「人間は歩くことで創造的なインスピレーションが高まる」――2014 年 4 月 24 日、米国のスタンフォード大学はそんな研究論文を発表した。スタンフォード大学教育大学院のダニエル・シュワルツ教授とマリリー・オッペッツォ博士(教育心理学博士)は、人間が歩いているときと座っているときの創造性レベルについて研究した。その結果、「人間は、歩いているときに創造力が平均 60%も向上する」ことが判明したのである。
研究は176人の大学生とその他の成人を対象に4つのパートで実施された。すなわち、(1)屋内でトレッドミルを歩く、(2)屋内で座る、(3)屋外で歩く、(4)屋外で車椅子に座った状態で押してもらう……というものだ。
上記4つのパートで実施された発散的思考の創造性テストでは、座っているときよりも「歩いている」ときのほうがより創造的であることが判明した。興味深いのは「屋内・屋外を問わず」歩いているときに創造的なインスピレーションが高まったことである。このことから、環境の変化は関係なく、「歩く」という行為そのものが創造力を高めた主因と結論づけられている。
筆者はフリーランスのクリエイターとして、金融経済メディアや広告代理店などの仕事を請け負っているが、確かに歩いていると突然良いアイデアが浮かんだり、考えがまとまったりすることが多い。マネー誌や経済誌などの編集長を務めていた会社員時代もよく散歩しながら企画を考えたり、(頭の中で)編集をしたりしたものである。
早朝散歩で一人会議
ちなみに、米アップルの共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏も「ウォーキング・ミーティング」を好んでいたとか。
米国の伝記作家、ウォルター・アイザックソン氏の著書『スティーブ・ジョブズ』(2011年)では、ジョブズ氏のウォーキング好きが紹介されている。アイザックソン氏はジョブズ氏が亡くなる直前までの2年間に実施した40回以上のインタビューなどに基づいて『スティーブ・ジョブズ』を書き上げた。アップル公認で出版された同書は世界的なベストセラーとなったので、ご存じの人も多いことだろう。
また、メタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグ会長兼CEO(最高経営責任者)もウォーキングを重視していることで知られている。米西海岸にあるメタのオフィスビル(西側エリア)には巨大な屋上庭園があり、ウォーキングが楽しめるトレイルが設けられているほどだ。
最近、筆者も毎朝5時半頃からウォーキングを楽しみながら、当サイトの運営について考えを巡らせている。いってみれば「朝の一人会議」のようなものである。浮かびあがった多様なアイデアを結合したり、分解したり、削除したりして、少しずつ形を整えているところだ。
自分のWebサイトをもつのは初めてであるが、ここを訪れた多くの読者が元気になれるようなコンテンツを作りたいと思う。■
(La Caprese 編集長 Yukio)