2022年11月10日、東京証券取引所で日清オイリオグループの株価が一時3,510円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年4月1日につけた年初来安値の2,832円から7カ月ほどで23.9%の上昇である。
前日の11月9日、日清オイリオグループとJ-オイルミルズ <2613> が搾油機能の全国統合と、西日本エリアにおける搾油合弁会社設立に合意したと発表。さらに同日発表された2023年3月期・第2四半期(2022年4月1日~9月30日)の連結業績が大幅な増収増益となったことが株価に追い風となった(詳細は後述)。
今回は日清オイリオグループの話題をお届けしよう。
日清オイリオがJ-オイルミルズと新会社、共同で搾油
11月9日、日清オイリオグループとJ-オイルミルズは同日の取締役会決議を経て、搾油機能の全国統合および西日本エリアにおける搾油合弁会社設立について合意したと発表した。
日清オイリオグループは今回の合意の背景について「今後50年以上先の環境変化を見据えたもの」としている。世界では人口増加とそれを上回る食料需要の増加が見込まれているほか、気候変動による農作物の供給リスクも高まるなか、食料需給のひっ迫が懸念されている。一方、日本国内においては、人口減少や少子高齢化に伴う食料需要の減少により、油脂と油粕の需要も長期的に低下することが予想されるという。さらに、製油産業においては、今後建設後50年以上を迎えた搾油設備の老朽化という大きな課題に直面することになる。
こうした環境変化が想定されるなか、日清オイリオグループとJ-オイルミルズは、将来にわたる「油脂と油粕の安定的な供給」と「持続可能な国際競争力の強化」の実現に加え、「環境・社会課題の解決」を通して広く社会に貢献することを目的に、2021年5月より国内搾油機能の全国統合を見据えた搾油合弁会社設立に関する検討を重ねてきた。その結果、搾油機能の全国統合および西日本エリアにおける搾油合弁会社設立に関する基本合意に至ったという。
日清オイリオグループとJ-オイルミルズは、今後50年以上先の環境変化を見据え、国内搾油業の国際競争力の強化と安定供給を長期にわたって確保する共同運営体制の構築を目指す。同時にAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の活用によるスマートファクトリー化、脱炭素社会への取り組みなど、環境・社会課題への解決にもつながる「次世代型搾油工場」の構築を推進する計画だ。
2023年3月期・第2四半期は大幅な増収増益
業績をみてみよう。11月9日発表の2023年3月期・第2四半期(2022年4月1日~9月30日)の連結業績は、売上高が前年同期に比べて41.1%増の2,756億2,100万円、本業の利益を示す営業利益は同50.2%増の94億3,600万円、経常利益は38.0%増の98億9,500万円、純利益は46.9%増の77億8,400万円と大幅な増収増益となった。

セグメント別では、主力となる「油脂事業」の売上高が前年同期に比べて38.2%増の1,703億1,100万円、営業利益が同60.6%増の41億8,800万円と大幅に伸長した。同期は世界的な油脂需要の増加に加え、ロシアのウクライナ侵攻による原材料の供給懸念、急速な円安進行等を背景として原材料価格が一段と高騰するなか、生産性向上とコスト削減に努め、適正な販売価格の形成に取り組んだことが功を奏した。加えて、付加価値商品の拡販、新たな市場創造やソリューション提案の強化に注力したことで、売上高、営業利益ともに前年同期を上回る結果となった。
日清オイリオ、通期見通しは据え置き
一方、「加工食品・素材事業」セグメントの売上高は前年同期に比べて18.0%増の303億6,600万円、営業利益は同91.1%減の5,600万円だった。同期は国内におけるチョコレートの販売数量が増加したことに加えて、販売価格の改定、海外子会社の為替換算の影響等により、売上高は増加したものの、原価率上昇などの影響が大きく、営業利益は大幅に減少した。
「ファインケミカル事業」セグメントの売上高は前年同期に比べて23.8%増の102億3,400万円、営業利益は同7.7%増の8億4,800万円だった。同期は国内外の需要回復の遅れに伴い販売数量は減少したものの、販売価格の改定等により、売上高・営業利益ともに前年同期を上回った。
日清オイリオグループは、2023年3月期(通期)の連結業績の見通しについて、売上高で前期に比べて15.5%増の5,000億円、本業の利益を示す営業利益で同11.4%増の130億円、経常利益で5.1%増の133億円、純利益で7.0%増の92億円といずれも従来予想を据え置いた。
引き続き、日清オイリオグループの業績・株価に注視しておきたい。■
(La Caprese 編集部)