「睡眠への不満」がある人は回答者の94.0%。快眠グッズは「枕」が人気――2023年1月、フジ医療器が全国の20歳以上の男女3,484名を対象に実施した『第10回 睡眠に関する調査』でそのような睡眠事情が浮き彫りとなった。
フジ医療器は大阪府に本社を置く、マッサージチェアなど健康・美容機器の製造・販売・輸出入を行う企業である。同社は睡眠と健康をテーマに、睡眠に与える影響やその原因、より良い眠りのための工夫など睡眠に関する実態を把握するために2011年から『睡眠に関する調査』を実施しており、今回で10回目となる。
日本人の睡眠事情とはどのようなものなのだろうか? 詳しくみてみよう。
フジ医療器『第10回 睡眠に関する調査』
(1) 睡眠への不満がある人は94%~調査開始から10回連続で9割以上の人が睡眠に不満~
(2) 不満の内容の1位は「何度か目が覚める」、2位は「寝ても疲れがとれない」
(3) 睡眠に不満がある原因は半数が「ストレス」。10回連続で1位に
(4) 睡眠時間の理想は「8時間」のところ、実際は「6時間以下」が約6割
(5) 85%の人が快眠をとるために工夫をしている。1位は「入浴」
(6) 快眠効果を最も実感しやすいのは、「睡眠環境の改善」
(7) 快眠グッズの購入を検討している割合が増加、人気は「枕」
(8) 睡眠改善のために使っても良いと思う予算は3年連続で増額傾向
睡眠への不満がある人は94.0%
「睡眠に関して不満に感じることはありますか?」と質問したところ、94.0%が「不満がある」と回答した。「不満がある」と回答した人の数はこれまでの調査で毎回90%を超えている。


不満の内容の1位は「何度か目が覚める」、2位は「寝ても疲れがとれない」
「睡眠に関して最も不満に感じることは何ですか?」と質問したところ、回答の多かった順に「何度か目が覚める」(17.1%)、「寝ても疲れが取れない」(14.4%)、「トイレが近い」(14.1%)、「眠りが浅い」(10.0%)、「なかなか寝付けない」(8.9%)という結果となった。前回調査で2位だった「何度か目が覚める」が今回は1位という結果であった。性別・年代別に見ると、「寝ても疲れが取れない」は女性や若い人に多い傾向があるようだ。反対に男性に多かったのは「トイレが近い」という回答で、年齢が上がるにつれ割合も高くなっている。

睡眠に不満がある原因は半数が「ストレス」。10回連続で1位に
「睡眠に不満がある原因は何だと思いますか?(複数選択可)」の質問では、「ストレス」(49.5%)、「加齢」(47.8%)、「手足の冷え」(19.0%)、「人間関係の疲れ」(15.7%)、「体調不良」(15.5%)などの回答が寄せられた。第1回目の調査から毎回の調査で「ストレス」が最も多い回答となっている。
年代別で見ると、「ストレス」や「人間関係の疲れ」と回答した人は20代~50代の働く世代に多く、年を重ねるにつれ「加齢」と答える人が多くなる傾向にある。また、性別ごとに見ると、「ストレス」や「手足の冷え」を感じる割合は女性のほうが高くなる傾向が認められた。

理想の睡眠時間は「8時間」。しかし、実際は「6時間以下」が約6割
回答者全員に平日の睡眠時間を聞いたところ、「6時間」が36.5%と最も多い結果となった。さらに5時間以下と回答した人は22.6%であった。平日は約6割もの人が6時間以下しか睡眠時間を確保できていないことが判明した。また、休日の睡眠時間は「7時間」と回答する人が多く、平日に比べると長い時間睡眠を取れているようだ。
一方、理想の睡眠時間については半数以上が「8時間」(51.6%)と回答しており、平日・休日を問わず睡眠時間を確保しづらい状況がうかがえる。

85%の人が快眠をとるために工夫をしている。1位は「入浴」
回答者全員に「快眠をとるために工夫していることはありますか?(複数選択可)」と質問したところ、工夫しているという回答は85%に達した。具体的には、多かった順に「入浴をする」(40.6%)、「マッサージをする」(23.7%)、「ストレッチをする」(23.1%)、「運動をする」(22.8%)、「あたたかい飲み物を飲む」(17.5%)となった。
ちなみに、「入浴」は第4回目の調査から連続で1位となっている。また、どの年代にも共通して選ばれる工夫がある一方、年代によって選択肢の傾向が異なる項目も見られた。たとえば、20~30代では「より快適な寝間着を着る」との回答が多く寄せられたが、年齢が上がるにつれて「より快適な敷布団・ベッドを使用」との回答が増える傾向が見られた。快適な睡眠を取るために、それぞれの年代に合った工夫を行っていることがうかがえる。

快眠効果を最も実感しやすいのは、「睡眠環境の改善」
「快眠の工夫を実施した日は効果を得られていますか?」という質問に対し、「毎回快眠が得られる」と回答した人の割合が多かった項目は「より快適な掛布団・毛布を使用」(21.1%)、「より快適な敷布団・ベッドを使用」(17.3%)となった。寝室の環境や寝具などを改善することが効果的だと感じている人が多いことが分かる。

快眠グッズの購入を検討している割合が増加、人気は「枕」
「睡眠改善のために何か購入をした事はありますか?(複数選択可)」という質問に対しては、「枕」(50.1%)、「マットレス」(33.0%)が多い結果となった。
また、「これから購入したい商品(複数選択可)」についての質問では、「購入を検討していない」と答えた人の割合が35.9%だった。昨年に比べおよそ12ポイントダウンし、快眠のために何かしらの購入を考えている人が増えていることがうかがえる。具体的には「枕」が28.5%、「マットレス」が20.5%と、ここでも寝具の改善に関する回答が多い結果となった。

睡眠改善のために使っても良いと思う予算は3年連続で増額傾向
「睡眠改善のために使っても良いと思う予算」を聞いたところ、回答の多かった順に「5,000円~1万円未満」(31.1%)、「1万円~5万円未満」(29.6%)、「1,000円~5,000円未満」(22.6%)という結果となった。2020年の調査以降で1万円未満の割合が減少する一方、5万円以上と回答する人の割合が増加している。快適な睡眠に対する投資を重要視する人が増えていると推察される。

睡眠に不満を感じている人は10回連続で9割超
今回の調査でも理想の睡眠時間を確保できていない人が多く、ストレスなどを理由に睡眠に不満を感じている人は10回連続で9割超という高い水準となった。長年、不満を抱える状況が大きく変わらない中で、睡眠改善のために使っても良いと思う予算の増加や快眠グッズ購入の積極的な検討など、睡眠への不満を解消することへの意識の高まりを強く感じる結果となった。■
(La Caprese 編集部)