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トリドールホールディングス、株価は上場来高値。売上収益と事業利益が過去最高、丸亀製麺を筆頭に飲食事業が絶好調

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(画像= La Caprese)

2023年11月15日、東京証券取引所でトリドールホールディングスの株価が一時4,358円まで買われ、上場来の高値を更新した。今年1月5日の安値2,628円から10カ月余りで65.8%の上昇である。

トリドールホールディングスは、飲食店を運営する企業グループを傘下に置く持株会社である。本格讃岐うどん専門店の「丸亀製麺」を筆頭に、豚骨ラーメンの「ずんどう屋」、いちばん近いハワイの食卓をコンセプトとする「コナズ珈琲」、居酒屋「晩杯屋」、「肉のヤマキ商店」、「天ぷらまきの」など多数の飲食店を運営しているほか、海外事業も積極的に展開している。

後段で述べる通り、トリドールホールディングスが11月14日に発表した、❶2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績で売上収益と事業利益が同期として過去最高を更新するなど増収増益となったことに加え、❷2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想を上方修正したこと……が株価にも刺激材料となった。

今回はトリドールホールディングスの話題をお届けしよう。

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トリドールホールディングス、売上収益と事業利益が過去最高

11月14日、トリドールホールディングスは2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績を発表した。同期の売上収益は前年同期比22.4%増の1,126億200万円と同期としては過去最高となったほか、事業利益も同70.9%増の80億7,300万円と過去最高を更新した。また、営業利益は同22.5%増の79億3,800万円、最終利益は同4.1%増の45億9,800万円であった。

ちなみに、今年5月15日にトリドールホールディングスが公表した2024年3月期・第2四半期の連結業績予想では最終利益で前年同期比72.6%減(12億1,000万円)の大幅減益となる見通しが示されていたが、実際は上記の通り最終増益で着地した。

同期の経営環境は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和で人の移動量が大幅に増加し、客数も回復基調で推移した。そうした中、国内では訴求力の高い商品開発、店舗設計と来店動機の訴求に取り組んだ。また、海外事業においては今年7月に英国Fulham Shore社を子会社化した。その結果、丸亀製麺、国内その他、海外事業の全セグメントで増収となり、売上収益で同期としては過去最高となった。一方、事業利益は国内外で原材料費、人件費、水道光熱費が増加したものの増収で吸収し、こちらも過去最高を更新した。

セグメント別の概況は以下の通りである。

丸亀製麺

丸亀製麺の売上収益は前年同期比13.2%増の583億7,800万円と同期としては過去最高を更新した。一方、利益面では原価や人件費、広告宣伝費が増加したものの、増収で吸収した結果、事業利益も同43.9%増の96億9,000万円と過去最高となった。

丸亀製麺のセグメントでは、前期からブランド戦略と商品戦略をハイブリッド型で組み合わせ、オフライン(TVCM、店舗)とオンライン(デジタルマーケティング、SNS等)をマージして展開する統合マーケティングを推進している。また、今期からはブランドコミュニケーション「うどんで、あなたを驚かせたい」を開始し、麺職人(理想的なうどんを作る専門人材で、丸亀製麺独自の人材育成システム)の全店配置を目標に掲げて「本格的」「圧倒的にうどんがおいしい」イメージの強化を図った。

季節ごとのフェア商品にも注力し、4月25日から「トマたまカレーうどん」「とろける4種のチーズトマたまカレーうどん」に加えて、新作の「豆乳仕立ての冷やしトマたまカレーうどん」を投入し、7月までで合計285万食を販売する大ヒットとなった。また、6月13日からは「鬼おろし肉ぶっかけうどん」「鬼おろし鶏からぶっかけうどん」を販売、7月18日から「鬼おろし豚しゃぶぶっかけうどん」も投入し、9月上旬までで鬼おろしシリーズで合計約600万食を販売する大ヒットとなった。

さらに、テイクアウト専用商品「丸亀シェイクうどん」では、7月18日から新商品「サマーシェイクうどん」3品を発売した。全国47都道府県で「丸亀シェイクうどん感謝デー」を実施したほか、六本木ミッドタウンで「丸亀シェイクうどんサマーナイト」を開催し、多くの消費者に新商品を無料で楽しんでいただいたほか、一軒一軒すべての店で粉からつくる打ち立てうどんのおいしさを訴求した。9月5日からは食欲の秋に味わい選べる新商品3品を発売し、5月16日発売から9月末までで合計450万食を販売した。うどんをシェイクする新体験とユニークな商品ラインナップで女性、若年層など新しい顧客層の開拓に成功し、他商品と大きくカニバリゼーションすることなくテイクアウト売上を押し上げた。

国内その他

国内その他の売上収益は前年同期比15.2%増の137億4,800万円と同期として過去最高を更新した。一方、事業利益も60.5%増の23億100万円と、こちらも過去最高を更新した。

国内その他のセグメントには、「コナズ珈琲」「ずんどう屋」「肉のヤマキ商店」「晩杯屋」「天ぷらまきの」「とりどーる」「豚屋とん一」「長田本庄軒」等が含まれている。同期は、豚骨ラーメンのずんどう屋は新店3店を含む77店舗を運営し、高収益性を維持した。コナズ珈琲は、2023年2月に実施した価格改定後も客数が前年同月を上回る水準で推移し、期間限定フェアメニューやイベントなどの施策も奏功して全店で増収増益となった。肉のヤマキ商店はグローサラント(グローサリーとレストランを融合した業態)型店舗におけるテイクアウト・デリバリーの売上比率が高水準で推移し、2022年11月にオープンした西葛西メトロセンター店の収益も寄与した。天ぷらまきのは外国人観光客を意識した商品の販売が好調で、インバウンド需要の取り込みに成功した。

海外事業

海外事業は、同期から連結した英国Fulham Shore社や為替の影響もあり、売上収益で前年同期比42.1%増の404億7,700万円と同期としては過去最高を更新した。一方、事業利益も同90.7%増の18億2,100万円と大幅な増益となった。

スパイシーヌードル業態のTam Jaiは中国で4店、香港で2店、シンガポールで1店増加し、計222店舗となった。同期は拠点の香港で既存店売上が増加したことなどにより増収増益となった。Marugame Udonは、台湾に3店出店し、人材教育が奏功して商品・サービスの品質が向上したことにより大幅な増収増益となった。米国においても人材育成やマネジメント体制の効率化が進み、新店2店が好調に推移したほか、既存店の収益改善も進み増収増益となった。一方、英国でも増収による生産性の向上に取り組んだが、成長のための投資が先行している状態が継続した。

今期の事業利益は96.2%増を予想

11月14日、トリドールホールディングスは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比22.7%増の2,310億円、事業利益で同96.2%増の137億円、営業利益で同33.9%増の100億円、最終利益で同25.4%増の48億円となる見通しを示した。これは従来予想(5月15日公表)に比べて、売上収益でプラス9.0%、事業利益でプラス42.0%、営業利益でプラス50.4%、最終利益でプラス84.6%の上方修正である。

トリドールホールディングスは上方修正の理由について、①2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績で多くの業態の1店舗当たり収益性が想定を上回って推移したこと、②売上収益は丸亀製麺、国内その他、海外事業の全セグメントで同期としては過去最高を更新したこと、③利益面でも事業利益が過去最高となったほか、営業利益、最終利益も予想を大幅に上回ったこと……を挙げている。

引き続き、トリドールホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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