2023年1月24日、東京証券取引所でエイベックスの株価が一時1,735円まで買われ、昨年来の高値を更新した。2022年5月25日の安値1,051円から8カ月で65.1%の上昇である。
エイベックスは、音楽事業のエイベックス・エンタテインメントや、マネジメント事業のエイベックス・マネジメント、映像事業のエイベックス・ピクチャーズ、デジタル事業のエイベックス・デジタルを傘下に置く持株会社である。社名は「Audio Visual Expert(音楽や映像の専門家)」に由来しており、文字通り、音楽や映像ソフトの企画・制作から販売・配信事業まで広く展開している。
後段で述べる通り、2023年3月期・第2四半期(2022年4月1日~2022年9月30日)の連結業績で大幅な増収増益を記録しているほか、2023年3月期(通期)の連結業績予想で純利益が前期比258.8%増となる見通しを示すなど業績は絶好調だ。
今回はエイベックスの話題をお届けしたい。
エイベックス、2023年3月期・第2四半期は大幅な増収増益
まず、日本のエンタテインメント業界全体の環境をみると、2022年1月~9月における音楽ビデオを含む音楽ソフトの生産金額は前年同期比11.5%増の1,520億1,800万円、有料音楽配信売上金額は前年同期比16.0%増の506億200万円と好調に推移している(いずれも一般社団法人日本レコード協会が集計したデータ)。また、一般社団法人日本映像ソフト協会によると同期の映像ソフトの売上金額は前年同期比15.7%減の856億1,400万円となったものの、映像関連市場は映像配信サービスのさらなる定着および普及が見込まれ、今後も拡大することが予想されている。
こうした環境下で、エイベックスの業績も好調に推移している。エイベックスが公表した2023年3月期・第2四半期(2022年4月1日~2022年9月30日)の連結業績は、売上高が前年同期に比べて16.7%増加の540億6,000万円、本業の利益を示す営業利益は同37.4%増の36億1,900万円、経常利益は同43.8%増の37億7,100万円、純利益は同99.0%増の32億700万円と大幅な増収増益となった。
ちなみに、エイベックスは2つのミッションとして「ライヴ市場の回復に依存しない収益構造の確立」と「グローバル市場・新たなテクノロジー市場への着手」に取り組んでいる。収益構造の確立については、若年層に支持される新たなアーティストやタレント、クリエイターとの契約やコンテンツ制作を推進するとともに、有料配信サービスによるライヴの提供や、音楽ストリーミングサービスにおける販路拡大を推進してきた。
加えて、グローバル市場をターゲットとした新たなアーティストの開発・ローンチ、メタバースと呼ばれる仮想空間におけるNFTコンテンツの販売など、グローバル市場や新たなテクノロジー市場においても未来のエンタテインメントの可能性に対する取り組みを推進している。
こうした取り組みの結果、エイベックスの業績は上記の通り、大幅な増収増益を記録した。
通期は営業利益で54.9%増、純利益で258.8%増となる見通し
2022年11月10日、エイベックスは2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績予想について、本業の利益を示す営業利益で前期比54.9%増加の40億円、純利益で258.8%増の33億円となる見通しを示した。これは従来予想(2022年5月12日公表)に比べて営業利益で300%増、純利益で725%増と大幅な上方修正である。
エイベックスは、通期予想の上方修正の理由について、(1)音楽事業において大型ライヴの公演増加等による売上高、営業利益の増加に加え、(2)投資有価証券売却益を計上したこと等により純利益が増加する見込みとなった……としている。
ちなみに、エイベックスは2023年2月9日に2023年3月期・第3四半期の連結業績の発表を予定している。ここでどのような業績が示されるのか、また通期予想のさらなる修正があるのか、株価の動きとともに注目される。■
(La Caprese 編集部)