「カスピ海乳酸菌(クレモリス菌 FC 株)の摂取による便通改善作用を確認」――。2024年3月19日、食品メーカーのフジッコ(本社:兵庫県神戸市)からそのような研究成果が公表された。
腸内には腸内細菌がおよそ1,000種類、100兆個も生息していることが知られている。近年、この腸内細菌が便秘のみならず、体全体の健康に様々な影響を与えることがわかってきた。腸内細菌叢に影響を与えるものとしては、乳酸菌やビフィズス菌がよく報告されている。一方、フジッコはこれまでに、「カスピ海乳酸菌」の便通改善作用や整腸作用を確認してきた(※1、※2)。しかし、この「カスピ海乳酸菌」が腸内細菌全体に与える影響については明らかにされていないのが実情であった。
そこで、本研究では便秘傾向の健常成人男女に「カスピ海乳酸菌」を含むハードカプセルを4週間摂取してもらい、腸内細菌叢に与える影響を測定するとともに便通改善作用との関連を調べた。
その結果、「カスピ海乳酸菌」の摂取により便通改善作用が確認できた。また、これまで便秘との関連が知られていたビフィズス菌や乳酸菌が増加しているだけでなく、オシロスピラ属細菌(※3)が減少していることが確認できた。加えて、排便状況の改善とオシロスピラ属細菌数が関係している(排便状況が改善しているほどオシロスピラ属細菌数が減少している)可能性も示唆された。
上記の研究成果から、「カスピ海乳酸菌」からは便通改善作用とともに様々な腸内細菌を変化させる可能性を見出せた。腸内細菌は体全体の健康に深く関わっていることから、「カスピ海乳酸菌」が腸内細菌叢の変化を通して、さらに体全体の健康に寄与している可能性も考えられる。フジッコでは、今後も「カスピ海乳酸菌」の腸内細菌叢への影響を明らかにし、消費者の健康に寄与できるよう研究を進める方針である。■