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ドトール・日レスの株価が年初来高値に上昇した理由

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(画像= La Caprese)

2023年7月19日、東京証券取引所でドトール・日レスホールディングスの株価が一時2,248円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月13日の安値1,630円から6カ月で37.9%の上昇である。

ドトール・日レスホールディングスは、外食産業の持株会社である。ドトールコーヒーショップやエクセルシオールカフェ、洋麺屋五右衛門のほか、カフェ マウカメドウズ、スパゲッティー&ピザ オリーブの木、先斗入ル、星乃珈琲店、卵と私など多数の外食チェーンを傘下に置いている。2007年10月1日に、ドトールコーヒーと日本レストランシステムが経営統合して誕生した。

後段で述べる通り、ドトール・日レスホールディングスが7月14日に発表した、①2024年2月期・第1四半期(2023年3月1日~2023年5月31日)の連結業績が大幅な増収増益となったことに加え、②今期上期の配当金を前回予想の16円から4円増配の20円に増額し、年間配当予想を前期比6円増配の36円に修正したこと、③さらに自社株買いを実施したこと……などが刺激材料となった。

今回はドトール・日レスホールディングスの話題をお届けしよう。

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ドトール・日レスホールディングス、営業利益は122.8%増

7月14日、ドトール・日レスホールディングスは2024年2月期・第1四半期(2023年3月1日~2023年5月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比15.2%増の351億7,600万円、本業の利益を示す営業利益は同122.8%増の21億6,600万円、経常利益は同86.5%増の22億5,500万円、純利益は同57.1%増の20億1,400万円と大幅な増収増益となった。

同期は新型コロナウイルスの5類への移行もあり、営業規制が撤廃されたことから、人流が活発化するなど、経済の正常化が見られた。しかし、その一方で、ウクライナ問題などから、エネルギーや穀物をはじめとしたコモディティ価格の値上がりが顕著となり、円安の進行も相まって物価が上昇するなど、先行きは依然として不透明な情勢が継続した。

こうした状況下、ドトール・日レスホールディングスは立地を厳選してグループ全体で21店舗(直営店12店舗、加盟店9店舗)を新規出店した。既存事業においては、店舗における新商品の導入をはじめ、テイクアウトメニューや売店商品の拡充、卸売事業の拡大など、新型コロナウイルス禍に取組んだ活動を継続するとともに、新規出店を強化した。同時に、キャッシュレス・キャンペーンを開催するなど客数の回復に向けた取組も強化したほか、物流や購買の見直しを図り、業務の効率化を推進するとともに、徹底した管理コストを削減するなど、事業基盤の強化に努めた。

その結果、上記の通り、大幅な増収増益となった。

主要セグメントの状況は以下の通りである。

日本レストランシステムグループのセグメント利益は239.5%増

日本レストランシステムグループの売上高は前年同期比14.6%増の125億500万円、セグメント利益は同239.5%増の7億5,300万円と大幅な増収増益となった。

同期は新型コロナウイルスの5類移行に伴い回復傾向が鮮明となった。出店戦略については、「星乃珈琲店」や「洋麺屋五右衛門」等の主力ブランドを中心に9店舗を新規出店するなど店舗網の拡大に努め、一部のロードサイドの「星乃珈琲店」においては、既存建物の一部分を改装し「コッペ田島」ブランドをオープンした。また、同期は業態変更も積極的に進めた。なお、「星乃珈琲店」の店舗数は2023年5月末時点で国内で275店舗、うち加盟店は34店舗となった。

商品戦略については、引き続き季節に合わせたメニュー開発のマーケティング力強化を推進し、顧客満足度の高い商品の提供に努めた。また、多ブランド展開における効率化を考慮した商品開発を実施することで、徹底した原価管理を行った。

ドトールコーヒーグループのセグメント利益は127.9%増

ドトールコーヒーグループの売上高は前年同期比15.6%増の208億6,800万円、セグメント利益は同127.9%増の11億2,600万円と大幅な増収増益となった。

ドトールコーヒーグループの小売事業並びにフランチャイズ事業は、新型コロナウイルスの5類移行により、人流が回復したことで、ビジネス街や駅前立地を中心に回復傾向が鮮明となった。それまで回復が遅れがちであったモーニングの時間帯も客数が回復しつつあり、ランチやティータイムの改善も継続していることが、業績全体の回復につながった。

店舗においては、新型コロナウイルス禍に対応したテイクアウト施策や売店商品の拡大を継続しながら、季節ごとの商品など付加価値の高いメニューを随時導入し、顧客単価を上げることで売上の回復に努めた。また、客数の回復を目指したキャッシュレス・キャンペーン施策を継続して打つことにより、新規顧客の獲得やリピーターの確保に努めた。一方で、原材料をはじめとしたコストアップに対し、昨年来取り組んでいる維持管理コストの削減を継続実施することで、着実に利益を積み上げる体制を整えてきた。

卸売事業においては、コンビニやスーパー向けチルド飲料において、プライベートブランド・ナショナルブランドともに、商品展開の幅を広げることで、売上高の拡大に努めた。また、ドリップコーヒーやインスタントコーヒーなど、通販や量販店での販売を拡大、巣ごもり消費に合わせた新商品の投入も引続き継続し、新たな商品の開発・販売を展開し、業容拡大を推進した。

配当の増額修正、自社株買いも刺激材料

7月14日、ドトール・日レスホールディングスは2024年2月期(通期=2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想について、売上高で前期比9.3%増の1,387億1,800万円、本業の利益を示す営業利益で同145.3%増の72億8,200万円、経常利益で同114.8%増の74億4,500万円、純利益で同57.5%増の53億9,900万円と従来予想(2023年4月14日公表)を据え置いた。

ドトール・日レスホールディングスは、今期の経営環境について、新型コロナウイルスの影響が軽微となり、業績の回復スピードは上昇基調にあるものの、世界的な物価の高騰に歯止めがかかっていない中、原材料価格をはじめ、水道光熱費や物流費、さらに人件費に至るまで、さまざまなコストの上昇が業績に大きな影響を与えるなど、依然として厳しい状況が継続するとの認識を示した。前述の通り、第1四半期は大幅な増収増益となったものの、引き続き不透明な要素が多々あることから、通期予想を据え置いた。

また、冒頭でも述べた通り、ドトール・日レスホールディングスは今期上期の配当金について、前回予想の16円から4円増配の20円に増額し、年間配当予想を前期比6円増配の36円に修正すると発表した。ドトール・日レスホールディングスは、業績に応じた配当を基本とし、配当性向30%〜40%を目途に利益還元を行うことを基本方針としており、第1四半期が大幅な増収増益となったことを鑑みて増額修正した。

なお、ドトール・日レスホールディングスは7月14日、発行済み株式数の1.01%にあたる45万株もしくは9億5,985万円を上限にToSTNeT-3(自己株式立会外買付取引)にて自社株買いを実施すると発表した。7月18日には、41万8,900株の自社株を8億9,351万3,700円にて買い付けて、完了したと発表している。

引き続き、ドトール・日レスホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:外食産業「復活」への期待
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