アシックス、ランニング需要が世界的に拡大。株価は昨年来高値、営業利益は過去最高

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(画像= Canva、La Caprese)

2023年3月1日、東京証券取引所でアシックスの株価が一時3,560円まで買われ、昨年来の高値を更新した。2022年5月10日の安値1,815円から10カ月足らずで96.1%の上昇である。

アシックスは、競技用シューズやスニーカーなど各種スポーツ用品等の製造および販売を手掛ける企業である。その源流は1949年に兵庫県神戸市で設立した鬼塚商会にまでさかのぼる。28年後の1977年には、スポーツウェアメーカーのジィティオ、ニットウェアメーカーのジェレンクの3社で対等合併し、総合スポーツ用品メーカーのアシックスを発足した。創業から今年で74年目を迎える老舗(しにせ)であり、2022年12月現在、日本国内で13社、海外は北米や欧州、中華圏、オセアニア、東南・南アジアなどで61社の関係会社を有する多国籍企業に成長している。

後段で述べる通り、(1)2022年12月期(2022年1月1日~2022年12月31日)の連結業績で過去最高益を記録したことに加え(2)2023年12月期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想についても2期連続で過去最高益を更新する見通しが示された(3)2022年12月期の期末配当予想を前期比2倍の24円、年間40円(前期は24円)に上方修正すると発表……など業績は絶好調だ。

今回はアシックスの話題をお届けしよう。

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アシックス、営業利益が過去最高を記録

アシックスが発表した2022年12月期(2022年1月1日~2022年12月31日)の連結業績は、売上高が前期比19.9%増の4,846億100万円、本業の利益を示す営業利益は同54.9%増の340億200万円、経常利益は同39.5%増の309億1,300万円、純利益は同111.5%増の198億8,700万円と大幅な増収増益となった。同期は「中期経営計画2023」における営業利益の目標である250億円を1年前倒しで達成したほか、売上高と営業利益はそれぞれ過去最高を更新。純利益は新型コロナウイルスの影響による特別損失計上額が減少したことにより、前期比で2.1倍となった。

ちなみに、アシックスの業績のポイントは以下の通りである。

全世界のEC売上高は35.3%増

全世界におけるEC(電子商取引)の売上高は前期比35.3%増の863億円と引き続き好調だった。また、OneASICS会員数は前期比35.0%増の730万人と伸長した。

一方、2022年11月には、年間登録者数330万人超を誇る欧州最大級のレース登録プラットフォームを提供する「njuko(ニューコ)SAS」を子会社化した。これにより、主要リージョンである日本、北米、欧州、オセアニアそれぞれにおけるトップクラスのレース登録会社の買収が完了した。2023年には全世界において1,200万件以上のレース登録が期待され、アシックスはグローバルマーケットシェアNo.1のレース登録会社となる見込みである。

アシックスは、さらなるランニングエコシステムの拡充によって、ECでは早期に売上高1,000億円を、レース登録事業やランニングアプリなどのランニングサービスは2026年までに売上高100億円を目指す方針を示している。

パフォーマンスランニング、世界の各地域で大幅に伸長

パフォーマンスランニングの売上高は前期比24.0%増加の2,582億円と好調だった。地域別では欧州が20%超の増加となったほか、中華圏やオセアニアでは30%を超える伸びを示した。また、東南・南アジア地域も50%超の増加を示すなど、各地域で大幅に伸長した。特にトップアスリート向けのランニングシューズ「METASPEED(メタスピード)」シリーズが躍進を続けており、年末年始に開催された各駅伝大会におけるシェアも前年比で拡大した。

オニツカタイガー、日本はインバウンド回復が追い風に

オニツカタイガーの売上高は前期比11.6%増の430億円となった。新型コロナウイルス禍で行動規制の影響があった中華圏地域は減少したものの、日本ではインバウンドの回復傾向を受けて35.8%増加した。また、東南・南アジア地域も2倍超と大きく伸長した。

なお、同期はオニツカタイガーの代名詞ともいえる「MEXICO 66」のアッパーにサボテン由来の素材を初めて20%以上採用した「MEXICO 66 CACTFUL」を発表した。原材料にメキシコ産サボテンの繊維などを使用することで、その軽量性を活かした設計を実現した。その他にも、リサイクル素材を使用したシューレースなど環境に配慮した素材を採用している。

アシックス、世界的なESG投資指標に8年連続で選出

なお、アシックスは世界の代表的なESG投資指標である 「Dow Jones Sustainability Indices」(以下「DJSI」)の「Asia/Pacific Index」の対象銘柄に8年連続で選出された。DJSIは米国S&Pダウ・ジョーンズとスイスのESGアセスメント会社であるSAM社が共同で開発した世界の代表的なESG指数で、世界各国の企業のサステナビリティ(持続可能性)を経済・環境・社会の3つの側面から評価し、優良企業を選定するものである。今回、アシックスはグローバルの対象企業において業界上位5%の評価を獲得した。

さらに、アシックスは国際NGO「CDP」が発表した企業の気候変動対策を評価する指標においても、総合評価「A-」を再取得した。CDPの評価結果は、サステナビリティ・リンク・ボンドのパフォーマンスターゲットに設定されており、資金調達の側面からも重要な指標となる。

売上高と営業利益は2期連続で過去最高を更新へ?

アシックスは2023年12月期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比5.2%増の5,100億円、本業の利益を示す営業利益で同8.8%増の370億円、経常利益で同3.5%増の320億円、純利益で同0.6%増の200億円となる見通しを示した。

アシックスはその理由について、(1)前期(2022年12月期)は「中期経営計画2023」における営業利益の目標である250億円を1年前倒しで達成したこと(2)2023年12月期も引き続きパフォーマンスランニングを筆頭に各カテゴリーが好調に推移する見通しであること(3)地域別では、日本が伸び悩むものの、オセアニアや東南・南アジア地域で2ケタの伸びが見込まれるほか、海外の各地域は総じて好調に推移することが期待される……ことなどを挙げている。その結果、売上高と営業利益は2期連続で過去最高を更新する見通しである。

なお、前述の通り、アシックスは好調な業績を受けて、2022年12月期の期末配当予想を前期比2倍の24円、年間40円(前期は24円)に上方修正すると発表している。

アシックスの業績や株価が引き続き注目されるところである。■

(La Caprese 編集部)

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