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ワタミ、V字回復が鮮明。株価は年初来高値、純利益は101.9%増

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※画像はイメージです。(画像= Canva、La Caprese)

2023年10月2日、東京証券取引所でワタミの株価が一時1,227円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年3月16日の安値873円から6カ月半で40.5%の上昇である。

ワタミは、外食事業や宅食事業等を収益の柱とする企業である。「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」をグループスローガンに掲げる同社は、「居食屋 和民」を中心とする国内外食事業で345店舗、宅食事業で525ヶ所の営業拠点を擁するほか、海外外食事業、環境事業、有機農産物の生産・酪農畜産も展開している。

ところで、日本フードサービス協会が9月25日に発表した8月の外食産業売上高(新店を含む全店ベース)は、前年同月比で16.6%増加した。業種別では、「パブ・居酒屋」が同50.3%増と高い伸びを示したほか、「ディナーレストラン」も同29.9%増となるなど、出遅れていた夜間消費の回復が顕著となってきた。こうした中で、ワタミの業績もV字型の回復を示しており、株価にも追い風となっている。

今回はワタミの話題をお届けしよう。

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ワタミ、純利益は101.9%増

8月10日、ワタミは2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比10.3%増の196億9,100万円、本業の利益を示す営業利益は10億2,000万円(前年同期は2億9,500万円の営業損失)、経常利益は前年同期比62.7%増の20億4,500万円、純利益は同101.9%増の17億8,200万円となった。

同期は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和を背景に経済活動の正常化が進む一方で、ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴う原材料価格の高騰や急速な円安が助長する物価高に加え、人手不足による人件費が増加するなど、依然として不透明な情勢が継続した。このような経済環境を反映し、飲食業界全体も客数増加による売上増加の一方、原価・人件費等の経費が増加するなど、依然として厳しい状況にあり、海外についても同様の情勢となっている。こうした中、ワタミは「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」というグループスローガンのもと、各事業分野において「お客様のありがとう」を集める活動を展開した。

具体的には、さまざまな経済環境の変化、顧客ニーズの変化に対応するべく、「ミライザカ」「鳥メロ」などの居酒屋業態、「焼肉の和民」「かみむら牧場」などの焼肉業態、「から揚げの天才」「オリーブチキン」などのテイクアウト・デリバリー業態、「TGIフライデーズ」などハレの場を提供する業態などを展開し、成長基盤の整備を強力に進めた。その結果、上記の通り、営業損益が黒字に転換したほか、経常利益、純利益も大幅な増益となるなどV字型の回復を鮮明にした。

なお、セグメントごとの概要は以下の通りである。

国内外食事業

国内外食事業の売上高は前年同期比26.5%増の73億7,100万円、セグメント利益は3億1,200万円(前年同期は5億8,200万円のセグメント損失)となった。

同期は、2店舗の新規出店と4店舗の撤退を行った。その結果、同期末の店舗数は345店舗となった。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが2類相当から5類感染症に変更されたことから行動制限がなくなり、コロナ前の水準に向け徐々に回復しつつある中、売上高が伸長したほか、セグメント損失も黒字に転換した。

宅食事業

宅食事業の売上高は前年同期比3.6%減の99億8,400万円、セグメント利益は同21.6%減の10億3,400万円と減収減益となった。

同期末の営業拠点数は525ヶ所となった。調理済み商品の累計お届け数は1,534万1,000食で前年同期に比べて2.4%減少した。同期は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが2類相当から5類感染症に変更されたことから、中食需要が減少したため、減収減益となった。

海外外食事業

海外外食事業の売上高は前年同期比91.0%増の16億4,200万円、セグメント利益は1,900万円(前年同期は3億8,300万円のセグメント損失)となった。

同期の海外外食事業は1店舗の新規出店を行い、同期末の店舗数は51店舗となった。新型コロナウイルス感染症の収束により売上が大幅に伸長したほか、セグメント損益は黒字に転換した。

環境事業

環境事業の売上高は前年同期比14.7%減の5億1,400万円、セグメント利益は1億5,200万円(前年同期は5,700万円のセグメント損失)となった。環境事業は、電力小売事業を中心に展開している。同期は減収となったものの、仕入単価の減少により増益となった。

農業

農業では、有機農産物の生産・酪農畜産を行っている。同期の売上高は前年同期比38.0%減の1億500万円、セグメント損失は9,400万円(前年同期は9,700万円のセグメント損失)となった。

今期は純利益で22億5,000万円を予想

8月10日、ワタミは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比5.6%増の823億円、本業の利益を示す営業利益で同79.7%増の26億5,000万円、経常利益で同26.6%減の28億5,000万円、純利益で同34.4%増の22億5,000万円となる見通しを示した。これは従来予想(5月12日公表)に比べ、売上高は据え置き、営業利益はプラス60.6%、経常利益はプラス54.1%、純利益はプラス55.2%の上方修正である。

ワタミは修正の理由について、第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の増収増益の傾向が今後も継続すると予測されるためとしている。実際、冒頭でも述べた通り、日本フードサービス協会が9月25日に発表した8月の外食産業売上高(新店を含む全店ベース)は、前年同月比で16.6%増加。業種別では、「パブ・居酒屋」が同50.3%増と高い伸びを示したほか、「ディナーレストラン」も同29.9%増となるなど、出遅れていた夜間消費の回復が顕著となるなど、ワタミの見立てを裏付ける内容となっている。

引き続き、ワタミの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:外食産業「復活」への期待
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