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カプコンの株価が上場来高値に上昇した理由

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(画像= Canva、La Caprese)

2023年2月21日、東京証券取引所でカプコンの株価が一時4,600円まで買われ、上場来の高値を更新した。2022年1月14日の安値2,421円から13カ月あまりで90.0%の上昇である。

カプコンは、主に家庭用ゲームやアーケードゲームの開発・販売を行うゲームソフトウェアメーカーである。後段で述べる通り、2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績は減収減益となったものの、(1)サウジアラビアの政府系ファンドが2月15日に関東財務局へ提出した変更報告書で、任天堂の株式を買い増していたことが明らかになり、カプコンやコーエーテクモホールディングスなど他のゲーム関連銘柄の買い増しへの思惑が広がった(2)2月20日にカプコンが世界各国で開催するeスポーツ大会「CAPCOM Pro Tour 2023」で優勝賞金を100万ドル(約1億3,000万円)、賞金総額で200万ドル(約2億6,000万円) 以上に拡大すると発表したことが刺激材料となっているようだ。

今回はカプコンの話題をお届けしよう。

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サウジアラビア政府系ファンドの買い増しへの思惑も

2023年2月15日、サウジアラビアの政府系ファンドのPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)が、任天堂の株式を買い増していたことが明らかになった。関東財務局にPIFが提出した報告書によると、2023年1月時点で任天堂の株式を6.07%取得していたが、今回の買い増しで7.08%になった。PIFは任天堂の株式の保有目的について、「純投資」としている。

サウジアラビアは近年、ゲーム業界への投資を積極的に進めている。同国のムハンマド皇太子は日本のアニメやゲーム好きで知られているが、近年は石油に頼らない「脱石油」の経済改革を掲げ、それまで認められていなかった女性の社会進出を推進するなど政治家としての存在感を示し、2022年9月には首相に就任した。同国がアニメやゲームなど娯楽産業への投資や振興に力を入れているのも、「脱石油」の経済改革の一環とみられている。

ちなみに、PIFは任天堂の株式以外にも、カプコンやコーエーテクモホールディングス、ネクソンの株式を大量保有しているほか、ムハンマド皇太子が設立した「ミスク財団」の傘下企業EGDC(エレクトロニック・ゲーミング・デベロップメント・カンパニー)がSNKの株式を保有していることも明らかになっている。このような状況下、2月15日に伝えられたPIFの任天堂の株式買い増しの情報は、カプコンなど他のゲーム関連銘柄の買い増しへの思惑を呼んだとみられている。

カプコン、eスポーツのユーザー層拡大に注力

加えて、カプコンが世界各国で開催するeスポーツ大会「CAPCOM Pro Tour 2023」の総決算となる「CAPCOM CUP X」の優勝賞金を100万ドル(約1億3,000万円)、賞金総額で200万ドル(約2億6,000万円) 以上に拡大すると発表したことも刺激材料となったもようだ。

カプコンは「CAPCOM Pro Tour 2022」の最終日となる2月20日、来シーズンの「CAPCOM Pro Tour 2023」は『ストリートファイター6』(2023年6月2日発売予定)で開催することを明らかにした。さらに、来シーズンはシリーズ最新作となる「ストリートファイター6」の発売を記念して、前述の通り、「CAPCOM CUP X」の優勝賞金を100万ドル(約1億3,000万円)、賞金総額で200万ドル(約2億6,000万円) 以上に拡大すると発表した。

eスポーツはカプコンが注力する分野の一つであり、グローバル規模でのユーザー層の裾野拡大に向けた施策を推し進めている。その一環として、世界各地で開催するオンライン大会「CAPCOM Pro Tour 2022」を2022年5月からスタート、7月からは同大会の新カテゴリーの「ワールドウォリアー」を追加するなど、開催地域と参加者の多様化施策を講じてきた。

また、日本国内では2022年9月にチームリーグ戦の「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2022」を開催したほか、北米・欧州においても10月に同チームリーグ戦を実施するなど、各大会の振興を図るとともに、2023年6月発売予定の『ストリートファイター6』のプロモーションを展開している。

eスポーツのユーザー層の裾野拡大は、『ストリートファイター6』などゲームソフトの売上にも大きく影響するとみられることから、株式市場は今回の発表を歓迎したようだ。

2023年3月期・第4四半期で増収増益に転じるか?

業績をみてみよう。カプコンが1月30日に発表した2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績は、売上高が前年同期比9.6%減の796億7,100万円、本業の利益を示す営業利益は同5.0%減の333億3,200万円、経常利益は同7.1%減の335億6,400万円、純利益は同11.6%減の236億1,000万円と減収減益となった。カプコンによると、前年同期の新作大型タイトル販売による反動減となったが、リピートタイトルの販売本数は継続的な販売強化により前年同期を上回った状態が続いているという。

ちなみに、カプコンは2023年3月期(通期)の連結業績予想について、売上高で前期比13.6%増の1,250億円、営業利益で同16.5%増の500億円、経常利益で同12.8%増の500億円、純利益で同12.1%増の365億円と強気の従来見通し(2022年10月26日公表)を変えていない。

カプコンの予想通り、2023年3月期・第4四半期で増収増益に転じるのかどうか。引き続き、業績と株価に注目しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:オタク関連株
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