サイゼリヤ、株価は年初来高値 ESGを重視した経営活動を推進

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(画像= La Caprese)

2022年12月9日、東京証券取引所でサイゼリヤの株価が一時3,115円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年4月14日につけた年初来安値の2,238円から8カ月で39.2%の上昇である。

サイゼリヤは、イタリアンファミリーレストランをチェーン展開する企業で、徹底したコストダウンによる低価格メニューが特徴となっている。後段で述べる通り、2022年8月期(2021年9月1日~2022年8月31日)の連結業績で営業損益が黒字に転換したほか、2022年11月の既存店売上高が13カ月連続で前年実績を上回ったことなどが追い風となった。

今回はサイゼリヤの業績をみてみよう。

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サイゼリヤ、2022年8月期は営業黒字に転換

サイゼリヤが公表した2022年8月期(2021年9月1日~2022年8月31日)の連結業績は、売上高が前期に比べて14.0%増の1,442億7,500万円、本業の利益を示す営業利益は4億2,200万円(前期は22億6,400万円の営業損失)、経常利益は前期比211.8%増の107億7,400万円、純利益は同220.6%増の56億6,000万円となった。売上高が2ケタの伸びを示したほか、営業損益は黒字に転換、経常利益と純利益も200%を超える大幅な増益となった。

同期は新型コロナウイルス禍の営業時間短縮および酒類提供の制限などにより厳しい状況が続いたが、2022年3月にまん延防止等重点措置が解除されたことで、サイゼリヤの客数は回復基調を強めた。しかし、今夏に始まった「第7波」に加え、資源価格の高騰、為替の円安による食材やエネルギーの輸入価格のさらなる上昇リスク、海外からの輸送問題による原材料確保のリスク、イタリアで発生したアフリカ豚熱の影響によりハム類の輸入ができないことなど、依然として予断を許さない情勢が続いた。

そうした中、サイゼリヤは新たな販売チャネルとして、冷凍食品の販売強化の継続に加えて、フードロスの削減、エネルギーの効率化による省エネ、プラスチックの再利用等といったSDGs(持続可能な開発目標)に取り組むなど、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営活動を推進した。

同時に、コンビニ跡地に小型店モデルを出店したほか、それまで出店難易度が高いとされていた大型ショッピングセンター内への出店など、新たな立地の開発を推進した。たとえば、新商圏店舗として2021年12月に北海道旭川市にイオンモール旭川西店、秋田県1号店としてイオンモール秋田店、2022年1月には鳥取県1号店としてイオンモール日吉津店、2022年6月には岩手県1号店としてイオンモール盛岡店を出店した。

既存店売上高は13カ月連続のプラス

サイゼリヤは、2023年8月期(2022年9月1日~2023年8月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比17.8%増の1,700億円、本業の利益を示す営業利益で同1,673.1%増の75億円、経常利益で32.2%減の73億円、純利益で22.3%減の44億円となる見通しを示した。

サイゼリヤは、2023年8月期のリスク要因として、(1)地政学的リスクの長期化や天候・自然災害を背景に、世界的なインフレに拍車をかけるリスクがあること、(2)日銀の金融政策の方向性次第では為替の円安基調が続く可能性もあり、食材およびエネルギーの輸入価格が高止まりするリスクがあること、(3)政府による水際対策の緩和により、訪日外国人の増加が期待されるものの、依然として新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せず、先行きは不透明な状況であることの3点を指摘している。

このような状況下、サイゼリヤはアフターコロナを見据えた出店戦略、販売戦略を推進するとともに、利益体質の強化を図るため、店舗や工場での食材ロスの削減、店舗や工場の設備改善による作業の生産性向上に取り組む方針である。

ちなみに、サイゼリヤが12月2日に公表した、2022年11月の既存店売上高は前年同月に比べて10.0%増と13カ月連続のプラスとなった。また、客数は前年同月比で7.3%増、客単価も同2.5%増といずれも良好である。

引き続き、サイゼリヤの業績・株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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