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味の素、株価は上場来高値。3期連続の最高益へ、中期経営計画を推進

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(画像= La Caprese)

2023年5月16日、東京証券取引所で味の素の株価が一時5,117円まで買われ、上場来高値を更新した。今年1月10日の安値3,828円から4カ月ほどで33.7%の上昇である。

味の素は、1909年創業の大手食品企業である。世界一のアミノ酸メーカーとして、「調味料・食品セグメント」「冷凍食品セグメント」「ヘルスケア等セグメント」を柱とした幅広いビジネスをグローバル展開している。100年以上にわたって築かれたブランド力と、商品開発力、マーケティング力を後ろ盾に、今年2月28日には、2030年度にROE(自己資本利益率)で約20%、EPS(一株当たり当期純利益)で約3倍、株主還元の継続的な強化などを盛り込んだ『中期ASV経営 2030ロードマップ』を発表している(詳細は後述)。

最近では、味の素が5月11日に発表した①2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績が大幅な増収増益となり、最終利益で過去最高益を更新したこと、②2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想でも、最終利益で3期連続の過去最高益となる見通しが示されたこと、③2023年3月期の年間配当を62円から68円(前の期は52円)に増額し、2024年3月期についても前期比6円増の74円に増配する方針を示したこと、④発行済み株式数(自社株を除く)の2.36%にあたる1,250万株・500 億円を上限とした自社株買いの実施を発表したこと……なども刺激材料となった。

今回は味の素の話題をお届けしたい。

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味の素、最終利益が過去最高

5月11日、味の素は2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比18.2%増の1兆3,591億円、事業利益は同11.9%増の1,353億円、最終利益は同24.2%増の940億円となった。

同期は、調味料・食品セグメント、冷凍食品セグメント、ヘルスケア等セグメントのいずれも増収となった。一方、利益面では原材料等のコスト増の影響を受けたものの、為替の影響やヘルスケア等セグメントの増収効果などが寄与して増益となった。その結果、上記の通り、前期比で軒並み2ケタを超える増収増益となり、最終利益で過去最高を更新した。

調味料・食品セグメントの売上高は、為替の影響に加え、海外における単価上昇や販売数量増等により、前期比16.7%増の7,750億円となった。事業利益は、原材料等のコスト増の影響があったものの、為替の影響や増収効果等により、同2.1%増の829億円と増収増益となった。

冷凍食品セグメントの売上高は、為替の影響や単価上昇等により、前期比20.5%増の2,672億円となった。事業利益は、原材料等のコスト増の影響があったものの、増収効果や為替の影響等により、前期を9億円上回る2億円となった。

ヘルスケア等セグメントの売上高は、バイオファーマサービス&イングリディエンツ、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)等の販売増や為替の影響等により、前期比19.3%増の2,996億円となった。事業利益は、増収効果や為替の影響等により、同21.1%増の525億円となった。

その他の事業の売上高は前期比41.2%増の171億円、事業利益は4億円の損失となった。

ROEで約20%、EPSで約3倍を目指す

ちなみに、今年2月28日に、味の素は2030年に向けた成長戦略『中期ASV経営 2030ロードマップ』を発表している。ASVとは(Ajinomoto Group Creating Shared Value)の略称で、味の素の事業を通じた社会価値と経済価値を共創するというもの。

注目されるのは、財務戦略と経営資源配分である。『中期ASV経営 2030ロードマップ』の財務戦略と経営資源配分は3つのフレームワークで構成している。すなわち、①「事業戦略と資本戦略の適合」、②「株主価値の継続的向上」、③「株主還元方針のアップデート」である。

「事業戦略と資本戦略の適合」については、成長投資やM&A等を最優先し、営業キャッシュ・フローに余力がある場合は自己株式取得を積極的に実行するとしている。ちなみに、味の素は2023年〜2030年で7,500億円程度の設備投資を見込んでいる。

「株主価値の継続的向上」については、事業利益の継続的な成長や実効税率のマネジメントに加えて、機動的な自己株式取得による発行済株式数の継続的な圧縮および現預金圧縮(2025年に連結ベースで900億円まで圧縮)による余資活用を実施する。これらの施策により2030年度にROE(自己資本利益率)で約20%、EPS(一株当たり当期純利益)で約3倍を目指すとしている。

また、「株主還元方針のアップデート」については、累進配当政策の導入やノーマライズドEPSに基づく配当の採用、さらに機動的な自己株式取得の継続等で、株主還元を強化し、今後も増配のトレンドを維持する方針である。

5月11日、味の素は、2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比7.8%増の1兆4,650億円、事業利益は同10.8%増の1,500億円、最終利益は同1.0%増の950億円となる見通しを示した。見立て通りとなれば、最終利益で3期連続の過去最高益となる。味の素は、引き続き厳しい経済環境下にあるとしながらも、機敏な価格対応やより付加価値の高い製品の提供、コストダウンを着実に推進することにより、『中期ASV経営 2030ロードマップ』の実現を目指す考えをあらためて示した。

引き続き、味の素の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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