で同28.3%増の170億円、経常利益で同31.2%増の180億円、純利益で同47.1%増の120億円となる見通しを示した。これは従来予想(5月12日公表)に比べて売上高でプラス13.3%、営業利益でプラス51.8%、経常利益でプラス52.5%増、純利益でプラス46.3%の大幅な上方修正である。

サンリオは上方修正の理由について、2024年3月期・第1四半期に❶国内の店舗・テーマパークで、社内施策が順調に進んだことに加え、国内客・外国人観光客による人流の活発化に伴い客数が大幅に増加し、売上高が期初計画を上回ったこと、❷ライセンス事業は、国内・海外ともに引き続き複数キャラクター展開等の戦略的な施策が奏功し、売上高が期初計画を上回ったこと、❸さらに、2024年3月期・第1四半期の営業利益は、国内・海外ともに売上高が期初計画を大幅に上回って進捗したことに加え、中期経営計画に沿った構造改革の諸施策を実行し、営業費用を適正水準にマネジメントしたことで収益性が向上したこと……などを挙げている。

なお、冒頭でも述べた通り、サンリオは好業績を踏まえて株主還元も強化し、年間配当を従来の35円から45円に10円上乗せすると発表した。

引き続き、サンリオの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:オタク関連株
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