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日清オイリオグループ、株価は上場来高値。営業利益は32.4%増、適正な販売価格で全ての利益項目で予想上回る

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(画像= La Caprese)

2024年2月13日、東京証券取引所で日清オイリオグループの株価が一時5,100円まで買われ、上場来高値を更新した。2023年1月16日の安値3,030円から13カ月で68.3%の上昇である。

日清オイリオグループは、東京都中央区に本社を置く食品メーカーの大手である。社名のオイリオ(OilliO)は、「Oil」にOilを反転した「liO」を組み合わせた造語で、日清オイリオグループの原点である製油業を大切にしながら、オイルの領域を拡げ、さらにはそれを超えていくという意志が込められている。その社名が示す通り、収益の大きな柱となる油脂事業のほか、加工食品・素材事業、ファインケミカル事業等も手がけている。

後段で述べる通り、日清オイリオグループが公表した、❶2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績が大幅な増益となったことに加え、❷2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想で営業利益・経常利益・純利益の見通しを上方修正したこと、❸さらに2024年3月期の年間配当予想を従来計画の120円から150円に増額修正したこと……などが株価にも刺激材料となった。

今回は日清オイリオグループの話題をお届けしよう。

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日清オイリオグループ、営業利益は32.4%増

2月9日、日清オイリオグループは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上高が前年同期比8.1%減の3,905億4,200万円、本業の利益を示す営業利益は同32.4%増の194億5,700万円、経常利益は同26.8%増の187億1,100万円、純利益は同26.1%増の138億3,400万円となった。

主なセグメント別の状況は以下の通りである。

油脂事業は減収増益

セグメント別では、収益の柱となる油脂事業が減収増益となった。同期は油脂・油糧において、天候不順による減産懸念や円安ドル高の進行が見られたものの、原材料価格が一時期のピークから下落基調となる中、適正な販売価格の維持・形成に取り組んだ。また、付加価値品の拡販に加え、新たな市場創造やソリューション提案にも注力した。油脂事業セグメント全体では、海外加工油脂の販売単価下落等により減収となったものの、国内油脂における適正価格での販売等により増益となった。

なお、油脂・ミールの販売および加工油脂の概況は以下の通りである。

油脂の販売

業務用の油脂販売は、フライ油の酸化上昇や着色などを抑える「機能フライ油」や、メニューの品質を高める炊飯油や麺さばき油などの「機能性油脂」など、「付加価値型商品群」の積極的な提案による拡販に努めた。しかし、同期は新型コロナウイルスの5類移行により外食需要や観光需要が回復し、販売数量は前年同期を上回ったものの、販売単価が下回ったことで減収となった。また、加工用は、物価上昇を背景とした消費マインドの低下による各業界での生産減により、販売数量が前年同期を下回り、減収となった。

一方、ホームユースは揚げ物の吸油を抑える「日清ヘルシーオフ」などの拡販により、食用油の価値向上と「新たな価格の均衡点」の形成に努めた。また、オリーブオイル・ごま油などの原材料価格高騰が続く中、販売価格改定の取り組みに加え、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場創造」など付加価値品の継続的な浸透にも努めた。この結果、販売単価は前年同期並みとなったものの、物価上昇による生活防衛意識の高まりの影響を受けて販売数量が前年同期を下回ったことから、減収となった。

以上の結果、国内油脂全体では売上高は減収となったが、油脂コストが低下する中、粗利単価が改善したことで増益となった。

ミールの販売

大豆ミールは、シカゴ大豆粕定期が前年同期比で下落したものの、ドル円相場が円安ドル高で推移したことにより販売価格は前年同期並みとなった。しかし、搾油量が前年同期比で減少したことから、販売数量が減少し、減収となった。一方、菜種ミールも販売価格は前年同期並みとなったが、搾油量減少により販売数量が減少し、減収となった。

加工油脂

海外加工油脂は、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、上期に船積みが遅れていた欧州主要顧客向けの出荷が回復したことに加え、国内地場取引先向けの販売が好調に推移したこともあり、全体の販売数量は前年を上回った。一方、パーム油相場の下落に伴い販売価格が下落したことで減収となり、またパーム油時価評価益の減少などもあり、減益となった。

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加工食品・素材事業は増収増益

加工食品・素材事業のセグメントは、原材料価格やエネルギーコスト上昇の影響があったものの、チョコレート製品における販売数量増および適正な販売価格への改定により、増収増益となった。

チョコレートは、大東カカオにおいて新型コロナウイルスの5類移行に伴う土産市場の需要回復や製パン市場向け調製品の需要回復等により、販売数量は前年同期を上回った。また、原材料価格やエネルギーコストが上昇する中、コストに見合った適正な販売価格への改定を進めたことにより、増収増益となった。

一方、シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.では、日本国内における調製品の需要減少に伴い、販売数量が減少した。インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoは、採算改善を優先しながらも既存顧客への販売が堅調に推移したことにより、販売数量は前年同期を上回った。その結果、チョコレート全体では大東カカオの業績が貢献し、増収増益となった。

他方、調味料はドレッシングの販売数量は前年を上回ったものの、原価率上昇や販管費増加の影響が大きく、増収減益となった。

機能素材・食品は「体脂肪燃焼体質化」をコンセプトとした機能性マーケティングを継続するとともに、加工食品メーカーとのMCT(中鎖脂肪酸)のコラボレーション商品の上市を進め、市場規模拡大に努めた。ただ、原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めたものの、販管費の増加等により、増収減益となった。また、大豆素材・食品は、大豆たん白等の販売において原材料価格の上昇に対する適正価格での販売により、増収増益となった。

ファインケミカル事業は減収減益

ファインケミカル事業は、欧州子会社での販売数量の減少が響き、減収減益となった。

同期は、ファインケミカル製品において、化粧品向け新製品の上市やテクニカルサポートによるソリューション提案をグローバルで展開し、顧客開拓を進めた。国内化粧品向け需要は回復の兆しを見せたほか、中国市場ではコロナ禍からの回復による販売数量増により増収増益となった。しかし、欧州においては長引くインフレがようやく収束に向かっているものの、昨年好調だった欧州子会社の販売数量減の影響が大きく、減収減益となった。また、環境・衛生ではアルコール製剤の需要減少により販売数量が減少したほか、原材料およびエネルギーコスト高騰の影響を受けて減収減益となった。

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適正な販売価格により全ての利益項目で予想上回る

2月9日、日清オイリオグループは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比8.4%減の5,100億円、本業の利益を示す営業利益で同26.7%増の205億円、経常利益で同20.1%増の195億円、純利益で同21.0%増の135億円となる見通しを示した。これは従来予想(2023年11月8日公表)に比べて、売上高は据え置きながら、営業利益はプラス13.9%、経常利益はプラス11.4%、純利益はプラス8.0%の上方修正である。

日清オイリオグループは各利益項目の上方修正の理由について、第3四半期累計期間において油脂・油糧事業の付加価値品の販売拡大やソリューション提案の強化等に注力した結果、適正な販売価格を形成することができ、営業利益・経常利益・純利益の全ての利益項目において予想を上回ったことを挙げている。なお、冒頭でも述べた通り、日清オイリオグループは2024年3月期の年間配当予想を従来計画の120円から150円に増額修正すると発表した。

引き続き、日清オイリオグループの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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