ミズノ、株価は4年7カ月ぶりの高値。WBC「侍ジャパン」効果で業績期待も

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(画像= Canva、La Caprese)

2023年3月9日、東京証券取引所でミズノの株価が一時3,750円まで買われ、約4年7カ月ぶりの高値をつけた。2022年4月12日の安値2,016円から11カ月足らずで86.0%の上昇である。

野球の世界一を決定するWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が開幕し、株式市場でも関連銘柄としてミズノが高値を付けるなど熱気が広がっている。ミズノはWBC日本代表の「侍ジャパン」のオフィシャルユニホームパートナーとして、オフィシャルサプライヤー契約を締結しているほか、レプリカユニホームなど公式グッズを販売している。2月10日からは侍ジャパンの「選手名入りユニホーム」の予約販売を開始したものの、売り切れが続出する大盛況となり、ミズノが謝罪する事態となった。

ミズノの業績は好調だ。後段で述べる通り(1)2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績で売上高、営業利益、経常利益、純利益が同期としては過去最高を記録したほか(2)通期の業績予想を上方修正(3)年間配当を増額修正……などの好材料に加え、前述のWBC「侍ジャパン」効果を後ろ盾としたさらなる業績期待も広がっているようだ。

今回はミズノの話題をお届けしよう。

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売上高、営業利益、経常利益、純利益が過去最高を記録

ミズノが2月8日に公表した2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績は、売上高が前年同期比18.1%増の1,474億200万円、本業の利益を示す営業利益は同25.9%増の101億5,400万円、経常利益は同26.2%増の105億7,900万円、純利益は同28.3%増の78億2,200万円と、いずれも同期として過去最高を記録した。

同期は日本国内においては競技スポーツ品を中心に販売が改善したほか、海外においても米州や韓国を中心にゴルフ事業の好調が継続した。材料費の高騰や為替の円安進行による仕入れ価格の上昇等に見舞われたものの、売上高の増加と経費コントロールにより最小化したことで、同期の業績としては過去最高を更新することとなった。

なお、セグメント別(地域別)の状況は以下の通りである。

日本は営業利益が64.6%増加

日本では、新型コロナウイルス禍で行動制限が敷かれた前年同期と比較し事業環境が改善した。野球やゴルフ、サッカーなどのアウトドアスポーツの商品に加え、バレーボールやラケットスポーツなどのインドアスポーツの商品も好調に推移した。加えて、非スポーツ事業であるワークビジネス事業も好調だった。その結果、売上高は前年同期比12.9%増の897億6,800万円、営業利益は同64.6%増の41億4,000万円と大幅な増収増益となった。

欧州の売上高が過去最高を記録

欧州では、第1四半期に大きな影響を受けたサプライチェーンの状況が改善したことがプラス要因となったが、一方で物流費の高騰や為替変動によるコスト高がマイナス要因となった。しかし、そのような環境にありながらも、主要事業であるランニングシューズの販売は回復傾向を示したほか、ゴルフクラブの販売も引き続き堅調に推移した。その結果、売上高は前年同期比21.8%増の172億800万円と同期として過去最高を記録した。また、営業利益は同15.4%減の11億2,800万円となったものの、過去最高益を記録した前年同期に次ぐ結果となった。

米州、好調なゴルフクラブの販売が業績を牽引

米州では、輸送コストや物価の上昇、金融引き締めに伴う景気の減速といったマイナス要因があったものの、引き続きゴルフクラブの販売が好調を維持し、業績を牽引した。また、野球やバレーボールなどの競技スポーツ品の販売も堅調に推移した。その結果、売上高は前年同期比23.3%増の228億5,300万円となった。営業利益は同10.9%減の24億900万円となり、過去最高益だった前年同期に次ぐ結果となった。

アジア・オセアニア、行動制限緩和で事業環境が改善

アジア・オセアニアは、一部地域で供給制約の影響が継続したものの、多くの地域で新型コロナウイルス禍の行動制限が緩和されるなど、事業環境が改善した。韓国や東南アジア、オーストラリアなどではゴルフクラブが好調に推移、台湾ではランニングシューズの販売が増大し、業績に寄与した。その結果、売上高は前年同期比39.0%増の175億7,100万円、営業利益は同61.7%増の22億7,200万円となり、いずれも同期としては過去最高を記録した。

通期予想を上方修正、期末配当予想を増額

ミズノは2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比15.8%増加の2,000億円、本業の利益を示す営業利益で同26.6%増の125億円、経常利益で同13.9%増の125億円、純利益で同16.6%増の90億円となる見通しを示した。これは従来予想(2022年11月9日公表)に比べて、売上高でプラス2.6%、営業利益でプラス8.7%、経常利益でプラス8.7%、純利益でプラス5.9%の上方修正である。

ミズノは、上方修正の理由について(1)グローバル市場においてゴルフ品の販売が想定を上回る見込みであること(2)国内市場においても、好調なサッカーを中心にほぼ全ての競技スポーツ商品の販売が好調に推移する見通し(3)国内の非スポーツ事業においても注力しているワークビジネス事業が好調を継続していること(5)急激なドル高が反転したことなどを挙げている。なお、ミズノは好調な業績を受けて、期末配当予想を10円増額の40円(前期末比5円増配)とすることも発表している。

WBC日本代表の「侍ジャパン」の活躍とともに、ミズノの業績や株価からも目が離せない状況が続きそうだ。■

(La Caprese 編集部)

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